著者
西野 貴裕 加藤 みか 宮沢 佳隆 東條 俊樹 市原 真紀子 浅川 大地 松村 千里 羽賀 雄紀 吉識 亮介 長谷川 瞳 宮脇 崇 高橋 浩司 片宗 千春 下間 志正
出版者
一般社団法人 日本環境化学会
雑誌
環境化学 (ISSN:09172408)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.37-56, 2020 (Released:2020-02-19)
参考文献数
56
被引用文献数
1 1

Quantitative analysis of pharmaceuticals and personal care products (PPCPs) in three environmental medias (air, water, and sediment) were carried out via a network of regional environmental research institutes in five large cities (Tokyo, Nagoya, Hyogo, Osaka, and Fukuoka) in Japan. The study took place from FY2016 to FY2018 as a part of a risk assessment for aquatic organisms. Analysis data of water samples from the five cities were carried out at the Tokyo Metropolitan Research Institute for Environmental Protection. The risk assessment for aquatic organisms was carried out by comparing the sample data with the predicted no-effect concentrations (PNECs) gathered from various sources. Concentration levels of five chemicals (clarithromycin, erythromycin, diclofenac, carbamazepine, and triclosan) exceeded the PNECs in several water samples. Concentrations of antibiotics, such as clarithromycin, and antihistamines, such as fexofenadine, tended to be higher during January to February than during June to August. In contrast, concentrations of insect repellents such as N, N-diethyl-m-toluamide (DEET) tended to be higher during June to August than during January to February. The discharge sources of these chemicals would be effluents from plants, such as sewage treatment plants, that were not completely treated. Estimated PPCPs loads accumulated by inflow data of Tamagawa river were compared with measured load value in this study. For some of these chemicals, such as fexofenadine and diclofenac, estimated loads did not coincide with measured loads at sampling points along the Tamagawa River. These differences were thought to occur as the consumption of fexofenadine increased rapidly during the research period, and diclofenac photodegraded while flowing down the river.
著者
山本 健太 市原 真優 和田 崇
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100046, 2015 (Released:2015-04-13)

【背景】演劇の消費は,劇場などの空間でなされる.そのため,演劇活動は,劇場が多く立地する大都市を中心に展開してきた.他方で,近年になり,一部の中堅,若手演劇人の中から,地方還流の動きも出てきている. 【調査概要】このような状況に鑑み,本発表では,地方における小劇場演劇の実態を担い手と観客の双方から示し,地方における演劇文化の発展可能性について検討する.調査対象は,広島市で活動する劇団と,協力の得られた劇団Aの2014年8月公演の観客(144人[回収率66.7%])である.調査方法は劇団主宰者へのインタビュー,観客へのアンケートである.東京などの大都市と異なり,地方都市では活動している劇団は必ずしも多くない.広島市の場合,活動が確認できた劇団は31団体である.このうち11団体の関係者からインタビューの協力を得られた.調査協力を得られた劇団Aは,広島市南区民文化センターの「演劇マネジメント活性化事業」による演劇若手人材育成ワークショップであり,当該センターの公設劇団と位置付けられている.【劇団員】劇団員はいずれも広島県内に定住し,本職を有しており,演劇活動は趣味である.演劇で生計を立てておらず,団員の上京意思は高くない.広島市内で活動を続けること,主宰者と演劇することに意義を見出している.主宰者も,団員選考にあたっては,長期にわたって共に作品を作り上げていける人物であることを重視している. 【活動場所】演劇活動の場は,稽古場所と公演場所に区分できる.広島においては,それらの大半が公共施設である.市内には,公演場所となるホールを有する施設は18ある.これらのうち,一部の施設では,客席数が500を超えており規模が大きく,あまり利用されていない.稽古場は,青少年センター,公民館,男女共同参画社会推進センターなどに限定される.これらはいずれも低料金であることから選択されている.しかし,夜間の利用時間に制限があり,劇団の需要を十分に満たしているとは言えない.【情報の発信】公演情報の発信手段として,チラシ,フリーペーパー,SNSなどが挙げられた.また,新聞やラジオなどを通じた広報もしている.ただし,これらの広報手段は,後述するように観客の情報源とは必ずしも一致しない. チケット販売経路では,手売りが一般的である.手売りの購入者は劇団関係者の親族や友人,知人などの「身内的な客」であることが推察される.そのほか,インターネットやプレイガイドでの販売も挙げられた.ただし,対象となった劇団の客層は「顔なじみ客」が多く,手売りで購入する場合が多い.インタビュー調査でも,手売り以外の窓口は,劇団の主要客層とのミスマッチから,十分に機能していないと指摘された.【観劇者の特徴】女性の比率が高い.対象劇団の特性から,学生の比率が高い.大半が市内在住である.東京や大阪での調査結果と比較すると,演劇経験者の比率が高い.【情報の受信】観客の96%が公演の情報源として劇団関係者との会話やメールを挙げている.他方で,インターネット経由の情報を指摘したものは16%にとどまった.チケット購入経路でも,65%が役者,スタッフからと回答しており,彼らが「身内的な観客」であることを示唆している. 【まとめ】地方における演劇活動は場所,時間ともに非常に限定される.公演は,「身内的な観客」によって支えられている.それら以外の客層をいかに育て,取り込んでいくかが重要である.担い手と観客の仲介役としての劇場の役割が期待される.
著者
市原 真
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.55, 2021-01-01

