著者
中路 富士夫 吉富 研一 山本 栄
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.19, pp.3-6, 1962-11-01
被引用文献数
3

昭和36年産の水稲は当初好天に恵まれ豊作型の生育相を示していた。9月16日第2室戸台風が来襲したが,本県では風速も比較的おそく,従って当初は水稲には大した影響はなかったかに感じられたが,日時の経過につれて損傷があらわれ,過去に事例のない様相で大きな被害をあたえ,連続4年豊作の夢はむなしくやぶれ去った。なかでも潮風をまともにうけた玄海沿岸地帯は被害甚大で,収穫皆無あるいはこれに近い被害を受けたところがかなりみられた。又海岸線から遠くはなれた佐賀北部及び東部山麓にも潮風がふきこみ相当な被害をこうむった。その上品質の低下が著しく農家経済にあたえた打撃は大きかった。筆者らは佐賀農試内で行なっている気象感応試験圃場において台風にともなう被害程度を推定するため,防風極を用いて台風被害回避試験を実施したので,その結果の概要を報告する。
著者
水野 千奈津 山本 栄
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.549-555, 2009-01
被引用文献数
1 1

妊娠に伴う身体の変化は,身体の保持をすることが難しいことが知られている。本研究は,妊婦の歩行時における特有な姿勢調節のメカニズムを明らかにする。そこで,妊婦体験ジャケットを着用した被験者に3次元運動分析装置を用いて妊婦の歩行を調べた。つまづきに関係するToe Clearance(以下,TC:床面〜つま先間距離)に着目し,履物のヒール高の違いとTCについて検討した。本実験では妊婦体験ジャケットを健康な日本人女性である被験者15名(20±1.1歳)に着用することで,妊娠後期と想定し実験を行った。妊婦体験ジャケットの着用時では,全被験者においてTCが小さくなり,さらに,ヒールが高いほどTCが小さくなった。歩幅においても同様に狭くなった。頭部の上下の揺れは,着用時ではヒール高を問わず3.0cm台でほぼ安定していた。しかしながら,非着用時にはTCおよび歩幅の減少とともに頭部の上下の揺れも減少していた。結果より妊婦は歩行をする時,床面からあまり脚を挙げず,歩幅を小さくすることによって,歩行時の安定を作り出していることがわかった。
著者
青島 利久 武市 宣之 泉 達也 山本 栄次
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.40, pp.1144-1145, 1990-03-14

我々は、高速なCommon LISPの処理系HiLISPを開発し、その上にエディタを中心とするプログラミング支援環境を開発してきた。今回、 日立ワークステーション2050上での効率的なプログラム開発を支援するために、既存プログラムの再利用や動作解析ツールを統合化した開発環境を試作したので報告する。
著者
小林 大二 浅見 圭貴 米村 俊一 鈴木 章 嶌田 聡 山本 栄
出版者
日本プラント・ヒューマンファクター学会
雑誌
ヒューマンファクターズ (ISSN:13494910)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.52-62, 2011 (Released:2011-11-15)
参考文献数
12

The concept of mental algorithm, a way of understanding the plant operator's thinking process for identifying malfunctions, has been proposed. According to the concept of the mental algorithm, the operator's thinking process includes many subtle decision–making affected by metacognition activity and the each subtle decision–making makes or chooses an operator's cognitive state (CS) and a behavioral strategy (BS). Most behavior as a result of subtle thinking is affected by performance shaping factors (PSFs), and the both the CS and the BS could be deteriorated. In this regard,a mental algorithm indicates the quality of problem–solving affected by PSFs,and could be applicable not only to the plant operator's thinking process but also to similar problem–solving. As an example of the problem-solving,this study dealt with the thinking for evacuation behavior. The participants moved from a start location to an evacuation center using a custom digital map on a personal digital assistance (PDA). As the results, we assumed that the thinking for evacuation could be represented as a mental algorithm. Further, the CS was categorized into three types and the four types of BS were extracted and the PSF items which lead to the deterioration of evacuation behavioral quality was estimated. Consequently,it was revealed that the concept of mental algorithm was applicable to evacuation behavioral assessment.
著者
小林 大二 高橋 祐一 山本 栄
出版者
日本橋学館大学
雑誌
紀要 (ISSN:13480154)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.15-29, 2006-03-30
被引用文献数
4

日本は65歳以上の高齢者が人口に占める割合が高い高齢社会である.政府や地方自治体では,高齢者が公共サービスを自宅で受けられるようにするために,インターネット主体の情報ネットワークを整備しているが,依然として多くの高齢者が生活に必要な公共サービスや年金などの情報を入手することが難しいのが現状である.例えば,高齢者の20%以上はインターネットに接続できる環境にあるが,ウェブページなどから情報を取得することが難しいと感じている.この理由として,非英語圏に住む日本の高齢者がパソコンのキーボード操作に慣れていない点や,高齢者の心的特性やウェブページのアクセシビリティが確保されていない点などが挙げられる.本研究では,高齢者がウェブページを通して情報を収集する際のアクセシビリティに着目し,現在の高齢者が抱えるウェブ閲覧における難点を明らかにした上で,その改善案を提案した.まずは高齢者がノートパソコンとマウスを用いてウェブを閲覧した際に経験するマウス操作の問題点を明らかにした.次に,ウェブページにあるリンク対象にマウスカーソルを合わせることが難しい問題の要因を探った.さらに,高齢者に画面内の9箇所をクリックさせる実験を行い,リンク位置とリンク対象の大きさがマウス操作に与える影響を探った.これらの実験では,独自に開発したソフトウェアを用いて高齢者のマウス操作を記録した.以上の実験を通して,ウェブ閲覧を難しくする高齢者のマウス操作の実態が明らかになった.そこで,高齢者のマウス操作を,より確実にするためのアクセシビリティ・ツールを開発した.このツールは,マウスカーソルを正しいリンク位置へ戻す機能,クリックするリンク対象を拡大表示する機能,クリックに必要なマウスの左ボタン以外のボタンを無効化する機能によって構成した.アクセシビリティ・ツールの有効性を検証した結果,このツールによってウェブ閲覧の難点が取り除かれる可能性が高いことが判った.