著者
大竹 文雄 加藤 大貴 重岡 伶奈 吉内 一浩 樋田 紫子 黒澤 彩子 福田 隆浩
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.32-52, 2020-08-25 (Released:2020-08-25)
参考文献数
6

本論文では,骨髄バンク登録者のうち移植患者との適合通知を受け取った人へのアンケート調査と大阪大学の一般の人へのアンケート調査を用いて,骨髄バンク登録者,幹細胞提供者と一般の人との特性の違いの有無を検証した.主な結果は,つぎの通りである.第一に,骨髄バンクに登録する人や幹細胞を提供する人は一般の人と比べると,利他的で,時間割引率が低く,リスク許容度が高い.第二に,定期的献血者や臓器提供の意思表示者は幹細胞提供確率が高い.第三に,有給ドナー休暇や有給休暇が取りやすい環境で,幹細胞提供確率が高い.第四に,同調性が高い人は骨髄バンクに登録する可能性が高いが,幹細胞提供の依頼があった際に提供をしない傾向にある.第五に,登録者と提供者の時間割引率と現在バイアスは阪大サンプルと比較して低いが,現在バイアスを含む時間割引率が高い人が幹細胞を提供する確率が高い.
著者
梅崎 重夫 福田 隆文 齋藤 剛 清水 尚憲 木村 哲也 濱島 京子 芳司 俊郎 池田 博康 岡部 康平 山際 謙太 冨田 一 三上 喜貴 平尾 裕司 岡本 満喜子 門脇 敏 阿部 雅二朗 大塚 雄市
出版者
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.13-27, 2014 (Released:2015-03-26)
参考文献数
19

日本の強みは,現場の優秀な作業者や管理・監督者及び生産技術者が質の高い安全管理と生産技術に基づく改善を実施していることにある.したがって,この“現場力”を基盤に置いた上で,技術に基づく安全の先進国と言われる欧州の機械安全技術や社会制度を適切に活用すれば,日本の現場力と欧州の機械安全技術を高次の次元で融合させた新しい枠組みの安全技術と社会制度を構築できる可能性がある.本稿では,以上の観点から日本で望まれる法規制及び社会制度のあり方を検討した.その結果,今後の日本の社会制度では,安全をコストでなく新たな価値創造のための投資として位置づけること,高い当事者意識と安全な職場を構築しようとする共通の価値観を関係者間で共有すること,及び再発防止から未然防止,件数重視から重篤度重視への戦略転換と想定外の考慮が重要と推察された.また,実際の機械の労働災害防止対策では,特に経営者及び設計者に対して欧州機械安全の基本理念と災害防止原則を普及促進するとともに,①ISO12100に定めるリスク低減戦略,②モジュール方式による適合性評価と適合宣言に関する情報伝達を目的としたマーキング,③マーキングの情報に基づく機械の使用段階での妥当性確認,④機械の設計・製造段階への災害情報のフィードバックが特に重要と考えられた.
著者
大村 裕 小野 武年 杉森 睦之 中村 勉 福田 隆一
出版者
医学書院
雑誌
神経研究の進歩 (ISSN:00018724)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.281-294, 1974-04-10

Ⅰ.満腹中枢と摂食中枢の関係 哺乳類の摂食行動のもとになるのは,視床下部に存在する摂食中枢のある外側野(lateral hypothalamic area,LH)と満腹中枢のある腹内側核(ventromedial hypothalamic nucleus,VMH)のニューロン活動である。両中枢のニューロン活動を同時に記録してみると,相反的なことが多い。すなわち,一方の中枢のニューロン活動が上昇しているときは,他方のそれは低下している(Oomuraら,1967 a)。また人工的にVMHを電気刺激してみるとLHのニューロン活動は抑制され,逆にLHを刺激すればVMHのニューロン活動は抑制される。しかも抑制の期間は相等に長い。この相反性は動物が睡眠や覚醒,餌を探す,餌を摂るなどの各種の行動下でも同様である(Oomuraら,1969)。たとえばネコの頭蓋骨に双極ポジショナー(Oomuraら,1967 b)を取りつけて満腹および摂食の両中枢内にタングステン電極をそれぞれ1本ずつ入れ,同時に両中枢のニューロン活動を記録してみる。図1Aに示すように,ネコが徐波睡眠のとき,VMHニューロンの活動は高く17Hzで放電しているが,LHでは6Hzで低い。
著者
坪内 泰志 仁木 満美子 福田 隆志 八代 正和 瀬良 知央 金子 幸弘
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

