著者
嶋田 敬士 山田 亨 高崎 友香 野口 祥宏 山崎 郁子 福井 和広
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.2569-2581, 2014-12-15

病院でのリハビリテーションの一環として行われる取り組みの1つに,音楽療法士が音楽の力を意図的・計画的に利用して,患者の心身障害の回復や機能の改善に役立てる音楽療法がある.従来その効果は,病院や音楽療法士が各々独自に設けた評価基準と介入内容の記録などを通じて質的・量的に評価する方法が試みられてきたが,患者の症状,回復状況や個性が様々なことなどから,客観的で統一的な評価方法を確立することは非常に困難であった.そこで我々は,患者の心身賦活にともなって広く一般的に見られる表情である笑顔に着目し,評価記録用に撮影された音楽療法時の映像データのみから患者の笑顔度を定量化した.さらに,あらかじめ構造化されていた療法内容に着目し,介入の質が異なる場面での笑顔度の違い,それらの経過回数にともなう変化を統計的に検定した.その結果,療法内容と経過にともない統計的に有意な患者の表情変化を確認するとともに,その変化が従来行われてきた主観評価結果とも高い相関を示していることを確認した.
著者
坂元 眞由美 松本 大輔 川又 敏男 山崎 郁子 中村 美優 安藤 啓司 傳 秋光 川又 敏男 安藤 啓司 山崎 郁子 傳 秋光 中村 美優
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は重度認知症高齢者の自律神経に音楽がどのような影響をもたらすのかを明らかにすることにある。方法はCDRにて分類した重度認知症高齢者に対し、好きな音楽を用いた介入を個別に週1回、能動的参加群と受動的参加群、コントロール群に分けて行なった。評価方法は加速度脈派測定システム・フェーススケールを使用した。その結果、好きな音楽の受動的聴取または能動的歌唱の両者共に精神安定効果があることを確認した。
著者
和田 佐和子 鷲田 孝保 山崎 郁子
出版者
茨城県立医療大学
雑誌
茨城県立医療大学紀要 (ISSN:13420038)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.57-65, 2004-03
被引用文献数
1

「クライエント中心の作業療法」の考え方を通し, 日本の在宅痴呆高齢者に対する作業療法サービスについて考察したところ, 痴呆高齢者本人に対する本質的なサービスとは何か, という課題があがった。その答えを探すために, 学問的視点及び一般社会の視点から, QOLに関する文献調査を行った。結果より, QOLの各側面 (生命の質, 生活の質, 人生の質) に対する本質的なサービス項目が11項目導き出された。さらに, 「目の前のその人の, 今この瞬間を大切に, 潜在能力を引き出す作業療法サービス」と一つにまとめられた。これはリハビリテーションの理念とも一致し, 作業療法の本質的なサービスとは何か, という課題に答えるものであった。これらの答えが, 痴呆高齢者本人を「クライエント」と信じ, サービスを提供しようとする多くの作業療法士や他のケア提供者にとって, 道しるべとなることを願う。