著者
岡本 百合 三宅 典恵 仙谷 倫子
出版者
広島大学保健管理センター
雑誌
総合保健科学 (ISSN:09113231)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.1-8, 2012-03

Recently, students with pervasive developmental disorder (PDD) / Asperger's syndrome / high functioning autism increase in campus mental health. It is important for students to understand about them. We examined students in knowledge and appreciation about Developmental Disorder using questionnaire. Students who answered "I know about Developmental Disorder" were 119 (29.9%). Most students knew about Developmental Disorder through TV (46.5%), but many students had little knowledge about Developmental Disorder. So there is need for edification about PDD / Asperger's syndrome / high functioning autism.
著者
岡本 百合 三宅 典恵 香川 芙美 吉原 正治
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.423-428, 2019 (Released:2019-07-01)
参考文献数
12

近年, 受診する成人の背景に自閉症スペクトラム障害 (autism spectrum disorder : ASD) をもつ例が多いことがいわれている. 大学の中にも, 自閉症スペクトラム (autism spectrum : AS) 特性を背景として, 併存症や不適応問題を抱えて来談・受診する学生が増加している. 保健管理センターに来談・受診する学生に, 厳密にASD診断がつく者は一定割合はいるものの, 多くはグレイゾーンの学生たちである. 今回は, 広い意味でAS特性をもつ大学生の臨床像について報告した. 障害学生支援については, 2016年 (平成28年) 4月に障害者差別解消法の合理的配慮規定などが施行され, 修学上の支援は充実されつつある. しかしながら, 修学上の問題以外の不適応問題に取り組む必要がある. また, 大学生活への適応だけでなく, 卒業後の方向性もふまえて支援していくことが重要と思われた.
著者
小宮 顕 岡本 百合子 仲村 和芳 岩田 幸恵 寺田 二郎 岡崎 純子 鳥海 裕子 市川 智彦 相馬 孝博
出版者
医療の質・安全学会
雑誌
医療の質・安全学会誌 (ISSN:18813658)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.322-329, 2021 (Released:2022-09-07)
参考文献数
16

目的:尿道カテーテル留置に伴う尿道損傷は,報告件数が多いインシデントである.当院では同手技に伴うインシデントが多発したため,改善目的に院内教育を行った.本研究では,インシデント発生の背景要因と院内教育の効果について後ろ向きに検討した. 方法:2014年から2018年までの尿道カテーテル留置に伴うインシデントを集計し,その発生背景について検討した.2016年度中に教育訓練を行い,既存の手順書を周知した.2014年から2018年までのカテーテル使用本数と事例報告数を調査し,教育前後の事例発生率の推移を検討した. 結果:尿道カテーテル留置に伴うインシデントは39例で,そのうち尿道損傷が26例(66.7%)であった.尿道損傷の発生要因(重複有)は,確認不足20例,手技が未熟21例など,手順の遵守不足や教育訓練の不足が考えられた.またカテーテル留置目的別に見ると,侵襲的医療行為に伴うものが20/26例(76.9%)と多かった.尿道損傷の報告数(カテーテル使用本数当たりの割合)は,2014年が4例(0.064%),2015年が8例(0.089%),2016年が5例(0.056%),2017年が5例(0.054%),2018年が4例(0.041%)であった.院内教育を実施したのは2016年であり,減少傾向を認めた. 結論:尿道カテーテル留置に伴うインシデントは,手順書の遵守不足や教育訓練の不足が背景にあり,手術や検査の際に多く報告された.院内教育施行後のインシデント発生割合は減少傾向と考えられた.
著者
岡本 百合 三宅 典恵 永澤 一恵
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.44-50, 2017 (Released:2017-01-01)
参考文献数
20

精神科・心療内科の臨床場面では, 背景に自閉症スペクトラム (ASD) をもつ成人例が多いといわれている. 特に知的障害のない高機能ASD者は, 診断が遅れ, それまでにさまざまな傷つきを経て不適応に至っている例が多いと思われる. われわれは, ASD特性をもつ思春期青年期の若者の臨床像と支援について論じた. 受診した42例について, 過去の心身症症状について検討したところ, 幼少期に心身症症状を呈し, 思春期青年期に気分障害, 不安障害, 摂食障害などに変化していく例が多かった. また, 青年期の適応良好例に前思春期・思春期前期に治療を受けていた者が多かった. 心身症症状として表れる幼少期または前思春期・思春期前期に何らかの治療や支援があると, その後の適応が良好となる可能性が示唆された. また, 摂食障害とASDは共通点も多い. 症例の紹介とともに, 関連性について論じた.
著者
井上 建 小坂 浩隆 岡崎 玲子 飯田 直子 磯部 昌憲 稲田 修士 岡田 あゆみ 岡本 百合 香山 雪彦 河合 啓介 河野 次郎 菊地 裕絵 木村 大 越野 由紀 小林 聡幸 清水 真理子 庄司 保子 髙倉 修 高宮 静男 竹林 淳和 林田 麻衣子 樋口 文宏 細木 瑞穂 水田 桂子 米良 貴嗣 山内 常生 山崎 允宏 和田 良久 北島 翼 大谷 良子 永田 利彦 作田 亮一
出版者
日本摂食障害学会
雑誌
日本摂食障害学会雑誌 (ISSN:24360139)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.3-12, 2023-10-05 (Released:2023-10-05)
参考文献数
19