緻密に計算されたコンテキストブックの真髄 手に取ったとき,とてもシンプルに見えた.タイトルも,表紙のデザインも,宣伝目的の帯でさえも.しかしパラパラパラと3めくりしたあたりで,おやっと思った.著者名や発行年月日などが載った「奥付」が冒頭に配置されていたからだ. 若すぎる顔写真に謎が深まる.来歴にもナニヤラ遊び心がにじむ.表紙から想像していた堅物な印象からの違和感に思考が衝突して,立ちすくむような気分になる.発行日欄の一行目は「第1版第1刷 2002年3月」,最終行が「第4版第1刷 2020年8月」.着実に版を重ねてきた名著である.それなのにこのノリはなんだ?
著者
菊地 実 萩原 誠也 種田 紳二 中山 秀隆 市原 真 萬田 直紀
出版者
一般社団法人 日本超音波検査学会
雑誌
超音波検査技術 (ISSN:18814506)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.40-50, 2019

<p><b>目的</b>:糖尿病のインスリン療法に皮膚関連合併症があり,この合併症はインスリン吸収障害を起こすことがある.インスリン吸収障害の原因は,皮下投与されたインスリンの何らかの異常と考えられるが,この原因を超音波像によって視覚的に解明できるかを検討した.</p><p><b>対象および方法</b>:検体(ブタ組織),生体(成人ボライティア1名),インスリン皮膚関連合併症患者6名を対象に,検体ならびに生体で皮下注射が超音波像で可視されるかを実験し,インスリン皮膚関連合併症患者では,対象患者の患部と正常部にインスリンを投与し,両部位の超音波像の観察と血中インスリン濃度測定を行い,各投与部位の超音波像とインスリン吸収の関係を検討した.</p><p><b>結果と考察</b>:検体実験では投与液体は高エコーに描出され,その範囲は病理組織像と一致した.生体においても投与液体は検体同様に高エコーに描出された.高エコーとなった原因は,脂肪組織間の隙間に液体が滞留したことで超音波が反射,散乱したと示唆され,皮下注射は超音波像で可視できることが判明した.インスリン皮膚関連合併症患者のインスリン投与部位の超音波像は,正常部では実験同様に高エコーに描出されたが,患部では低エコーまたは混合エコーに描出された.患部の皮下投与インスリンの拡散面積は正常部に比べ有意に小さく(p<0.01),拡散部の輝度は正常部に比べ有意に低く(p<0.05),両者の皮下投与インスリンの超音波像は形態相違を認めた.インスリン吸収は患部では正常部に比べ有意に低く(p<0.05),拡散面積と正相関を認めた(p<0.05, r=0.9).したがって,患部の皮下投与インスリンは滞留範囲が制限された拡散障害の状態であることが示唆され,拡散障害とインスリン吸収低下の関連を超音波像で確認できた.</p><p><b>結語</b>:インスリン皮下注射は超音波像で観察可能であり,インスリン皮膚関連合併症の吸収障害の原因は,皮下投与されたインスリンの拡散障害であることが示唆された.</p>
著者
市原 真紀子 西尾 孝之
出版者
Japan Society on Water Environment
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.34, no.12, pp.183-189, 2011
被引用文献数
1

