著者
三浦 洋 早野 恵子 井野辺 義人 福井 博義
出版者
社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析療法学会雑誌 (ISSN:09115889)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.651-655, 1991-05-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

マムシ咬傷による横紋筋融解症から急性腎不全を来たし, 救命し得たもののDIC, 消化管出血等の合併症を伴って重篤な経過を辿った2症例を報告する. 両症例共に受傷後, 広汎な局所病変を呈し, 入院時検査においてBUN, creatinineの上昇と共にLDH, CPKなどの筋由来酵素群の上昇がみられ, さらに血中, 尿中のmyoglobinの高値も認めたことから, rhabdomyolysisによる急性腎不全を発症したと考えられた. 症例1は蛇毒中の血液凝固因子の作用によりDICを併発したことから, また症例2は大量の消化管出血を伴ったことから, いずれも重篤な経過を辿った. 局所病変の強いマムシ咬傷例は, 重篤な合併症に注意して診療にあたるべきと思われた.
著者
吉岡 泰夫 早野 恵子 徳田 安春 三浦 純一 本村 和久 相澤 正夫 田中 牧郎 宇佐美 まゆみ
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.251-257, 2008-08-25 (Released:2010-10-22)
参考文献数
5
被引用文献数
1

患者医師間のラポールに基づく協力関係の構築や, 両者の情報共有による合意形成は, 適切なコミュニケーションを基盤として実現される. 安全で信頼される医療を実践するためにも, 医療コミュニケーションの適切化は不可欠である. この研究は, そのために効果的なポライトネス・ストラテジーを明らかにすることを目的とする.1) ポライトネス・ストラテジーとその効果について, 医療面接の談話分析により調査課題を抽出, 患者医師双方に対して面接調査, WEB調査を実施した. さらにWEB討論会で論点を明確化した.2) 敬称「さま」や多重謙譲などの過剰な敬語を, 患者は, 慇懃無礼で, 医師から心理的距離を置かれると感じている. ラポールに基づく協力関係の構築には逆効果と, 患者医師双方が意識している.3) 患者は医師に敬称「さん」や簡素な敬語の使用を期待している.それらには, 敬意を表すと同時に, 適度に心理的距離を縮める, ポジティブ/ネガティブ両面のポライトネス効果があるからである.4) 医師が, 患者の方言を理解し, 同じ方言を使うことは, 親近感を生み, 心理的距離を縮めるポジティブ・ポライトネス効果があり, 患者をリラックスさせ, 患者からの医療情報の収集を円滑にする.5) 称賛する, 楽観的に言うなどのポジティブ・ポライトネス・ストラテジーは, 患者の状況やその時のフェイス (親近欲求か不可侵欲求か) により成否は分かれるが, 成功すれば行動変容をもたらす.
著者
西村 真紀 大野 毎子 小崎 真規子 片岡 仁美 川島 篤志 早野 恵子 村田 亜紀子 森 敬良
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.346-349, 2014 (Released:2014-12-24)

日本プライマリ・ケア連合学会は, 2012年8月に系統的キャリア形成支援を目的に女性会員支援委員会を設立した. 西村真紀委員長以下5名の委員により, 学会員の現状把握, 学術大会・セミナーでの定例企画開催, 託児所の円滑な運営が行われてきた. 2014年度より委員を8名へ増員, 名称を2014年9月男女共同参画委員会へ変更し男女共同参画に関する要望の作成を進めている. 概要につき報告する.
著者
尾藤 誠司 早野 恵子 野村 英樹 大西 弘高 浅井 篤 大生 定義 竹村 洋典
出版者
独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター)
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

<研究の目的>医療を受ける側と提供する側が信頼しあいながら医療サービスが成立するために、現在解決されなければならない問題はいくつもある。我々研究班は、2年間の事業の中で、現在起こっている医療に関する問題点について、医師のプロフェッショナリズムの視点から考察し、実証的な根拠を提示するとともに、プロフェッショナリズム推進への方略や、プロフェッショナリズム涵養のためにあるべき教育について多面的な研究事業を行なうことを目的とした。各事業に先立ち、我々は、まずインターネットによるW.EB掲示板機能を用いた「WEB討論会」を開催した。その内容を基礎資料として、以下の分担事業を行った。<医師の思考と職業意識に関する論考集の出版>分担研究者を中心とした医師の思考を文化人類学的に考察した『医師アタマ』を出版するとともに、事例を基にした論考連載「白衣のポケットの中:医師のプロフェッショナリズムについて考えるフォーラム」をおこなった。<医師が持つべきプロフェッショナリズムに関する質的調査および量的調査>医師が持つべきプロフェッショナリズムの内容に対し、医療専門職や患者、市民等に対して質的インタビューを行い概念の整理を行った。その上、医師の態度と行動に対する調査を、医師、患者、市民に実施し、結果の比較を行った。<医師のプロフェッショナリズム推進および教育事業>映画や事例の振り返りによる、医師の態度教育に関する教育ツールを開発し、有用性の観察を行った。<良質な医療サービスを提供するために必要な就労環境についての調査>医師の就労環境改善を提言するための現状調査を行った。以上の調査等を踏まえ、複数の種類にわたる医療専門職のほか、倫理学、メディエーター、マスコミ関係者、患者を代表する者等による合同ワークショップ「ともに考える医療ワークショップ」を開催し、医療者行動規範宣言書の草案を作成した。