著者
河村 七美 出光 俊郎 安齋 眞一 岡田 理 窪田 卓 米田 耕造 藤田 幸子 吉村 堅太郎 真鍋 求
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.113, no.4, pp.389-397, 2003-03-20 (Released:2014-12-13)

組織切片から虫体を同定し得た幼虫皮膚爬行症2例を報告し,その2例を含む当教室における過去6年間の幼虫皮膚爬行症28例について臨床統計学的検討を行った.1995年4月から2001年3月までの6年間の当教室における幼虫皮膚爬行症患者は28例で,初診時年齢27歳から76歳(平均50歳),男女比は4:3(男16例,女12例)であった.発症時期は28例中25例が10月から1月の秋冬期であり,これは八郎潟のシラウオ漁解禁の時期にほぼ一致している.食歴では28例中21例(75%)で八郎潟産のシラウオ生食が認められた.以上のように発症時期や食歴より秋田県における幼虫皮膚爬行症は,その感染源として今まで報告の少ない八郎潟産のシラウオが関与していると推測される.
著者
岡田 理
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.119, 1997-04-15

「皮膚科の先生,焼身自殺の人が運ばれてきましたので,すぐ来てさい.」ICUの婦長さんからの電話である.「またか」と,医局に重苦しい空気が流れる.ICUへ行ってみると全身黒こげの若い女性が救急部のスタッフの治療を受けている.両親から話を聞くと,うつ病で治療中であったが,死にたい死にたいと何度も口にしていたとのこと.やけどの状態を説明すると,治療はいりませんから死なせてあげて下さいと懇願される.両親の要求をそのまま実行しようものなら大きく叩かれる昨今である.結局,懸命の治療にもかかわらずこの患者は20日後に亡くなってしまった.このようなことが繰り返される度に“焼身”自殺を止める策はなかったのかと思うのだが.昨年1996年の1年間で,5名の焼身自殺患者が当院に搬送されてきた.そもそも秋田県は人口当たりの自殺者の数が全国でも1〜2位を争うほど多い県である.北国の秋田では容易に灯油が入手できるので,焼身という手段が選択されているのであろう.救急蘇生の技術が発達した昨今では,どんな熱傷患者でもショック期を脱することが可能となっている.一命を取りとめた後は死ぬより辛い痛みが待ち受けている.また,形成外科がなく,救急部のスタッフの極めて少ない当院では,重症熱傷の治療に皮膚科が全面的に関わるので,医局員の少ない当科には大きな負担となっている.もちろんこうした患者の治療にも多額の医療費が使われているのが現実である.このような悲劇をなくすために,焼身自殺の悲惨さを広く知らしめることはできないものだろうか.皮膚科医,救急科医,精神科医などが協力して一大キャンペーンを行って頂ければありがたい.「焼身自殺はやめましょう,もしするなら他の方法でお願いします…」とは言えないが.
著者
岡田 理香
出版者
工学院大学
雑誌
工学院大学共通課程研究論叢 (ISSN:09167706)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.49-62, 2008

J. R. R. トールキンの『ロード・オブ・ザ・リング』は、出版当初あまりよく売れない本だった。しかし年を経ていくうちに多くの人に読まれるようになり、今ではこの作品を知らない人はほとんどいない。今世紀の映画化によって、『ロード・オブ・ザ・リング』は世界中にその名を知らしめることとなった。 トールキンの作品は様々な要素を豊かに含んでいる。彼はミドルアースの歴史を作り、独自の言語を作り、登場人物たちの背景についても詳細に渡るまで書いた。さらにトールキンは伝説や神話、そして聖書などの要素を取り入れてこの作品を書き上げた。トールキン自身はこの作品にアレゴリーはないと述べているが、作者がカトリックの信者であったことから、作品の中に聖書的意味を見出すことは可能なものと思われる。例えば善と悪の戦い、登場人物の成長などが挙げられる。登場人物たちはそれぞれが役割を持ちながら、時折キリト的な性質に変わる。ガンダルフは戦いの後に蘇生して白のガンダルフへと生まれ変わり、フロドは他の人が負うことのできない重荷 --指輪-- を負ってモルドールへ向かう。アルゴルンはリーダーであり王でもある。サムはフロドの良き理解者であり、助け手でもある。また、最後に登場人物が別世界へ旅立つという点においては、著者が別世界The Kingdom of Heavenへ憧れていたことを示している。 トールキンはこの作品に、聖書に見られる人の賜物やキリストの姿、そして永遠の命を表わした。作品の中に深い意味を探ることは、作品を味わうという点でも、知識の幅を広げる点でも有益である。意味を知ることでより奥深い鑑賞ができ、それを共有することで、知恵も知識も深まっていくものと思われる。
著者
岡田 理菜 田畑 優貴 疋田 隼人 西村 有起 山田 知美 竹原 徹郎
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.12-18, 2024-01-01 (Released:2024-01-10)
参考文献数
3

臨床研究においてデータの信頼性は重要であるが,データの品質管理体制が整っている観察研究は少ない.本研究ではC型肝炎ウイルス排除治療を行ったC型肝硬変症例を対象とした多施設共同観察研究の品質向上を目的として,研究事務局に品質管理担当者を配置し,クエリ内容や傾向を検討した.対象となる研究には2019年から2021年までに369症例が登録され,REDCapシステムによりデータ管理を行い,定期的に入力促進及びデータチェックを実施した.2020年から2021年までに発生した847クエリを「未入力」と「データ関連」に分類したところ,「未入力」が617クエリ,「データ関連」が230クエリであり,全クエリが解決された.半年毎のクエリ内容の推移は,「未入力」は減少傾向であったが,「データ関連」は残存した.品質管理担当者を配置することで,データの品質が向上し,観察研究の質の向上につながる可能性が示唆された.
著者
岡田 理沙 後藤 悦 愼 重虎 佐々木 典子 今中 雄一
出版者
一般社団法人 日本医療・病院管理学会
雑誌
日本医療・病院管理学会誌 (ISSN:1882594X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.44-52, 2023-04-30 (Released:2023-04-28)
参考文献数
42

介護保険サービス利用の地域差については,多角的な分析を行い,適切に対応していくことが求められている。本研究では,市区町村単位での介護保険サービス利用の地域差を明らかにしたうえで,その地域差に関連する因子を検討した。まず,介護保険者単位で居宅,地域密着型,施設サービスの利用割合を,全国及び大都市部,地方都市部,過疎地域の3つの地域別に記述した。次に,各サービス利用割合と5つの曝露因子の関連について,交絡因子を調整して調べるため,回帰分析を行った。本研究の結果,各利用割合は大きなばらつきを認め,特に居宅サービスは0%から20.4%まで分布していた。また,居宅サービス利用は大都市部,地域密着型及び施設サービス利用は過疎地域に多い傾向にあった。さらに,高齢単身者世帯の割合,女性の就業割合,高齢者の就業割合,居宅介護支援事業所のケアマネジャー数,施設サービス定員数の全ての曝露因子が各利用割合と関連を示した。
著者
岡田 理香
出版者
工学院大学
雑誌
工学院大学研究論叢 (ISSN:21866635)
巻号頁・発行日
no.52, pp.23-34, 2014-10-31