著者
北本 朝展 川崎 昭如 絹谷 弘子 玉川 勝徳 柴崎 亮介 喜連川 優
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.413-421, 2015-09-01 (Released:2015-09-01)
参考文献数
6
被引用文献数
3

地球環境情報統融合プログラムDIASは,大規模かつ多様な地球観測データを中心に,社会経済データなどとも統融合することで,環境問題など社会課題の解決に有用な情報を国内外に提供することを目的とする。DIASは研究データの基盤システムを構築するだけでなく,基盤システム上のアプリケーション開発を主導するコミュニティを確立している点で,世界的にもまれなプロジェクトである。本稿ではまずDIASの概要を紹介し,DIASが基盤システム,アプリケーション開発,研究開発コミュニティという3つのシステムから構成されることを述べる。次にデータ共有の観点から,データアクセス,メタデータ,データポリシーに関するDIASの考え方をまとめる。そして,DIASが国際的な社会課題解決に貢献した例として,チュニジアを対象に行った気候変動予測に基づく洪水対策の立案に資するデータ統合解析を紹介する。最後にDIASの研究開発における今後の方向性について考える。
著者
川崎 昭如 ヘンリー マイケル 目黒 公郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.387-394, 2013-07-01 (Released:2013-12-24)
参考文献数
11

東日本大震災後の海外諸国の対応と各国民の行動にはどのような関係があったか.また,自国から退避が勧告されたにもかかわらず退避しなかった外国人や,その逆の行動をとった外国人の意思決定の理由や信頼をおいた情報は何であったか.本稿では,震災直後の各国政府の対応を整理し,東日本大震災時に関東地方に居住していた外国人を対象としたアンケート調査より,震災後の退避行動とその意思決定の理由,信頼をおいた情報源を,諸外国の勧告レベルごとに分析し,関係性を分析した.
著者
アスタティアニ アマリア 川崎 昭如 目黒 公郎
出版者
Institute of Industrial Science The University of Tokyo
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.337-341, 2015

2011 年3 月11 日にマグニチュード9.0 の東北地方太平洋沖地震が引き起こした災害を東日本大震災というが,この災害では日本人だけはなく日本に居住する外国人も大きな影響を受けた.東日本から国内外へ退避する外国人が多く発生した.外国人のこの行動は日本の社会経済活動に大きな影響を及ぼした.ところで,中央防災会議では,首都直下型地震(南関東で発生するM7 程の地震)が30 年以内に70%の確率で発生すると予想している.一方,安倍総理の政策により,外国人の労働者の受入を増やす方針と2020 年に東京で開催するオリンピック・パラリンピックにより,日本国内に在住する外国人や観光客が増加する.東日本大震災の被害が繰り替えされないための対策を練っておく必要性がある.本研究ではまず,東京湾北部地震発生時の首都圏,1 都3 県(東京都,埼玉県,千葉県,神奈川県)で外国人の暴露人口を算出する.そして,1 都3 県と茨城県のウェブサイトを確認し,各都道府県が実施している外国人向けの防災の支援を把握したうえで,在日インドネシア人大使館の聞き取り調査と(留学生除く)在日インドネシア人のアンケート調査を実施し,その分析に基づいて,今後の首都直下地震に向けた外国人の防災対策を提案する.
著者
川崎 昭如 ヘンリー マイケル 目黒 公郎
出版者
Institute of Industrial Science The University of Tokyo
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.491-495, 2012

東日本大震災後,短期間に大量の外国人が国内外へ退避したことで,日本国内の社会経済活動に広範な影響がでた.本研究では,外国人の退避行動と災害情報収集過程との関係を明らかにすべく,東日本大震災時に関東地域に居住していた外国人を対象としたオンライン・アンケート調査を実施した.75ヶ国860人の災害情報収集過程と退避行動との関係性を分析し,震災後の情報収集過程の違いがその後の退避行動に与えた影響を定量的に示した.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
川崎 昭如 服部 一樹 浦川 豪 中島 徹也 佐土原 聡
出版者
Geographic Information Systems Association
雑誌
GIS-理論と応用 (ISSN:13405381)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.25-32, 2001-09-30 (Released:2009-05-29)
参考文献数
10
被引用文献数
3 1

Two methods and a system for the measure against slope failure disaster using GIS are proposed in this paper. 1) Method of extracting cliff and potential area, suffered from slope failure, by DEM and Landuse data. 2) Method of extracting potential slope failure area by rainfall data, and a system of conveying this information to local residents. These methods can be applied to many places where these data are available. Moreover, dangerous cliffs and the areas are extracted at the same time even in wide city area. These methods will allow us to extract dangerous cliff and area without fieldwork, and this information will help local residents with proper actions. Minami ward, Yokohama city, was selected as a study area.
著者
森田 敦郎 小森 大輔 川崎 昭如
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.491-496, 2013

本稿は,チャオプラヤ・デルタにおける水管理の変遷と社会の関係を描き出す試みである.20世紀前半の開発は,デルタ全体を一つの灌漑システムへと再編するものであった.このシステムは,雨季の灌漑(水の均等な配分),乾季の灌漑(選択された地域への給水),雨季の洪水防御(指定氾濫地域への導水)という三つの目的を持つ.これらの三つの機能は,それぞれ絡み合いながら歴史的に発展してきた.だが,1990年代に進行した農業変化と産業化にともなって,三者の葛藤は顕在化しつつあり,水管理に新たな課題を突き付けている.
著者
森田 敦郎 小森 大輔 川崎 昭如
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.491-496, 2013-07-01 (Released:2013-12-24)
参考文献数
13

