著者
森下 あおい 中村 顕輔
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.3_43-3_48, 2019-01-31 (Released:2019-03-25)
参考文献数
10

服飾デザインの現場やデザイナー教育では,体形を客観的に把握しつつ創造性を高めるため,平均体形にデフォルマシオン(意匠的変形)を施した基準体形像が用いられる.しかし従来の研究は若年層のものに限られ,シニア層については未着手である.本報ではシニア女性の体形の多様性および体形を美しく見せる理想を反映した基準体形像を提案する.このため,3次元計測装置により集団計測したシニア女性53名の体形写真をデザイナーに観察させて体形分類を行い,シニア体形の特徴を顕著に有する3つの体形分類とそれらの代表体形を抽出した.3つの代表体形を別のデザイナーに見せて描かせたデザイン画に対して2次元骨格モデルを適用し,デフォルマシオンを定量的に分析することで基準体形像を抽出した.また基準体形像の妥当性を専門家の評価により確認した.
著者
森下 あおい 黒川 隆夫
出版者
一般社団法人 芸術工学会
雑誌
芸術工学会誌 (ISSN:13423061)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.113-120, 2010

日本では明治時代には写真はまだ希少なものであったが,僅かに女性の容姿も撮影されていた.そこで本稿では,系統的な集団計測が行われていなかった当時の女性の体形を把握するため,明治期に撮影された65枚の写真から全頭高,幅径,高径四肢長などの16項目のサイズ値を推定し定量化した.その結果,明治期の女性は現代女性よりも狭い肩幅で,体幹部の下部が広く手足の短い体形であった.さらに明治期女性を,芸妓,写真のモデル,良家の子女の3種の職業で比較すると,明確な体形差が判明した.すなわち,女性の美の理想とされた芸妓は,比較的各部位の位置が高く小顔で細身の体形であり,3種の中では現代女性に最も近い体形特徴を持っていた.一方,写真のモデルは体幹部の幅が広く大顔で,がっしりとした体形であり,良家の子女は身体の部位の位置が低く,寸胴の体形であった.