Alの高濃度化や不純物の精製など,改良を加えた浄水汚泥からの凝集剤回収法について検討し,そのリン除去能を検証した。回収凝集剤(再生バンド)のAl<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>濃度は0.75~9.4%であり,一部はJISに定めるAl濃度を満足していた。含水率の低い浄水汚泥を用いると,よりAl濃度の高い再生バンドを作成可能であったが,同時に不純物の高濃度化が見られた。再生バンドはT-NやT-P,Fe,Mnを高濃度含んでいたが,精製処理によりT-P以外は43.6~76.5%除去され,Alの低濃度化や鉄・マンガンの濃縮といった既報における欠点を一定克服した。モデル排水(T-P 0.85 mg・L<SUP>-1</SUP>)や地下水(T-P 1.14~1.52 mg・L<SUP>-1</SUP>)を用いたジャーテストにおいて,再生バンドは市販の硫酸バンドと同等のリン除去能を示し,1:5(PO<SUB>4</SUB><SUP>3-</SUP>:Al)のモル比で9割以上のリンが除去された。
著者
市原真著
出版者
丸善出版
巻号頁・発行日
2018
著者
下野 純平 市原 真穂
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 = The University Bulletin of Chiba Institute of Science (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.10, pp.91-99, 2017-02-28

目的:本研究は在宅超重症児のきょうだいに関する親の認識と関わりを明らかにし、家族への看護援助を考察することを目的とした。方法:7事例の超重症児の親に半構成的面接を実施し、逐語録を質的帰納的に分析した。結果:在宅超重症児のきょうだいに関する親の認識と関わりとして、【家族全員での対処を促すようにきょうだいに関わる】【きょうだいが家族の状況を察して表出できない思いや気持ちを推し量る】【きょうだいへの関わりに必然的に求められる育児を協働する】【きょうだいに関わることが十分にできないことによる葛藤がある】【きょうだいにとっては普通のきょうだい関係と同じ】【みんな違ってみんないい】【危機は避けたい】【障害があるからといって特別とは思わない】の8つのカテゴリーが抽出された。考察:家族への看護援助として、【家族全員での対処を促すようにきょうだいに関わる】を支えることや在宅での生活を見据えた退院支援をしていくことが必要である。
著者
谷岡 利朗 川村 秀樹 高橋 昌宏 山上 英樹 益子 博幸 石津 寛之 岡田 邦明 市原 真
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.45, no.7, pp.708-714, 2012-07-01 (Released:2012-07-18)
参考文献数
36
被引用文献数
1

症例は52歳の女性で,4型胃癌で2005年10月に胃全摘術を施行後に術後補助療法としてS-1を投与した.2007年6月のCTで右水腎症を認め,後腹膜再発を疑いweekly paclitaxelを開始した.2クール後に水腎症は改善するも,2008年10月に右大腿の疼痛と筋の硬化が出現した.2009年3月のCTで両大腿動脈周囲に低濃度領域を認め,疼痛も両下腿へ拡大した.後腹膜再発の大腿動脈周囲への伸展とその随伴症状と診断した.両鼠径部への放射線照射後に同部位の低濃度領域は消失したが,下肢の疼痛と硬化は進行し,硬化範囲が背部へも拡がったため,同年11月にMRIを施行した.脊柱起立筋から下腿に筋変性を認めたため,変性疾患との鑑別のため筋生検を施行した.横紋筋はほとんど間質線維に置換され,その中に異型腺管をまばらに認め,胃癌筋転移と診断された.胃癌骨格筋転移の報告は少ないが,筋変性を伴った報告はなく,本症例は極めてまれな症例と思われる.