COVID-19パンデミック下,摂⾷障害患者における社会からの孤立,受診控え,症状の悪化,さらに新規患者の増加などが報告された。そこで我々は,2019,2020,2021年の神経性やせ症(Anorexia Nervosa: AN)および回避/制限性食物摂取障害(Avoidant/Restrictive Food Intake Disorder: ARFID)の新規患者数,入院患者数,性別,年齢層,COVID-19の影響の有無について,国内で摂食障害を専門的に診療している医療機関に対して調査を依頼した。すべての項目に回答のあった28施設の結果について集計・解析した。ANの新規・入院患者数はそれぞれ,2019年は400人,266人,2020年は480人,300人,2021年は610人,309人であった。一方,ARFIDの新規・入院患者数はそれぞれ,2019年は70人,15人,2020年は97人,22人,2021年は112人,17人であった。AN,ARFIDともに2019年と比較して2020年,2021年は新規患者数,入院患者数ともに増加し,これは10代でより顕著であった。さらにANにおいては20代の患者も増加していた。COVID-19 パンデミック下にARFID 患者数の増加が示されたことは重要な知見であると考えた。
著者
三宅 典恵 岡本 百合
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.1360-1366, 2015

大学生は思春期の自己同一性の問題が出現する時期であり,メンタルヘルス問題を生じやすい.特に新入生は,入学後の環境変化も大きいことから,新生活への悩みを抱え,不安やうつ傾向の高さが指摘されている.メンタルヘルス問題を抱えると,学生生活への影響も大きく,不登校やひきこもりのリスク要因となるため,早期発見や治療が重要である.そうした中で,大学内の保健管理センターを利用する学生も増加の一途である.メンタルヘルス相談に訪れた学生の精神科診断ではうつ病や不安症が多く,摂食障害や発達障害の相談も増加している.本稿では,大学生に多くみられる精神疾患,その早期発見や治療,支援に向けての取り組みについて述べる.
著者
三宅 典恵 岡本 百合
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.1360-1366, 2015-12-01 (Released:2017-08-01)
被引用文献数
2

大学生は思春期の自己同一性の問題が出現する時期であり,メンタルヘルス問題を生じやすい.特に新入生は,入学後の環境変化も大きいことから,新生活への悩みを抱え,不安やうつ傾向の高さが指摘されている.メンタルヘルス問題を抱えると,学生生活への影響も大きく,不登校やひきこもりのリスク要因となるため,早期発見や治療が重要である.そうした中で,大学内の保健管理センターを利用する学生も増加の一途である.メンタルヘルス相談に訪れた学生の精神科診断ではうつ病や不安症が多く,摂食障害や発達障害の相談も増加している.本稿では,大学生に多くみられる精神疾患,その早期発見や治療,支援に向けての取り組みについて述べる.
著者
岡本 百合 吉原 正治
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.367-373, 2003
参考文献数
17
被引用文献数
1

攻撃的な父親イメージをもつbulimia nervosa患者の臨床像について検討した.攻撃的な父親イメージをもつbulimia nervosa (purging type)10例と,攻撃的な父親イメージをもたないbulimia nervosa (pursing type)10例について,臨床像,摂良態度,感情状態,ストレス対処行動,自尊感情について,EAT,POMS,CISS,ローゼンバーグの自尊感情尺度を用いて比較検討した.攻撃的な父親イメージをもつ群では,CISSの課題優先対処の得点が低い傾向にあり,ストレスに対して客観的,計画的な行動をとりにくい傾向にあることがうかがわれた.また,攻撃的な父親イメージをもつ群では,自尊感情の得点が有意に低かった.また,摂食障害以外の精神医学的診断のついた攻撃的な父親イメージをもつ10例を対照群として,虐待体験や母親イメージを比較したところ,bulimia nervosa (purging type)のみに性的虐待体験を認め,母親イメージは弱いと回答した者が多かった.