著者
張 勇 大谷 淳 米村 俊一 徳永 幸生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.456, pp.135-140, 2011-02-28

筆者らの研究室ではネットワークで接続された仮想環境であるサイバーシアターにおける観客効果について検討を行っているが.仮想劇場空間に配置される観客アバターの数が数体程度と少数であり,劇場の背景が無かったので,演技者が実空間中の劇場にいるような臨場感を感じるのが困難であった.さらに,この従来システムにおけるアバターの反応特性は,実人間が観客の場合の反応特性に基づいたものではなかったので,実験結果の信頼性が不明確と言える.そこで,本研究では,5人の実人間が1人20体ずつのアバター(合計100体)を担当する新たなサイバーシアターシステムを構築した.実人間が観客の場合の反応の特性を計測するとともに,その新たな実験システムを用いてアバターが観客の場合の反応の特性を計測するとともに,演技者への主観評価テストに基づき,観客が実人間の場合とアバターの場合の違いを検討した.
著者
米村 俊一 Chen Li Jen 大谷 淳 徳永 幸生 嶌田 聡
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.442-450, 2010-07-25
参考文献数
23
被引用文献数
2

本稿では,互いに遠隔地にいる人同士のインフォーマルコミュニケーションを支援することを目的として,テキストベースのCMC (Computer Mediated Communication)における「おしゃべり」を,黒丸画像によって 触発する“●”メディアを提案する.“●”メディアでは,創造的活動の認知プロセスに関する研究であるジェネプロワモデルに基づいて,話題の発想および話題の転換を触発する基本機能をデザインした.また,“●”メディアのコンセプトに基づくプロトタイプシステムを構築しコミュニケーション実験を行った結果,背景画像として提示した黒丸は,CMC上でのテキストによるおしゃべりの中で被験者の話題作りに関する発想を触発する と共に,触発される話題は話者相互の状況や心境までも含めた知識の共有につながるものも多く,ユーザ同志の相互理解を深める上で効果的なメディアであることが明らかとなった.
著者
米村 俊一 永徳 真一郎 鎌田 一雄 田邊 勝義
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.11, pp.2000-2010, 2009-11-01
参考文献数
21
被引用文献数
4

本論文では,公共空間での情報保障におけるメディアの適切な使い方を探るための基礎として,鉄道車両内において事故等の列車運行情報を提示するという状況を想定したメッセージ提示実験を行い,ろう者による情報読取りの認知特性,及び,読取りストラテジーを明らかにした.特に,車両内ディスプレイに手話実写映像(JSL)及び日本語テキスト(JT)を組み合わせる二言語提示を対象とし,ろう者に対してJSL,JT,及びJSL+JTによる情報提示を行い,メッセージの読取り時間,メッセージ内容再認テストの正答率によって情報読取りの認知特性を測定するとともに,視線計測を行って情報読取りストラテジーの検証を行った.更に,質問紙調査を実施し,メッセージ提示方法に対する受容性に関する評価を行った.実験の結果,緊急性の高い二言語情報の読取りでは,どのタイプのろう者もJTからの情報読取りを高頻度で行うこと,JSLから情報を読み取るろう者に対してはJTによる補足が必要であること,が明らかとなった.更に,情報受容性の観点から,ろう者はJTによる情報読取りを支持することが明らかとなった.
著者
渡辺 昌洋 米村 俊一 浅野 陽子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.34, pp.17-22, 2010-05-06

高齢者のウェブアクセスを支援するためには,非明示的な自己記述性が必要であることが,ISO9241-110とJIS Z 8520の対話の原則に基づく過去の研究からわかってきた.非明示的な自己記述性を確保する方法としてメタファに着目した,我々は中高年以上の初心者PCユーザが,ブラウザを使ったときと本のメタファを使ったときのウェブナビゲーションタスクを行う際の行動を観察し,インタビューを行った.その結果,非明示的な自己記述性の確保に対して,メタファの効果が大きいことがわかった.
著者
小林 大二 浅見 圭貴 米村 俊一 鈴木 章 嶌田 聡 山本 栄
出版者
日本プラント・ヒューマンファクター学会
雑誌
ヒューマンファクターズ (ISSN:13494910)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.52-62, 2011 (Released:2011-11-15)
参考文献数
12

The concept of mental algorithm, a way of understanding the plant operator's thinking process for identifying malfunctions, has been proposed. According to the concept of the mental algorithm, the operator's thinking process includes many subtle decision–making affected by metacognition activity and the each subtle decision–making makes or chooses an operator's cognitive state (CS) and a behavioral strategy (BS). Most behavior as a result of subtle thinking is affected by performance shaping factors (PSFs), and the both the CS and the BS could be deteriorated. In this regard,a mental algorithm indicates the quality of problem–solving affected by PSFs,and could be applicable not only to the plant operator's thinking process but also to similar problem–solving. As an example of the problem-solving,this study dealt with the thinking for evacuation behavior. The participants moved from a start location to an evacuation center using a custom digital map on a personal digital assistance (PDA). As the results, we assumed that the thinking for evacuation could be represented as a mental algorithm. Further, the CS was categorized into three types and the four types of BS were extracted and the PSF items which lead to the deterioration of evacuation behavioral quality was estimated. Consequently,it was revealed that the concept of mental algorithm was applicable to evacuation behavioral assessment.
著者
宮脇 健三郎 西口 敏司 米村 俊一 佐野 睦夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.35, pp.13-18, 2010-05-07
参考文献数
17

