著者
大島 裕明 山本 祐輔 山家 雄介 高橋 良平 ヤトフト アダム 中村 聡史 田中 克己
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.2-7, 2011-01-01
被引用文献数
1

Web情報には多様な情報が存在しており,本当に信じてよいのかどうかは慎重に検討しなくてはならない。特に,Web2.0コンテンツは,これまでの本や新聞などのメディアよりも,情報の品質が低い可能性があるため,信憑性の検証が必要であると考えられる。本稿では,そのようなWeb情報の信憑性という課題に対して,情報技術がどのような役割を果たせるかということについて議論する。まず,情報の信憑性という概念について整理を行う。また,現在,Web情報の信憑性に関連して行われている研究について紹介する。さらに,われわれが行っているWeb情報の信憑性検証技術に関する研究の紹介を行う。
著者
山本 祐輔 山本 岳洋 大島 裕明 川上 浩司
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.24-37, 2019-01-16

本稿では,ウェブ検索エンジンなどの情報アクセスシステムを用いて情報を精査し,正確なウェブ情報を収集する能力「ウェブアクセスリテラシー」を測定する尺度と質問紙を提案する.提案したリテラシー尺度の信頼性,妥当性の評価を行うために,クラウドソーシングサービスを用いて534名のウェブユーザにオンライン調査を行った.因子分析の結果,ウェブアクセスリテラシー尺度は7因子構造であった.また,ウェブアクセスリテラシー尺度の総合得点は,当該尺度と関連すると考えられる健康リテラシー尺度得点と弱い正の相関(r=0.32,p<.001)を,ウェブ情報に対する信用度と弱い負の相関(r=-0.20,p<.001)を示した.さらに,情報リテラシー関係の講義の受講経験別にウェブアクセスリテラシー尺度得点を確認したところ,統計的有意差が確認された(F(1, 525) = 8.82,p<.01).信頼性を示すクロンバックのα係数については,6つの因子は0.8以上,1因子については0.76であった.
著者
山本 祐輔
出版者
京都大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

【研究目的】本研究では、初心者リサーチ・アドミニストレータ(以下URA)やURA志望の職員・若手研究者が、研究プロデュース業務(URA業務)を象徴するケースに触れることで「URA業務の全体像や個々のケースを乗り切るための考え方」を獲得するためのゲーム教材を開発した。【研究方法】以下の手順で研究を行った。①URAおよびURA類似職員に対するヒアリングを通じたURA業務事例の収集、②URA業務の分類・モデル化、③URA業務を象徴するケースの抽出、④ゲーミフィケーションを用いたURA体験ゲームプロトタイプの開発、⑤プロトタイプテスト。【研究成果】研究開始当初、ボードゲーム形式でURA業務を体験・議論することを計画していたが、ゲーム参加者が議論したいURA業務事例を自ら積極的に選び、他の参加者と活発な議論ができるよう、ゲーム形式の再検討を行った。その結果、かるた形式のゲームを開発した。かるたには、URA業務で象徴的な場面に加え、その場面を乗り切るための考え方・方法を記した選択肢が2つ書かれている。ゲームの参加者は50種類のかるたから、自分が議論したいかるたを選択する。選択したかるたを元に、ゲーム参加者はかるたに書かれた場面をどう乗り切るかについて、自分の意見をぶつけながら議論する。最終的に一番盛り上がったかるたを多く持っていた参加者が勝者となる。プロトタイプテストを通じて、本かるたゲームはURA初心者にもURA経験者にも、URA業務に対する考え方を深めるために効果があることが示された。ゲーミフィケーションを用いることで、URA研究会などでは質問・議論しづらいことを遠慮無く他の参加者にぶつけることが可能になった。また、体験したことがないURA業務に対する考え方を、他の参加者から吸収する機会を創出することができた。一方で、ゲームを終了するのに時間がかかるなどの問題も明らかになった。今後はゲームバランスを調整し、URA研究会などでゲーム体験会を実施したい。
著者
備前 宏紀 木村 大介 村松 歩 山本 祐輔 原地 絢斗 水野(松本) 由子
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.270-278, 2023-06-15 (Released:2023-06-15)
参考文献数
32

単一脳領域と脳内ネットワークの2つの視点から,運動学習過程における脳機能変化と運動学習の遅速の違いによる脳機能変化の差異を解明し,運動学習を作業療法に応用するための基礎資料を得ることを目的に,賦活量と媒介中心性を運動学習前後で比較検討した.その結果,運動学習後に右背外側前頭前野,左前頭眼窩,左右前頭極の賦活量は減少し,左背外側前頭前野の媒介中心性は上昇した.また,運動学習の遅速による脳機能変化の差異では,右背外側前頭前野の媒介中心性の変化に違いを認めた.これらの領域をモニタリングすることは,作業療法の実践歴に加え脳機能の観点からも,対象者に合わせた作業療法介入を検討する上での基礎資料になりうる.
著者
山本 祐輔 山本 岳洋
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.38-52, 2019-01-16