スキルス胃癌に対して理想的な薬剤を発見するために、①深海・海洋性サンプルを微生物分離源、開発した微生物細胞剥離装置、及び生息環境-微生物群集構造の相関により構築した深海・海洋性放線菌ライブラリーを抗スキルス胃癌探索資源として、活性化合物候補を見出すこと、②多岐分類群の深海・海洋性放線菌が抗スキルス胃癌活性物質を生産する意義を、構造活性相関解析と作用機序解析の連関データの蓄積・比較により解き明かすこと、③独自に樹立したスキルス胃癌細胞8 株を用いた基礎病理学的解析を実施すること、そして④実用化へのシームレスな展開を視野に入れるためにオミクス解析を組み込む。
著者
浦瀬 篤史 上田 敬博 生越 智文 岩本 博司 福田 隆人 一ノ橋 紘平
出版者
日本救命医療学会
雑誌
日本救命医療学会雑誌 (ISSN:18820581)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.1-6, 2023 (Released:2023-03-08)
参考文献数
13

【背景】 全国的に熱傷患者はIH (電磁誘導加熱 : induction heating) や温度設定式給湯器などの普及や, 安全技術の進歩により減少している. 熱傷センターを開設して1年が経つが, 南河内地域を診療圏とする当センターには多くの小児熱傷の患者が受診・搬送されている. 熱傷患者が減少している昨今, なお発生する小児熱傷の原因を精査して発生予防や啓発のためこれらを分析した. 【対象と方法】 2018年9月から2019年9月までに当センターに搬送された熱傷患者は60例で, そのうち18歳未満の23例の小児熱傷について就学児と未就学児の2群に分けて, 性別・TBSA (熱傷面積 : Total body surface area), 受傷時間, 受傷機転について有意差の有無を評価した. 全ての検定はEZR (埼玉, 日本) を用いて行った. 【結果】 主要評価項目として, 未就学児と就学児間で, TBSA には有意差を認めなかった (P=0.78) . しかし, 未就学児に比べて就学児では男児の割合が多かった. 23例の受傷機転としては高温液体によるものが16例と最多であった. 高温液体による受傷の多くは食事時間と重なっており, 夕食時が最多であった. 【考察】 小児熱傷では重症例は少なかった. 未就学児童が多く, 食事時間帯に好発し, 高温液体による受傷が最多であった. これらの情報を基に注意喚起するべきだと考えた.
著者
福田 隆介 福澤 栄治 小鹿 紀英 森川 博司
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.11, no.21, pp.79-84, 2005-06-20 (Released:2017-04-14)
参考文献数
7

At the September 11, 2001, New York World Trade Center Towers did not collapse immediately after the aircraft impacts, despite the localized damage. Thus, the reserve capacity to the phenomenon besides assumption was called "redundancy", and after the WTC two towers' collapse, when taking the safety of a building into consideration, it had been recognized to be important property. In order that a building structure could not collapse and be secure safety to the load beyond anticipation on its structural design like the impulsive load by a collision, explosion, etc., it is important the building structure possesses structural redundancy. The purpose of this study is to evaluate the overall damage and the local damage and its structural redundancy against the aircraft impact equivalent to that in WTC for the Japanese typical 50 story high-rise steel building.
著者
高木 信二 倉田 岳人 郡山 知樹 塩田 さやか 鈴木 雅之 玉森 聡 俵 直弘 中鹿 亘 福田 隆 増村 亮 森勢 将雅 山岸 順一 山本 克彦
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:21888663)
巻号頁・発行日
vol.2018-SLP-120, no.14, pp.1-9, 2018-02-13

2017 年 8 月 20 日から 8 月 24 日にかけ,ストックホルム ・ スウェーデンで Interspeech 2017 が開催された.Interspeech は音声言語情報処理の分野におけるトップカンファレンスと位置付けられており,今後の本分野の動向に大きく影響を与えている.本稿では,本会議における研究動向,注目すべき発表について報告する.
著者
前田 廣恵 福田 隆一 宮本 良美
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 第27回九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
pp.50, 2005 (Released:2006-08-01)