本稿では,複数センサを用いた人間の食事行動の認識手法について検討する.食事行動の状態認識は,料理を食べた直後にその感想を求めるなど,食卓での話題を適切なタイミングで提示する,食卓コミュニケーション支援エージェント等に応用できる.カメラによる食事中の顔や唇の状態認識,および加速度センサによる手首の回転や移動の検出を併用した,食事行動の状態認識方式を提案する.
著者
大川内 隆朗 大谷 淳 米村 俊一 徳永 幸生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.332, pp.13-18, 2011-12-01

本論文では,非同期型(オンデマンド型)e-learningシステムにおける講義の改善のために重要な,学習者の主観的難易度の把握方法の基礎的検討を行う.非同期型e-learningシステムでは,対面型の講義とは異なった,学習者の主観的難易度把握法が必要である.具体的には,講義のテープの巻き戻しや一時停止などについての時系列的な挙動が,主観的難易度を反映すると考えられる.数名の学習者を対象に実験を行い,e-learning講義受講中の行動データを取得するとともに,授業後に学習者に対してインタビューを行った.その結果,巻き戻しの回数や,一時停止の時間の長さなどが,学習者自身がそのときに感じている,講義内容に対する理解の困難さと関係のあることが確認できた.
著者
中根 愛 米村 俊一 浅野 陽子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.331, pp.13-18, 2008-11-28
被引用文献数
1

新規顧客の獲得,既存顧客の維持をできる製品,すなわち選ばれ続ける製品の評価を行うためには,製品の性能に関わる定量的な指標やユーザビリティといった評価指標では不充分になってきている.ここで注目される概念として,ユーザが製品の利用を通じて享受する経験全てを意味するユーザエクスペリエンス(UX)がある.本稿では,UXは製品に一定ではなく,時間軸によって変化するだろうということを前提に,UXに影響を与える因子の重み付けが時間軸によって変化し,更に人と製品の関わりによってその変化の仕方も異なる,というUXの評価モデルを提案し,モデルの妥当性を検討した.
著者
中谷 桃子 宮本 勝 米村 俊一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.744, pp.41-46, 2005-03-17

コールセンタにおいて電話後にユーザに付加的な情報を与える, 「自己解決指向型ユーザサポート」の効果を, ユーザの自己解決意欲と主観的成功確率という2種類の尺度を用いて評価した. 結果, 全く同一の課題を与えているにも関わらず, 1人の被験者は達成見込みを高く評価し, 自己解決意欲も直ぐに向上した. 一方, もう1人の被験者は, 向上意欲は高いが, 達成見込みを低めに見積もり, 自己解決意欲に対しても非常に慎重な様子を見せた. これらの結果から, 前者のような被験者には, 多くの情報量を与え成長の機会を増やし, 一方, 後者のような被験者には, ある程度情報量を限定した付加情報の与え方が重要であることが示唆された.
著者
青木 政勝 米村 俊一 武藤 伸洋 阿部 匡伸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.552, pp.31-36, 2008-03-15
被引用文献数
1

最近の日本では地震や集中豪雨などの自然災害が頻発している.一般に災害時の情報はTVやラジオといったマスメディアによつて伝達されている.しかしながら,TV等の報道ではニュース性のある一部の情報しか報道されず,被災地の住民,被災者は生活・復旧に必要な情報がなかなか得られないのが実情である.そのため,被災者に必要な地域に密着した災害情報を共有することができる被災者間での情報共有環境が求められている.これまで我々は機動性の高い携帯電話を用いて,被災者自身が迅速かつ正確に災害時の情報を発信し,共有することを目的とした災害時情報共有システムを開発してきた.本稿では情報入力をより容易にする手法としてメニュー選択式を採用し,その有効性を情報投稿のしやすさで評価した.
著者
手塚 祐一 三上 範賢 梶原 清彦 米村 俊一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.536, pp.1-6, 2001-01-05

IT技術の進展に伴い, 企業内イントラネットの整備, その中での情報共有を支援するWebグループウェアが普及し始めている.さらに, 企業間でインターネットを利用した協調作業が進む中で, 複数の組織間で情報を共有する方法が要請されている.従来, データ連携を考慮しない上記システムの場合はデータ授受・特定に問題があった.本稿ではWebブラウザとWebグループウェアで通信されるデータを分析し, それに基づいてデータ仲介を行なうサーバを提供することで操作対象となったデータを監視, 抽出する方式を提案する.その結果, 複数のWebグループウェア間で共通に定義されるスケジュールデータに対するデータ共有を実現した.
著者
宮本 勝 中谷 挽子 渡辺 昌洋 米村 俊一 小川 克彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.169, pp.7-12, 2004-07-02
被引用文献数
1

検索要求の表現と検索対象の表現が乖離している場合,適切に情報を絞り込むことが難しい.そこで,本稿では,情報を絞り込まず,長い検索結果リストを,大雑把に飛ばし読みしつつも,必要な情報を見逃さないような検索結果の表示方法を提案する.FAQを事例として評価した結果,飛ばし読みの方略をとり,本方式を高く評価する層,しない層,飛ばし読みができず,並び順を弁別できない層に被験者を層別できた.また,本方式を高く評価する層は,検索要求の表現と検索対象の表現が乖離している場合に,アルファベット順の表示方式では必要な情報を見逃す確率が高いが,本方式では大雑把に飛ばし読みをしつつも,必要な情報を見逃す確率が低いことが分かった.