著者
落合 裕隆 白澤 貴子 島田 直樹 大津 忠弘 星野 祐美 小風 暁
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.452-457, 2010-12-28 (Released:2011-06-30)
参考文献数
28
被引用文献数
1
著者
苅部 智恵子 佐藤 啓造 丸茂 瑠佳 丸茂 明美 藤城 雅也 若林 紋 入戸野 晋 米山 裕子 岡部 万喜 黒瀬 直樹 島田 直樹
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.349-358, 2012 (Released:2013-03-14)
参考文献数
19
被引用文献数
2

安楽死・尊厳死について国民の意識がどうなっているか調査した報告は少なく,特に大学生の意識を報告した論文はほとんど見当たらない.少数ある報告も限界的医療全般について調査したものであり,安楽死について賛成か否かを表面的に調査したに留まっている.本研究では同じ生物学を中心に学んでいるが将来,安楽死・尊厳死に関わる可能性のある医学生と特にその予定はない理系学生を対象として同じ内容のアンケート調査を行った.アンケートでは家族に対する安楽死・尊厳死,自分に対する安楽死・尊厳死,安楽死・尊厳死の賛成もしくは反対理由,安楽死と尊厳死の法制化,自分が医師であるとすれば,安楽死・尊厳死について,どう対応するかなど共著者間で十分,協議をしたうえで,新しい調査票を作成し,これを用いた.医学生は安楽死・尊厳死について,ひと通りの理解をしているはずの99名から無記名のアンケートを回収した(回収率:87.6%).理系学生は医学生のほぼ同年輩の生物学系の博士前期課程学生に対し,第二著者が安楽死・尊厳死について,ひと通り説明した後,69名から無記名で回収した(回収率:71.9%).前記5つの課題について学部間,性別間の意識差について統計ソフトIBM SPSS Statistics 19を用いてクロス集計,カイ二乗検定を行い,p < 0.05を有意差ありとした.その結果,家族の安楽死については学部間で有意差があり,医学生は理系学生より依頼する学生の比率が低く,依頼しない学生の比率が高いことが示唆された.医学生,理系学生ともに家族の安楽死希望理由で「本人の意思を尊重したい」が過半数を越え,自己決定権重視の一端を示していた.尊厳死では両学部生とも希望しない学生より希望する学生が多く,特に理系学生で希望する比率が高かった.性別では自分の尊厳死を希望する比率で有意差があり,女性の方が多かった.家族の尊厳死でも希望する比率は女性の方が多かった.家族の尊厳死,自分の尊厳死を家族の安楽死,自分の安楽死と比較したところ,安楽死より尊厳死を希望する学生が両学部生とも多かった.家族の尊厳死希望理由で医学生,理系学生ともに「本人の意思を尊重したい」が60%以上を占めた.安楽死・尊厳死について法制化を望むか否かを調べると,学部間では有意差があり,医学生は大多数が安楽死・尊厳死の法制化を望んでいるのに,理系学生は両方とも法制化を望まない学生も26%を示した.性別間では女性で尊厳死だけ法制化を望む人が31%を占めた.自分が医師の立場になった場合,安楽死・尊厳死を実施するか否かを調べると,学部間で有意差があり,要件を満たせば積極的安楽死を実施するとしたのが理系学生で41%を示したのに対し,医学生では16%に留まった.性別間では積極的安楽死を実施するのは男性が10%上回ったのに対し,尊厳死を選択するのは女性が10%上回った.以上の結果から医学生は理系学生に比べ,安楽死・尊厳死の実施に慎重であり,両方とも法令のもとに実施を希望していることが明らかとなった.
著者
島田 直樹 近藤 健文
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.117-132, 2004

<b>目的</b>&emsp;医師・歯科医師・薬剤師調査(三師調査)には届出漏れが存在することが知られているが,その実態は明らかではない。そこで本研究では,三師調査の個票データを使用して,医師,歯科医師および薬剤師の届出率を推計した。<br/><b>方法</b>&emsp;届出率を推計する場合,厚生労働省への登録年ごとに(ある調査年に三師調査へ届出を行った者の数)/(その登録年における医籍,歯科医籍または薬剤師名簿への登録者数)を計算して届出率とする方法が考えられるが,この方法では生存率が補正されない。そこで本研究では,1955年以降の登録者を対象として,1982年から2000年までの三師調査について生存率を補正しない届出率を推計するとともに,2000年の三師調査について,登録時平均年齢と過去の国勢調査結果を用いて登録年ごとの生存率を推定して,その生存率で補正した届出率を推計し,生存率を補正しない届出率との比較検討を行った。<br/><b>成績</b>&emsp;2000年の三師調査において,生存率を補正しない届出率は医師87.08%,歯科医師84.98%,薬剤師71.58%であり,薬剤師の届出率は医師,歯科医師に比較して低かった。また,生存率を補正した届出率は医師90.30%,歯科医師87.15%,薬剤師72.98%であり,いずれも生存率を補正しない届出率より高くなったが,薬剤師は医師,歯科医師に比較して変化が少なかった。登録年ごとにみた生存率を補正しない届出率と補正した届出率の比較では,登録年が古くなるにつれて両者の違いが大きくなる傾向があったが,薬剤師は医師,歯科医師に比較して違いが小さかった。生存率を補正した届出率において2000年から登録年をさかのぼる際の推移をみると,医師,歯科医師では,一時的な低下以外は1965年前後まで90%以上の届出率を維持していたが,薬剤師では登録年をさかのぼるにつれて届出率が低下する傾向にあった。<br/>&emsp;このような医師,歯科医師と薬剤師との違いの理由として,薬剤師では医師,歯科医師に比較して,1) 女性が多い,2) 生存率が高い,3) 登録時平均年齢が若い,ことが考えられたが,それ以外に,医師,歯科医師と薬剤師の間で卒業後の就業状況ならびに三師調査に対する認識が異なっている可能性も考えられた。<br/><b>結論</b>&emsp;本研究により,医師,歯科医師および薬剤師の届出率の特徴が把握された。
著者
島田 直樹 冨山 明男
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.15-24, 2005 (Released:2005-02-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

著者らが開発した(N+2)-field modelを圧縮性混相熱流動解析用に修正し,各相密度の温度,圧力依存性を考慮できる数値解法をTomiyamaらが提示した解法を基に構成した.本数値解法は非圧縮流れ解法の枠内で構成でき,エネルギー保存式は分離して解ける.さらに,時間刻み幅に対する制約はCourant条件であるため,圧縮性流れ用の数値解法よりも大きな時間刻み幅を用いて安定に計算を実施できる.構築した計算手法の妥当性を検証するため,三つの計算を実施した.はじめに,密度の圧力依存性を考慮した本解法の性能を検証するため,大きな静水圧差下の気泡流を計算した.計算結果から,提案した解法が気相密度低下による気相体積流束の増加を良好に予測できることを確認した.次に,ダクト壁面から流体を加熱した際の気泡流を計算し,圧力に加えて温度の変化が体積流束に及ぼす影響を検証した.これらの計算結果から,提案した解法が密度変化による気液各相体積流束の変化を良好に予測できることを確認した.最後に工業装置の計算例として,気泡塔を計算した.提案した手法により,計算時間の膨大な増加を回避しつつ,塔の性能評価に必要な各種変数(気泡径,ボイド率,流速,温度など)の計算に密度の温度・圧力依存性が考慮できることを確認した.