著者
石澤 一志 酒井 茂幸 武井 和人 日高 愛子 山本 啓介
出版者
研究と資料の会
雑誌
研究と資料 (ISSN:03898121)
巻号頁・発行日
vol.73, pp.17-53, 2015-07

『研究と資料』第73輯(2015・7)より転載。宮内庁書陵部図書寮文庫蔵の以下の歌会資料の釈文と略解題を収める。 1三条西家着到百首和歌(五〇三-二五三) 2伏見宮家五十首和歌 明応五・一〇(伏-一七) 3続三十首和歌 大永元・一一(伏-二四) 4伏見宮家続百首和歌 大永三・五(伏-二五) 5三十三首釈教和歌(伏-五三三) 6伏見宮家百首和歌 冬恋雑(伏-五四五) 7点取和歌冬伏十見首殿(伏-五七九)
著者
山本 啓介
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 = National Institure of Japanese Literature (ISSN:18802230)
巻号頁・発行日
no.40, pp.117-151, 2014-03-14

飛鳥井家は『新古今和歌集』撰者の一人である雅経を祖とする和歌・蹴鞠の家である。本稿はその飛鳥井家の当主と周辺における蹴鞠の伝授書の整理分析を中心に行った。飛鳥井家による蹴鞠伝授書は、現在確認した限りでは、早くは応永一六年(一四○九)の雅縁のものから、慶長一八年(一六一三)の雅庸まで計三七種類がある。これらの書の伝授奥書には、対象や伝授の状況なども記されていることが多く、飛鳥井家と門弟との関わりや動向について知る手がかりとなる。その分析から、飛鳥井家が室町から近世にかけての長期にわたり、公家や守護大名、地方武士に至る広い階層に伝授を行っていたことや、地方下向中の伝授や口伝を筆記したものなどの様々な伝授形式があったことが知られる。また、被伝授者の中には飛鳥井家の和歌の門弟としての事跡も残っている人物もいるため、その他の蹴鞠伝授者の場合も同様に和歌の門弟であった可能性を考えてよいものと思われる。被伝授者の中にはその詳細が判然としない人物も少なからずあったが、むしろ本資料の紹介によって明らかとなる事実もあることだろう。This report is an analysis about the Initiation books of “kemari” written by Asukai family in Muromachi and Warring States period.These Initiation books exist 37 kinds. From these, a relation and the trend with the pupil are identified as a person of Asukai family. It lasted for a long term from Muromachi to the early modern times, and the Asukai family knew various instruction forms such as the things which took notes of in a downward direction instruction and learning through the grapevine to a thing and the district which I initiated the wide hierarchy before reaching a court noble and a feudal lord, the district samurai into.
著者
山本 啓介
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要. 文学研究篇 (ISSN:18802230)
巻号頁・発行日
no.40, pp.117-151, 2014-03

飛鳥井家は『新古今和歌集』撰者の一人である雅経を祖とする和歌・蹴鞠の家である。本稿はその飛鳥井家の当主と周辺における蹴鞠の伝授書の整理分析を中心に行った。飛鳥井家による蹴鞠伝授書は、現在確認した限りでは、早くは応永一六年(一四○九)の雅縁のものから、慶長一八年(一六一三)の雅庸まで計三七種類がある。これらの書の伝授奥書には、対象や伝授の状況なども記されていることが多く、飛鳥井家と門弟との関わりや動向について知る手がかりとなる。その分析から、飛鳥井家が室町から近世にかけての長期にわたり、公家や守護大名、地方武士に至る広い階層に伝授を行っていたことや、地方下向中の伝授や口伝を筆記したものなどの様々な伝授形式があったことが知られる。また、被伝授者の中には飛鳥井家の和歌の門弟としての事跡も残っている人物もいるため、その他の蹴鞠伝授者の場合も同様に和歌の門弟であった可能性を考えてよいものと思われる。被伝授者の中にはその詳細が判然としない人物も少なからずあったが、むしろ本資料の紹介によって明らかとなる事実もあることだろう。This report is an analysis about the Initiation books of "kemari" written by Asukai family in Muromachi and Warring States period.These Initiation books exist 37 kinds. From these, a relation and the trend with the pupil are identified as a person of Asukai family. It lasted for a long term from Muromachi to the early modern times, and the Asukai family knew various instruction forms such as the things which took notes of in a downward direction instruction and learning through the grapevine to a thing and the district which I initiated the wide hierarchy before reaching a court noble and a feudal lord, the district samurai into.
著者
山本 啓介
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.62, no.9, pp.25-37, 2013-09-10 (Released:2018-09-11)

