著者
新城 正紀 有泉 誠 等々力 英美 恩河 尚清 金城 英子
出版者
The Japanese Society of Health and Human Ecology
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.362-373, 1997-11-30 (Released:2010-06-28)
参考文献数
21

Analyzing the records kept in Koza Public Health Center, this study aimed to elucidate tuberculosis (TB) control in Okinwa after World War II. The records included each patient's registration year, name, sex, date of birth, address, occupation, disease classification, treatment classification, bacterial tests, type of chemotherapy, surgical history, length of chemotherapy and ambulatory treatment. Pulmonary TB cases, 5, 289 in total, were the subjects of the present analyses . Based on the date of registration, the patients were assigned to phase I(1952-1961) or phase II (1962-1971), since the treatments changed from the concomitant use of 2 medications (isoniazid and pyrazinamide) in the former to that of 3 medications (streptomycin in addition to the above 2) in the latter . From the viewpoint of public health, medical care for TB patients was markedly improved from phase I to phase II, as exemplified by the decrease in the mean medication period from 3.9 years to 3.1 years and the decrease in the mean control period from 4 .8 years to 4J years. It is concluded that the home therapy system which was introduced to TB contorl in Okinawa in the postwar period to cope with insufficient medical resources, particularly in health centers, functioned effectively.
著者
新城 正紀 川南 勝彦 簑輪 眞澄 坂田 清美 永井 正規 Shinjo Masaki Kawaminami Katsuhiko Minowa Masumi Sakata Kiyomi Nagai Masaki 沖縄県立看護大学 国立保健医療科学院 和歌山県立医科大学 埼玉医科大学
出版者
厚生労働統計協会
雑誌
厚生の指標 (ISSN:04526104)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.17-25, 2003-02
被引用文献数
1

目的:著者らは,全国レベルで難病患者個人の臨床情報,疫学・保健・福祉情報,予後情報を収集しデータベース化およびコーホート研究を行っている。今回は,1999年に実施したベースライン調査結果を基に,今後の保健福祉サービス(以下,公的サービス)の在り方について検討するため,公的サービス(ホームヘルパー,看護師,保健師)の利用状況,医療機関への受診状況,サービスおよび現在の生活への満足度,病気への受容度,今後必要とするサービスについて,疾患別および日常生活動作別に把握することを目的とした。方法:対象者は,全国の保健所のうち,本研究に調査協力可能であった35保健所管内における新規・継続の特定疾患医療受給者(1999年4月1日時点において受給資格を得ている者および,それ以降に受給資格を得る者)とした。調査項目は,基礎情報-特定疾患治療研究事業医療受給申請書,疫学・福祉情報調査,日常生活動作,公的サービスへのニーズおよびディマンド調査をもとに,公的サービス(ホームヘルパー,看護師,保健師)の利用状況,医療機関への受診状況,現在受けているサービスおよび現在の生活への満足度,今後必要とするサービス,病気への受容度とした。調査方法は,各協力保健所が調査対象とした難病患者に対して,新規・更新の申請時に調査項目に関する面接調査を行った。ただし,面接調査が不可能な場合にのみ郵送調査を行った。解析は,収集できた調査数の最も多かった6疾患(パーキンソン病,脊髄小脳変性症,筋萎縮性側索硬化症,重症筋無力症,演癌性大腸炎,全身性エリテマトーデス)について,日常生活動作別に各調査項目の実態を明らかにすることとした。結果および考察:調査データが得られたのは30保健所(北海道から沖縄まで21都道府県)であり,回収率は57.7% (=2,059人:調査実施数/3,571人:調査予定者数)であった。そのうち,痩学・福祉情報調査,公的サービスへのニーズおよびディマンド調査への協力に同意しなかった者または回答拒否者496人(24.1%)を除いた全疾患の合計は1,563人(男:687人,女:876人)であった。このうち,解析対象とした6疾患の合計は1,211人(男:543人,女:668人)であった。疾患別に公的サービスの利用割合をみると筋萎縮性側索硬化症が最も高く,ついでパーキンソン病,脊髄小脳変性症,重症筋無力症,全身性エリテマトーデス,潰癌性大腸炎の順であり,疾患の重症度に応じた公的サービスが提供されていると推察できるが,疾患ごとに公的サービスのニーズやディマンドが異なると考えられるので,詳細な分析が必要である。特に,筋萎縮性側索硬化症では往診・入院の割合も高かったことから,公的サービスおよび医療によるケアを必要とする疾患であると思われる。6疾患を全体的にみると,2割~3割の者が現在の生活に「やや不満~不満」と回答しており,大半の者が普通以上の生活を営んでいると推察できる。6疾患とも今後必要とする公的サービスがあるとの回答があり,ホームヘルパー,デイサービス,ショートステイ,訪問歯科治療,難病相談会,難病患者の集い,訪問看護,訪問診療,医療機器の貸与,緊急通報システム,住宅改造,機能回復訓練の全ての項目で何らかの公的サービスの必要が選択され,その必要性が明らかとなった。結論:公的サービスは難病患者の生活の質の向上につながると考えられるが,本当に必要な患者に必要なサービスが提供されているか,必要なサービスは何かなど,疾患や日常生活動作,QOLなどの情報をもとに,画一的にならない一人一人に適したきめ細かい公的サービスの在り方を検討する必要があることが示唆された。
著者
天野 洋子 安里 葉子 新城 正紀 上田 礼子
出版者
沖縄県立看護大学
雑誌
沖縄県立看護大学紀要 (ISSN:13455133)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.36-44, 2001-02
被引用文献数
2

本研究の目的は、青年期にある者を対象として、彼らが自己開示し相談できる相手、尊敬している人、自己決定に際し大きな影響を受ける他者等をあきらかにし、今後の精神保健活動に役立てることにある。調査対象 平成12年7月、沖縄県の短期大学2年生(女子)47名である。 調査方法は質問紙法であり、(1)生き方、性の問題、結婚、困ったときなどに誰に、どのくらい、話をしたり相談したりするか(2)尊敬する人、結婚生活について考える際に影響を受けたものなどであった(調査票は1984年上田作成を用いた)。結果:1)、青年期にある者の自己開示の程度は項目によって誰にどの程度話すかに違いがあった。2)、彼らが全ての項目で最も自己開示できる相手は友人であった。友人に全部話すものの割合は、生き方57%、性の問題70%、結婚について68%、困っているとき85%であった。これは他の人たちに対する自己開示に比べ非常に大きな割合であった。 3)母親に何でも話せる者は生き方27%、結婚24%、困ったとき30%であり三項目とも第2位であった。4)全ての項目につき自己開示できる相手(少し話すも含めて)の平均は友人94%、母親58%、きょうだい55%、先輩38%、父親34%、親しくないが信頼できる人26%、先生20%、祖父母13%、親戚10%であった。5)性について自己開示する相手は友人93%、きょうだい41%、先輩36%、親しくないが信頼できる人23%、母親20%、先生14%、父親7%、親戚5%、祖父母0%であり母親、父親の割合は低かった。6)父親について 父親への相談は母親にくらべかなり順位は低かった。 しかし、結婚条件として求める事や、結婚したらどんな夫婦になりたいかなどにおいて子どもの考え方に父親は強く影響を及ぼしていることが明らかになった。 以上の結果から青年期にあるものの重要他者としては一位が友人、2位母親、きょうだい、先輩、父親の順であった。ゆとりがなく他者との信頼関係を築くのに努力を要し、きょうだいの数が減少してきている時代に、彼らが安心して自己開示できる人々に出会え豊かな人間関係を築けるよう周りの大人達の配慮が必要であることが示唆された。