【目的】四つ這い位での胸椎部可動性と腰痛との関連性について調査する。【対象と方法】神経症状のない慢性腰痛患者(以下腰痛群)10名、健常者(以下非腰痛群)10名を対象に四つ這いにて肩峰・坐骨結節・胸骨剣状突起の高さの棘突起(以下A点)にランドマークしキャットカールを行い、それぞれの肢位にて写真撮影を行う。肩峰・坐骨結節を結ぶ線を基準線にA点とのなす角を胸椎部可動性とし腰痛群・非腰痛群で比較、また、下肢のタイトネス・股関節の可動域との関連性について検討した。【結果】1、胸椎部伸展位への角度変化において腰痛群で有意に可動性低下を認めた。2、胸椎部屈曲位から伸展位への角度変化において腰痛群で有意に可動性低下を認めた。3、股関節可動域において腰痛群の屈曲・内旋に有意な制限を認めた。4、タイトネステストにおいて腰痛群の大腿四頭筋に有意なタイトネスを認めた。【考察】今回の結果より、腰痛群において胸椎部伸展方向への可動性低下があり、上半身重心が後方に位置している傾向にあると推測された。胸椎制御は体幹に柔軟性を要求し、支持性を筋活動から非収縮組織に移行でき筋疲労しにくいという利点があるが、腰痛群においては胸椎部可動性の低下により周囲筋への負担が大きいことが予測される。また、下部体幹制御は上半身重心の前後移動に関与するという報告より、腰痛群において、上半身重心が後方へ偏移した姿勢が固定化された代償として下半身にも影響を及ぼしていると考えられる。腰痛群の股関節屈曲に有意な制限を認めた要因として、股関節伸筋群のタイトネスによる骨盤後傾位が挙げられ、同様に大腿四頭筋のタイトネスも生じたものと考えられる。また、股関節内旋制限においては、骨盤の運動のみを考えると、胸椎部伸展位への運動制限により骨盤においては寛骨のうなずき運動が不十分(骨盤後傾位)となり、股関節は外旋位優位となるためであると考えられる。以上のことから、上半身重心の存在する胸椎レベルの可動性獲得は重要であり、胸椎部の可動性低下が腰痛を引き起こす一要因であると捉えるべきである。しかし、今回の研究では純粋な胸椎可動性の評価には到らなかったため、今後は下肢・骨盤の影響を除去した肢位での純粋な胸椎可動性の評価法を考案し、腰痛との関連性について更に調査していきたい。【まとめ】1、四つ這い位での胸椎部可動性と腰痛との関連について調査した。2、腰痛群において胸椎伸展方向への可動性低下を認めた。3、腰痛群の股関節屈曲・内旋制限、大腿四頭筋のタイトネスを認めた。4、胸椎可動性低下が腰痛の1要因として考えられた。5、下肢・骨盤の影響を除去した肢位での純粋な胸椎可動性の評価法が重要である。
著者
牧野 茂義 福田 隆浩 上田 章
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.90, no.2, pp.323-325, 2001-02-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5
被引用文献数
2 2

症例は28歳,男性.発熱と全身倦怠感にて発症し,重度の貧血を認め,ヒトパルボウイルスB19 (B19)による赤芽球癆と診断した. B19-IgG抗体の産生により貧血は改善したが, 4カ月後にB19-lgG抗体が消失し貧血が再燃した.輸血とγグロブリン製剤投与にて貧血は改善したが, 2年経過した現在もB19-IgM, IgG抗体とも陽性で軽度の貧血を認めている.健康成人が何らかの理由でB19を排除できず持続感染を起こした稀な症例と考えられた.
著者
福田 隆文 深澤 秀司 杉原 英和 渡辺 幸夫 小山 富士雄 稲垣 健二 甲斐 雅行 加藤 洋 松岡 俊介 小島 直樹
出版者
Sociotechnology Research Network
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.146-154, 2005

