著者
加茂 憲一 金子 聰 吉村 公雄
出版者
厚生統計協会
雑誌
厚生の指標 (ISSN:04526104)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.21-26, 2005-06
著者
中田 ゆかり 柴田 英治 角谷 寛 KADOTANI Hiroshi
出版者
厚生労働統計協会
雑誌
厚生の指標 = Journal of Health and Welfare Statistics (ISSN:04526104)
巻号頁・発行日
vol.68, no.11, pp.1-7, 2021-09

目的:本研究の目的は,不眠症の疑いのある労働者が就寝時に「快眠音」を聞くことにより,睡眠潜時(寝つくまでの時間)が短縮するのかを検証することである。方法:研究デザインは,個々の研究対象者が「介入群(快眠音)」と「対照群(無音)」をもつランダム化比較試験とした。快眠音システムは音源内蔵スピーカー(ヤマハ社製ISX-80)とベッドマット下生体センサー(EMFIT社製EMFIT-QS)を用いた。日本企業4社の従業員1,185名を対象として事前にアテネ不眠尺度を用いてスクリーニングを行い,531名より回答を得た。不眠症の疑いのある6点以上の162名を抽出し,研究同意・データが得られた42名を対象に分析を行った。データ収集方法は,対象者が自宅に設置した快眠音システムを用いて就寝時にランダムに「快眠音」と「無音」を聞き,それぞれ平日5晩ずつ計10晩の睡眠潜時,睡眠時間,睡眠効率のデータを収集した。睡眠潜時のデータを主要評価項目とし,同様に睡眠時間および睡眠効率のデータを副次評価項目とした。分析方法は,「快眠音」と「無音」での対応のあるt検定を行った。結果:睡眠潜時,睡眠時間,睡眠効率すべての評価項目において「快眠音」と「無音」で有意な差は認められなかった。結論:「快眠音」は不眠症の疑いのある労働者に対する睡眠潜時の短縮効果は得られなかった。
著者
西條 泰明 中木 良彦 川西 康之 吉岡 英冶 伊藤 俊弘 吉田 貴彦
出版者
厚生労働統計協会
雑誌
厚生の指標 (ISSN:04526104)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.1-6, 2015-05

雑誌掲載版目的 北海道内の居住地域から,脳梗塞アルテプラーゼ静注療法の実施できる脳卒中急性期医療拠点病院への自動車アクセス時間について地理情報システム(GIS)ソフトウエアを用いて推定し,またアクセス時間を短縮することで改善するための拠点病院配置案を示すことを目的とした。方法 北海道医療計画に掲載されている61医療機関を脳卒中急性期医療拠点病院とし,平成22年国勢調査における町丁字別人口に1人以上の居住者が存在する地区ごとに,直近の拠点病院への自動車アクセス時間を推定した。二次医療圏・市町村ごとのアクセス時間は町丁字別人口居住者数の重み付けをした平均値として算出した。またアクセス時間を改善するための拠点病院配置案については,二次医療圏ごとにアクセス時間上位の二次医療圏へ,7医療機関を新たに割り当てたアクセス時間改善案の検討も行った。結果 61拠点病院へのアクセス時間について,平均60分以上となる二次医療圏が6医療圏存在し,うち90分以上は5医療圏であった。アクセス時間を改善するための拠点病院追加案については,(1)二次医療圏でアクセス時間が平均60分以上であり,医療圏内に拠点病院が設定されていない6医療圏,(2)アクセス時間60分以上に該当する人数が,約7万4千人と医療圏では2番目に多い1医療圏に1拠点病院を追加したと仮定した。以上,計68拠点病院とした場合の二次医療圏ごとのアクセス時間を計算すると,平均60分以上は1医療圏のみとなった。結論 本研究では,GISソフトウエアを用いて,特に二次医療圏ごとの拠点病院への平均アクセス時間を示した上で,北海道の現状を考えた脳卒中急性期医療拠点病院の例を示した。脳梗塞急性期治療については,二次医療圏や自治体ごとのアクセス状況を検討し,地域の現状を考えて改善案を考えていく必要があると考える。
著者
古川 和稔
出版者
厚生労働統計協会
雑誌
厚生の指標 = Journal of health and welfare statistics (ISSN:04526104)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.8-14, 2017-09

目的 介護保険法において指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム;以下,特養)は,入所者の在宅復帰を検討することと明記されている。また,地域包括ケアシステムでは,特養には入所施設としての機能だけでなく在宅で暮らす要介護者の在宅生活継続を支援するという機能も期待されている。そこで,特養に勤務する職員の在宅復帰に関する意識と,在宅復帰の可否に影響を与える要因を明らかにすることを目的に調査を実施した。方法 A県内に所在する特養のうち,事前の調査協力要請に対して承諾が得られた47施設に勤務するケアに関わる全職員を対象に無記名自記式質問紙調査を郵送法によって実施した。2015年7月,調査票2,535通を郵送した。調査内容は,回答者の基本属性,在宅復帰に関する職員の意識14項目,在宅復帰を実践する上で必要な支援20項目とした。結果 回収数は929名(回収率36.6%)であった。職種は介護職員が最も多く74.0%,次いで看護職員(11.2%)であった。「特養からの在宅復帰は可能だと思う」という設問には58.9%が肯定的回答を示した。「利用者は在宅復帰を望んでいると思う」という設問には87.9%が肯定的回答を示したが,「家族は在宅復帰を望んでいると思う」に対する肯定的回答は52.4%であり,35.5ポイントの差があった。「特養からの在宅復帰は可能だと思う」に対する回答を従属変数としたロジスティック回帰分析の結果,「高齢者は在宅で暮らした方が良い」「自主的に在宅復帰について学んでいる」という職員の意欲面と,「現在の職場は在宅復帰に取り組んでいる」「直属の上司は在宅復帰を意識している」という職場環境が関連する結果を示した。また,「在宅復帰を実践する上で必要な支援」では、家族支援に関する項目が有意な結果を示した。結論 特養と地域密着型特養の合計数は9,452施設で,今後も増加すると見込まれていることから,これらの施設が在宅復帰や在宅生活継続に取り組むか否かは,地域包括ケアシステムの完成に向けて非常に大きな影響を与えるであろう。「在宅復帰は可能だと思う」という職員の意識に,職員の意欲面と職場環境が関連する結果を示したことから,在宅復帰に向けた職員の意欲の高まりと,在宅復帰に取り組む職場環境の改善が相まって進めば,その相乗効果により,特養からの在宅復帰の可能性が高まることが示唆されたと考える。また,家族支援の方法と位置づけを明確にする必要があると考える。