本稿では,ウェブ検索中のユーザに注意深い情報探索を暗黙的に促す「クエリプライミング」を提案する.クエリプライミングは,批判的思考を喚起し注意深い情報探索や意思決定を促進するようなキーワードを,クエリ補完やクエリ推薦時に提示する.クエリプライミングの有効性を検証するために,クラウドソーシングを用いたオンラインユーザ実験を行った.被験者の情報探索ログ分析および実験のアンケート調査の結果,以下の傾向が明らかになった:(1)クエリプライミングが実装されたウェブ検索エンジンを用いた被験者はセッション中の検索回数が増え,検索結果一覧ページを何度も見直すようになる.(2) クエリプライミングによって,証拠を重視してウェブページを検索・閲覧する行動が促進される.(3)クエリプライミングの効果は被験者の学歴に依存する.本研究で得られた知見は,注意深い情報探索を活性化させる検索インタラクションの設計に寄与することが期待される.In this paper, we propose a novel method, query priming, to activate careful user information seeking during web search process. Query priming employs query auto-completion (QAC) and query suggestion (QS) to show search terms that stimulate critical thinking and encourages careful information seeking and decision making on the web. We conducted a user study using a Japansese crowdsourcing service. Through the user study, we found the followings: (1) Participants using a search user interface with query priming, issued more queries and (re-)visited search engine result pages more frequently. (2) Query priming promoted web page selection targeted at evidence-based decision making. (3) The query priming effect varied relative to participant educational background.
著者
山本 祐輔 嶋田 敏
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.WII-L_1-12, 2017-01-06 (Released:2017-01-20)
参考文献数
24
被引用文献数
2

During web search and browsing, people often accept misinformation due to their inattention to information credibility and biases. To obtain correct web information and support effective decision making, it is important to enhance searcher credibility assessment and develop algorithms to detect suspicious information. In this paper, we investigate how credibility alarms for web search results affect searcher behavior and decision making in information access systems. This study focuses on disputed topic suggestion as a credibility alarm approach. We conducted an online user study in which 92 participants performed a search task for health information. Through log analysis and user surveys, we confirmed the following. (1) Disputed topic suggestion in a search results list makes participants spend more time browsing pages than ordinary search conditions, thereby promoting careful information seeking. (2) Disputed topic suggestion during web browsing does not change participant behaviors but works as complementary information. This study contributes to system designs to enhance user engagement in critical and careful information seeking.
著者
山本 祐輔 手塚 太郎 ヤトフト アダム 田中 克己
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.3, pp.576-584, 2008-03-01
被引用文献数
2

「恐竜は6500万年前に絶滅した」といったような知識の信頼性を確認する際,現在では検索エンジンの検索結果を用いて確認が行われている.しかし,ユーザの確認したWebページのみで判断を行うのは,個々のページの信頼性が低いことやページが網羅的に確認されていない点に問題がある.そこで我々はユーザが真偽に確信がもてない知識の信頼性を判断支援するシステムを提案する.本論文では,知識の信頼性をそれに関連するWebページの品質評価,言語的な分析,ページの生成時間分析から判断支援する方法を述べ,並びに実装,その評価を行う.類似のシステムとしてWebQAが挙げられるが,今回提案するシステムはユーザの質問に対する回答を発見することが目的ではなく,知識の信頼性を積極的に判断支援する点で異なる.提案手法ではまず知識を言及するWebページの評価と知識が言及された文脈の分析を行った.更に,ある時期においてある知識がどの程度Web上で言及されているか,どの程度継続して言及されているかを分析することで,時間的な観点からの知識の信頼性を評価し,その有効性の確認を行った.
著者
山本 祐輔
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2011-03-23

新制・課程博士
著者
山本 祐輔
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

平成22年度は「Web情報の信頼性の評価」に関する研究として2つの課題に取り組んだ.1つ目の研究課題は,Webページに掲載された画像の信憑性を分析するためのアルゴリズムの開発である.本アルゴリズムのために,昨年度開発したWeb情報の信憑性を分析する汎用的なアルゴリズムを画像信憑性分析のために応用・改善した.開発した分析アルゴリズムは,画像の信憑性を画像とその周辺テキスト内容(例:キャプション)との整合性に着目した分析アルゴリズムである.また,提案アルゴリズムの応用システムとして,Web画像の信憑性をブラウジング時にリアルタイムに解析できるアプリケーションImageAlertを開発した,ImageAlertを用いることで,閲覧中の画像の信憑性を分析し,より信憑性の高い画像を取得することが可能となる.開発したアルゴリズム・アプリケーションは,既存のメディア情報とは異なり信憑性の検証がほとんど行われないWeb情報,特にインターネット広告の画像の信憑性検証に有益である.2つ目の研究課題は,インターネットユーザの信憑性判断モデルの推定に基づくWeb検索結果の最適化に関する研究である.情報の信憑性は,情報の種類や情報を閲覧するユーザによって評価尺度が異なる情報特性であることが知られている.そこで,2つ目の研究課題では,検索結果に対するユーザの信憑性フィードバック情報から信憑性判断時にユーザが重視する信憑性評価観点を推定し,それを基にWeb検索結果を再ランキングするシステムを開発した.提案システムによって,(1)通常のWeb検索結果では確認することが難しい信憑性判断情報を確認すること,(2)膨大なWeb情報の中から各々のユーザにとって信憑性が高いと思われるWebページを効率よく検索することが可能となる.