化学工場は外部に影響を及ぼす事故の可能性があるので,住民に不安感があることは事実である.したがって,安全・安心な工業社会の確立に向け,工場のリスクに関するコミュニケーションが重要であり,そこでは住民が望んでいる情報の提供が必要である.本研究では,工場と住民の間のリスクコミュニケーションを円滑に進めるため,住民が望んでいる情報,提供の方法などを,化学産業が比較的多く立地している都府県の1,500人を対象としたweb方式アンケート調査によりまとめた.その結果,住民は化学的・技術的情報より,事故防止策や発災時の行動に関する情報を求めていること,被害としては後遺症となるものを懸念していることがわかった.また,情報は工場から直接入手したいと考えていることもわかった.
著者
塚正 泰之 福田 隆志 安藤 正史
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.88, no.6, pp.503-514, 2022-11-15 (Released:2022-12-02)
参考文献数
28
被引用文献数
1

マダイの熟成(0℃)が呈味性に及ぼす影響を,塩締めおよび脱水シートの有無,熟成期間の違いによって調べた。また,熟成によるエキス成分の抽出性の変化も調べた。脱水シートはエキス成分の抽出性を低下させ,塩化ナトリウムはドリップ量を増大させ,うま味成分の抽出性を低下させた。イノシン酸(IMP)は熟成3日以降低下するのに対して,グルタミン酸(Glu)は熟成14日まで増加した。IMPとGluの濃度から算出されるうま味強度は,熟成1日がピークとはならず,少なくとも熟成5日まで高い値を維持することが確認された。
著者
福田 隆文
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.379-384, 2009-12-15 (Released:2016-09-30)
参考文献数
7

機械の安全関連系に関する規格であるIEC 62061 はIEC 61508 の傘下規格として制定された.その背景には,機械類の制御にPLC など電子技術とソフトウェアを用いた機器が使われるようになったことがある.一方,機械類の安全制御部の規格としてすでにISO 13849 があった.そこで両規格の機械安全規格体系での位置付け,適用推奨案を確認したうえで,本規格の内容の概説を行った.IEC 62061 は機能安全の考え方をベースにしており,検知できない危険側故障の1 時間当たりの発生確率(PFHD)を基準に安全インテグリティレベル(SIL)を定めていることを述べ,その計算の基礎を示した.また,IEC/TR 62061─ 1/Ed.1 に例示のPFHD 推算結果を紹介した.両規格に従って1 時間当たりの危険側故障確率を求めると結果に差異が出る.また,SIL はPFHD をもとにしているので,故障率データベースの構築が必要である.
著者
福田 隆介 福澤 栄治 小鹿 紀英 森川 博司
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.68, no.570, pp.77-84, 2003-08-30 (Released:2017-02-08)
参考文献数
6
被引用文献数
2 1

At the September 11, 2001, terrorist attacks on WTC1 and 2, extensive structural damage, including localized collapse, occurred at the several floor levels directly impacted by the aircraft. Despite this massive localized damage, each structure remained standing for approximately one hour or one hour and a half. Although the damage of the beams and columns in outer framed tube of each tower are clarified at the published FEMA/ASCE report, the damage of the floor system and inner core columns are not estimated. The purpose of this study is to know the reason why the buildings remained standing at the impact through the several analytical studies, such as the impact analyses using the simplified model, that estimates the overall damage, and the rigorous finite element model, that estimates the local damage, and stress analyses after some structural members are lost.
著者
西 博史 吉田 康成 福田 隆 遠藤 俊郎 橋原 孝博
出版者
日本バレーボール学会
雑誌
バレーボール研究 (ISSN:13449524)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.19-27, 2015 (Released:2021-08-11)
被引用文献数
1

The purpose of this study was to analyze the characteristics of the setting technique in combination attacks focusing on the trajectory of the ball was set and the arm of the setting motion. The setting motion of the setters that were playing in world − class competition was analyzed. The general tendency was extracted from the analyzed data, and was explained biomechanically. The trajectories of the balls was set were close. And the characteristics of the setting technique in combination attacks are on the following two points. 1)The arm angle is approximately 137 degree from touching to release the ball. 2)The timing formed the setting posture is approximately 0.233 second before touching the ball(approximately the take − off). It is considered that their two motions are useful not to give blockers the clue of the set direction before releasing the ball. After releasing the ball,the close trajectory of the ball suggests that it is difficult for blockers to judge the position attacked.