本稿は,チャオプラヤ・デルタにおける水管理の変遷と社会の関係を描き出す試みである.20世紀前半の開発は,デルタ全体を一つの灌漑システムへと再編するものであった.このシステムは,雨季の灌漑(水の均等な配分),乾季の灌漑(選択された地域への給水),雨季の洪水防御(指定氾濫地域への導水)という三つの目的を持つ.これらの三つの機能は,それぞれ絡み合いながら歴史的に発展してきた.だが,1990年代に進行した農業変化と産業化にともなって,三者の葛藤は顕在化しつつあり,水管理に新たな課題を突き付けている.
著者
大原 美保 川崎 昭如 近藤 伸也 田中 淳
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.553-556, 2012

近年,災害情報の伝達手段の一つとして,携帯電話のエリアメールによる情報伝達が普及しつつある.2011年9月に台風12号が通過した際,香川県内ではエリアメールによる住民向けの避難情報の伝達が行われた.本研究ではこの事例に着目し,住民アンケート調査に基づいて情報伝達・受容の実態調査を行った.住民にとってはエリアメールによる災害・避難情報を初めて受け取る機会であったが,否定的な意見は少なく,効果に期待する声が多かった.一方,避難の必要性を伝える文面については課題も見られ,今後の情報発信への示唆が得られた.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
川崎 昭如 ヘンリー マイケル 目黒 公郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.491-495, 2012-07-01 (Released:2013-02-23)
参考文献数
8

東日本大震災後,短期間に大量の外国人が国内外へ退避したことで,日本国内の社会経済活動に広範な影響がでた.本研究では,外国人の退避行動と災害情報収集過程との関係を明らかにすべく,東日本大震災時に関東地域に居住していた外国人を対象としたオンライン・アンケート調査を実施した.75ヶ国860人の災害情報収集過程と退避行動との関係性を分析し,震災後の情報収集過程の違いがその後の退避行動に与えた影響を定量的に示した.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
石川 哲也 近藤 伸也 川崎 昭如 大原 美保 目黒 公郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.473-479, 2013

本研究では,2011年台風12号豪雨水害で被災した十津川村を事例として,地方自治体のインタビュー調査から地域での情報伝達の現状と課題を明らかにした.そして被災者を支援する活動を行った十津川村出身者によるツイッターアカウントを対象として,情報発信経路と情報種別の観点からツイッターデータを分析し,情報発信の主体ごとの拡散性の高い情報種別の特定や,時間推移ごとの災害情報の拡散性について定量化するとともに,他の通信手段と比較したソーシャルメディアの効果的利用方法の可能性を検討した.
著者
石川 哲也 近藤 伸也 川崎 昭如 大原 美保 目黒 公郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.545-552, 2012

災害時の行政機関のソーシャルメディアによる情報発信について,その重要性が調査等で明らかにされているが,その効果的な運用方法や運用の課題が明らかにされていない.そこで本研究では,東日本大震災もしくは紀伊半島水害時にソーシャルメディア上で情報伝播の要として活躍した4つの組織・個人のアカウント運用者に対してヒアリング調査を行い,ソーシャルメディア運用の特徴や課題を整理した.そして災害時の行政機関アカウントの運用指針の提案,そして課題に対して調査から明らかになった知見を踏まえた解決策の提案を行った.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
川崎 昭如 ヘンリー マイケル 目黒 公郎
出版者
Institute of Industrial Science The University of Tokyo
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.387-394, 2013

東日本大震災後の海外諸国の対応と各国民の行動にはどのような関係があったか.また,自国から退避が勧告されたにもかかわらず退避しなかった外国人や,その逆の行動をとった外国人の意思決定の理由や信頼をおいた情報は何であったか.本稿では,震災直後の各国政府の対応を整理し,東日本大震災時に関東地方に居住していた外国人を対象としたアンケート調査より,震災後の退避行動とその意思決定の理由,信頼をおいた情報源を,諸外国の勧告レベルごとに分析し,関係性を分析した.
著者
川崎 昭如 目黒 公郎 近藤 伸也 大原 美保 小高 暁 田平 由希子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、山間・農村地域の災害対応力向上に資する情報伝達のあり方と技術戦略を多角的に検討した。特に携帯電話の利用に着目し,SMSの一斉メール送信を使った災害情報伝達に関する社会実験を実施した.その結果,屋外スピーカーによる情報伝達が及ばない範囲においてもSMSによる情報伝達が確認できた.また、東南アジアと我が国の地方行政の水害対応を比較として,行政から住民までの情報伝達過程を,組織間の役割分担と情報マネージメントの視点から整理した.さらに、我が国の自治体での災害・避難情報伝達に関する実態調査を行い、東日本大震災後に緊急速報メールをはじめとする新たな伝達手段が広く普及したことを明らにした。
著者
川崎 昭如 目黒 公郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.409-416, 2010-07-01 (Released:2010-11-25)
参考文献数
32

ウェブマッピング技術の急速な発展により,災害対応支援のあり方が変わりつつある.従来の地理空間情報を使った災害対応は,政府・自治体や災害救援機関の専門家集団による中央集権的な対応が主流であった.しかし,2010年1月のハイチ地震では,従来型の災害対応に加えて,ネットワーク型の災害対応コミュニティによる,より動的でオープンな災害対応支援が展開された.本稿では,ハイチ地震の対応活動を分析することで,近年の地理空間情報技術の発展が,災害対応活動支援にどのような影響を与えているかを概括する.[本要旨はPDFには含まれない]