- 著者
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山澤 正
- 出版者
- THE TOHOKU GEOGRAPHICAL ASSOCIATION
- 雑誌
- 東北地理 (ISSN:03872777)
- 巻号頁・発行日
- vol.38, no.4, pp.292-305, 1986-12-25 (Released:2010-04-30)
- 参考文献数
- 8
- 被引用文献数
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横浜駅地区では, 昭和30年代から急速な開発が計画的に行われ, その一環として, 地下空間が地下街を核として隣接ビルと連担しながら, 駅前東西両地区に建設された。本研究はこの地下空間に関して, 店舗の業種構成, 配置, 来街者通行量などを検討し, その特性を把握することを目的とする。駅の東西地下空間を個別に検討した結果, 共通した性格が多い。地下空間においては, 一般に各店舗は比較的同業種ごとに配置されており, 管理会社の主体的な運営が反映されている。業種構成では, 婦人服や宝石, アクセサリーなどの女性向けファッション関係の店舗が多いのが特徴である。また, 飲食関係の店舗も多く, 隣接ピルでの地下空間の主要な構成要素となっている。地下空間内の来街者通行量は, 東西地下空間とも, 地下街の正面階段入口から中央通路を通って各街区に分散する単線形の流れを基調とする。しかし, 西口地下空間では, 百貨店の地階を囲むような回遊形の流れが新たに生じている。これは, 主に交通機関による乗降口の配置が影響していると思われる。つまり, 西口地下空間の場合, この回遊形の流れの線上に交通機関の乗降口が配置しているからである。総じて横浜駅地区では, 地下空間が小売商業地域として位置付けられ, 地上空間は百貨店などの商業ビル以外は業務機能, あるいは交通施設として利用されている。