- 著者
-
服部 等作
- 出版者
- 一般社団法人 日本デザイン学会
- 雑誌
- デザイン学研究 (ISSN:09108173)
- 巻号頁・発行日
- vol.51, no.5, pp.9-16, 2005-01-31 (Released:2017-07-19)
- 参考文献数
- 19
本研究の目的は、王、皇帝、あるいは聖職者用に象徴性を備えた玉座に関する研究である。本論文では、紀元前3000年期のメソポタミア文明1期のウルク、及びジェムデド・ナスル様式の印章に表現された3種類の特徴的な座像を調ペた。座像は、地面に直接すわる床座像、敷物にすわる床座像、そして低い座面の原形風スツールの上の床座および椅座の人物像が出現する。これら3種の座像から、地面に直接すわる床座像には、群像が多い、単独像に従い敷物あるいはスツールを利用する図像が増大する。特に単独の座像は、スツールの上の片立て膝の床座姿勢が多数ふくまれ、その表現には特別な人物を想起させる神殿や祭犯の光景が加わる。このことからスツールの上の床座、とりわけ片立て膝の床座姿勢をとる人物座像に玉座の性格の一部を有するとしてその特徴が見いだせる。