著者
光武 誠吾 柴田 愛 石井 香織 岡崎 勘造 岡 浩一朗
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.361-371, 2011 (Released:2014-06-06)
参考文献数
26
被引用文献数
3

目的 インターネット上の健康情報を有効に活用するためには,適切に健康情報を検索し,評価し,活用していく能力(e ヘルスリテラシー)が必要であるが,我が国では e ヘルスリテラシーを測る尺度すらないのが現状である。本研究では,欧米で開発された eHealth Literacy Scale (eHEALS)の日本語版を作成し,その妥当性と信頼性を検討するとともに,e ヘルスリテラシーと社会人口統計学的特性およびインターネット上の健康情報に対する利用状況との関連を検討した。方法 社会調査会社にモニター登録している3,000人(男性:50.0%,年齢:39.6±10.9歳)にインターネット調査を実施した。eHEALS 日本語版 8 項目,社会人口統計学的特性 6 項目,インターネット上での健康情報に関する変数 2 項目を調査した。探索的因子分析による項目選定後,構成概念妥当性は,確証的因子分析による適合度の確認,基準関連妥当性は,相互作用的•批判的ヘルスリテラシー尺度との相関により検討した。また,内部一貫性(クロンバックの α 係数)および再検査による尺度得点の相関により信頼性を検証した。さらに eHEALS 得点と社会人口統計学的およびインターネット上での健康情報に関する変数との関連の検討には,t 検定,一元配置分散分析,χ2 検定を用いた。結果 eHEALS 日本語版は 1 因子構造であり,確証的因子分析では一部修正したモデルで GFI=.988, CFI=.993, RMSEA=.056と良好な適合値が得られた。また,eHEALS 日本語版得点は,相互作用的•批判的ヘルスリテラシー尺度得点と正の相関を示した(r=.54, P<.01)。信頼性については,クロンバックの α 係数は.93であり,再調査による尺度得点の相関係数は r=.63 (P<.01)であった。eHEALS 日本語版得点は男性より女性,20代よりも40, 50代,低収入世帯よりも高収入世帯,インターネットでの情報検索頻度が少ない者より多い者で有意に高かった。また,eHEALS 日本語版得点の高い者は,健康情報を得るために多くの情報源を利用しており,その中でも特にインターネットを活用し,インターネットから取得している健康情報の内容も多様であった。結論 eHEALS 日本語版は我が国における成人の e ヘルスリテラシーを評価するために十分な信頼性と妥当性を有する尺度であることが確認された。今後も増加するインターネット上の健康情報を個人が適切に活用するためには e ヘルスリテラシーが重要であることが示唆された。
著者
國本 あゆみ 菊永 茂司 岡崎 勘造 天野 勝弘 佐川 和則 新宅 幸憲 積山 敬経 井上 裕美子 成山 公一 山崎 先也 岡本 啓 石井 信子 田子 孝仁 土岡 大介 福田 隆 林 恭輔 小倉 俊郎 東條 光彦 三村 由香里 松枝 睦美 上村 弘子 津島 愛子 加賀 勝 酒向 治子 土井 真由 鈴木 久雄
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.74-84, 2017 (Released:2017-05-31)
参考文献数
35

目的:本研究は大学生男女個々および交互,相互におけるBMIと体型不満の関連について検討することを目的とした.方法:対象は全国14大学に在籍する18-22歳の男性学生4,118名,女性学生2,677名であり,体組成測定およびボディーイメージに関する質問紙調査を用いた横断研究を行った.体組成は健康診断の結果もしくは実測した.結果:対象の平均(SD)BMIは男性21.7(3.3)kg/m2,女性は20.9(2.7)kg/m2であった.BMIが18.5未満の者の割合は男性11.1%,女性14.6%であり,BMIが18.5-24.9の範囲の者の割合は男性76.1%,女性78.9%であった.BMIに対する理想不満度(理想のシルエット-現在のシルエット)と健康不満度(健康的なシルエット-現在のシルエット)の間に男性は交互作用が認められなかったけれども,女性では有意な差が認められた(p<0.001).魅力的な男性のシルエット値は,男女間に有意な差はみられなかった(t=1.231,p=0.218,d=0.04).一方,男性からみた魅力的な女性のシルエット値は平均4.65,女性が思う男性からみた魅力的な女性のシルエット値は平均3.97であり,女性は男性に比べ有意に低い値を示した(t=25.08,p<0.001,d=0.70).結論:女性大学生の考える健康的な体型は理想体型より太い体型であった.魅力的な男性のシルエットは男女間に差がみられなかった.しかしながら,魅力的な女性のシルエットは男性より女性においてより細い体型と考えていることが示唆された.
著者
岡崎 勘造 柴田 愛 石井 香織 助友 裕子 河村 洋子 今井 (武田) 富士美 守屋 希伊子 岡 浩一朗
出版者
日本スポーツ産業学会
雑誌
スポーツ産業学研究 (ISSN:13430688)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.235-244, 2011 (Released:2011-11-23)
参考文献数
24

The present case study evaluated an environment-focused project for promoting walking, which included the development of walking courses (using public spaces, parks, roads) with stations for smart cards in the community and an interfaced internet-based self-monitoring system. The project was started in 2008 in Misato City of Saitama Prefecture. In this project, individuals can participate by paying a registration fee (500 yen) and obtaining their own cards. If registrants walk the course, holding their cards over a scanner at 3-4 stations, the smart card records their data (e.g. distance and time spent in walking) from one to the other station and transfers these to a self-monitoring system. As a result, registrants could check their data online. From June 2008 to November 2009, a total of 631 individuals (62% female) who obtained the information from newspaper, magazines, website, or some local events, registered for this project. From walking data collected automatically in the database through the self-monitoring system, it was found that 445 registrants (63% female) used this system at least once, and most of the registrants were 40 years old or more. This suggests that the project in this study might have been effective in promoting walking only among older people. Also, most of the registrants lived around the courses. In particular, the courses in the area surrounded by beautiful nature and residential areas were often used. To expand this idea to other age groups, new attempts, including a point supplying system based on the distance of walking are under development.