著者
小泉 達寛 山田 寛喜 藤井 智史 長名 保範 宇野 亨
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.7, pp.519-520, 2022-07-01

波浪の観測を目的とした海洋レーダは,通常,垂直偏波で運用される.筆者らは,広い海域を観測できる海洋レーダの特長を生かしたマルチユース化の可能性を検証するため,偏波海洋レーダを開発した.本論文では,そのレーダの概要と実験結果を報告する.
著者
山田 寛喜
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J104-B, no.2, pp.66-82, 2021-02-01

ミリ波レーダは,その伝搬特性,広帯域性から,主に車載レーダとして広く普及してきた.更にMIMOレーダ化による高機能化,低価格化に伴い,近年では,近距離高分解能レーダとして幅広い応用研究が進められている.このようなアレーレーダ化により,距離,速度(ドップラ周波数)に加え,方位(角度)情報といったターゲットの3次元情報が得られる.これらを用いることによりターゲットの空間的な位置や様々な特徴を得ることができる.距離分解能は周波数帯域幅,ドップラ分解能は観測時間の増加に伴い改善可能である.しかしながら,方位分解能に関しては,アレー素子数の増加が必要となるため,ハードウェアの制約等により十分な分解能確保が困難な場合が多い.この論文では,方位分解能改善の観点に絞り,その高分解能化に関して論じている.ここでは二つの異なるアプローチを概説し,その有効性を明らかにする.一つは人物などの動きのあるターゲットの検出を目的としたMIMO仮想アレーによる高分解能化手法である.もう一つは自動車の側方(斜め前方)監視を目的としたレーダプラットホームの動きによる合成開口手法である.これらの手法の効果を実験結果を通して示している.
著者
森山 敏文 中西 竜哉 山口 芳雄 山田 寛喜 藤本 京平
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播
巻号頁・発行日
vol.94, no.140, pp.21-28, 1994-07-15
被引用文献数
1

この報告では,不均一媒質である雪に対してレーダポーラリメトリを適用した結果について述べる.レーダポーラリメトリとは,電波の持つベクトル性である偏波の情報を最大限に利用する技術である.今まで,単一周波数での理論展開が主体であった.しかし,広帯域レーダであるFM-CWレーダにもレーダポーラリメトリが適用でき,自由空間において物体の識別や強調,抑制などが行なえることがわかっている.しかし,雪のような不均一媒質中での適用は初めてである.今回は,FM-CWレーダを用いて実際に雪の中で測定を行ないレーダポーラリメトリのフィルタとしての有効性について検討した.
著者
山口 芳雄 グラブ シング 山田 寛喜 Yamaguchi Yoshio Gulab Singh Yamada Hiroyoshi
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.101, no.9, pp.638-647, 2018-09

災害監視や地球環境観測に偏波合成開口レーダ(PolSAR)が大きな役割を果たしつつある.PolSARから導かれる偏波データのCoherency行列には9個の2次統計量が含まれている.その利用法の一つに散乱メカニズムに基づいた散乱電力分解がある.Coherency行列を散乱モデル行列で展開することにより,各散乱電力を求める手法である.各散乱電力に基づいたカラー画像が作成できるので,理解しやすく,多くの手法が提案されてきた.本文では,その進展とともに最新の6成分分解手法について述べる.
著者
山口 芳雄 木村 晃治 山田 寛喜
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SAT, 衛星通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.58, pp.53-58, 2004-05-13

この報告は円偏波基底の相関係数を用いて,偏波画像の中の人工物体の検出を試みたものである.偏波画像の解析ツールにはいろいろな偏波パラメータがあるが,相関係数は統計処理によく使われ,基本的な量である.円偏波基底で相関係数を調べたところ,<Srr Sll^*>の項に無視できない位相項が含まれており,この項目が複雑な人工物からの散乱に対応していることが分かった.ここでは,その情報を用いて,特にレーダ照射方向に対して斜めに傾いているようなビル・建物などの検出に有効であることを示す.偏波画像解析にはPi-SARのデータを使用した.
著者
佐藤 亮一 板垣 健志 山口 芳雄 山田 寛喜
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OPE, 光エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.155, pp.97-102, 2008-07-17

本稿では,水面-抽水植物境界モデルに対してFDTD法による偏波散乱解析を行い,著者が以前の研究において提案したPOLSAR画像解析を用いた湿地帯水域観測手法の妥当性を検証する.提案の湿地帯水域観測手法は,ターゲットとなる湿地水域の水位が高い場合に,水域と周辺の抽水植物との境界部分から発生する2回反射散乱量が多くなることに着目して考案された.しかしながら,抽水植物の体積密度が極端に小さい場合,あるいは小さなレーダ照射角度の場合においても,強い2回反射散乱成分が検出可能かどうかはわからなかった.そこで本稿では,水域と周辺抽水植物との境界を簡易的にモデル化して,そのモデルに対してFDTD偏波散乱解析を実行し2回反射散乱成分の抽出が可能かどうかについての検証を行う.
著者
平田 明史 タユフェール エディ 青野 智之 山田 寛喜 大平 孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.63, pp.59-64, 2003-05-15
被引用文献数
6

エスパアンテナは円形配列アレーアンテナであるが,中央に給電素子を有しているため菱形のサブアレーを3対取り出せる構成となっている.そこで本報告ではリアクタンスドメインMUSIC法に3組の空間平均を適用して,コヒーレント波の到来方向推定を行う方法を提案する.特定の方向への平行移動による空間平均では,その到来角推定精度が到来角度に依存するために3組のMUSICスペクトラムを合成した形で空間平均後のスペクトラムを定義する.電波暗室内での実験結果から,到来角度差が角度分解能以上の場合には2波を分離し2つのピークを検出できることを示す.角度分解能として到来角度差45°を5割程度の割合で検出できることが分かる.