後柏原天皇時代の文亀二年(一五〇二)より、参会・披講を伴う晴儀の御会始が行われている。ただし、後年の御会始には、不参の者も少なくなかった。それは貴族達の困窮が一因であったとみられる。そうしたなか、内裏では参会・披講は行わずに、懐紙・短冊のみを詠進する形式の月次和歌も行われた。これは、比較的流動的な方法で懐紙・短冊に和歌を書いて提出するものであり、動乱期の状況下でも少ない負担で和歌活動を継続することが可能な形式であったと見なすことができる。
著者
山本 啓介
出版者
学習院大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本年度は、前年度までの和歌会作法書類の資料調査を整理し、現存和歌会作法書目録の作成を進めた。同目録は現在のところ当初目標と設定した調査をほぼ終了しているが、なお未調査の資料も少なくないため、これらの継続的調査を完了した段階で発表する予定である。上記の調査にあわせて、室町中・後期を中心に和歌会に関する古記録を収集調査し、内容をデータとしてまとめている。また、現存和歌懐紙・短冊の調査もあわせて行い、和歌会作法書との対応関連についても考察を行っている。以上の成果として、和歌会作法書の生成、及び伝授の諸相の研究の進展が挙げられる。室町後期飛鳥井流の書に『和歌条々』という書があり、当主自筆原本が多く伝来している。これらの内容整理、分析、及び伝授の様相を考察し、「飛鳥井家の和歌会作法伝授-『和歌条々』を中心に-」(「和歌文学研究」2010年6月)に発表した。さらに、伝授の考察という点で、共通点の少なくない飛鳥井流蹴鞠書『蹴鞠条々』についても併せて調査を進め、これらの様相を照合することから飛鳥井家の和歌伝授の様相をさらに考究した。その成果は中世文学会秋季大会(2010年10月於県立広島大学)において「中世における和歌と蹴鞠-『蹴鞠条々』と『和歌条々』の伝授を中心に-」として口頭発表を行った。また同発表の成果をまとめた同題の論文を「中世文学」五六号(2011年6月)に掲載する予定である。これらの一連の研究は、室町後期における和歌の作品の背景の様相解明に加え、地方武家相など含めた様々な層における文学・文化享受の有り様を知る上でも、当時における芸道伝授の一面を知る上でも重要なものであると位置づけうる。
著者
山川 真 山本 忠司 水谷 洋子 西谷 博 八星 元彦 平田 純生 堀内 延昭 清水 元一 山本 啓介 岸本 武利 前川 正信
出版者
社団法人 日本透析医学会
雑誌
人工透析研究会会誌 (ISSN:02887045)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.115-127, 1982-03-31 (Released:2010-03-16)
参考文献数
55

炭酸塩の析出という重曹透析液の欠点は, 酢酸ソーダを緩衝剤として用いることによって解決されたが, 透析法の発達によって新たに酢酸透析の問題点が指摘されるようになった. まず, dialyzerの効率の上昇に伴って, 透析液から生体に負荷されるacetate量がその代謝能を超える可能性があることと, 患者の中にはacetateの代謝能が低いものがあることがわかった. またacetateの大量負荷が生体のTCA-cycleに影響を及ぼすことが明らかにされた. 第2は, 酢酸透析では, dialyzerを通して血液から失われるHCO3-とCO2が大きいため, 適正な酸塩基平衡の是正が行われないこと, またCO2の低下から生ずるPO2の低下も考えられた. 第3はacetateの心機能抑制作用と, 未梢血管拡張作用が, 透析に不利に働いて, 透析中の不快症状の原因になっていることが示唆された. 第4はacetateの代謝経路から考えて, 長期には脂質代謝に何等かの影響が及ぶことが推測される. 第5は, まだ知見は少ないが, 重曹透析がCa代謝に有利に働くことが期待される.実際, 酢酸透析を重曹透析に移行することによって, 透析中の不快症状の発現が激減し, 種々の検査成績も改善することが示された. 重曹透析はすべての透析患者にとって有利な透析を提供すると考えられるが, 特に酢酸不耐症、 重症合併症、 心循環系合併症, 導入期, 大面積短時間透析等の症例に有効である. 重曹透析液は炭酸塩の沈澱を防止することが最大の課題であるが, そのためには, 液のpHの安定化をはからねばならない. このことはとりもなおさず, 液のPCO2の安定化に他ならない. 現在では, 重曹透析液は2原液法によって作製されるが, 安定した組成の液とその混合供給装置が開発され実用化している. 重曹透析は生理的で有用であるが, その取扱いはやや煩雑で、 高価になるので, 今後これらの点の改良が望まれる.