著者
篠田 知和基 吉田 敦彦 丸山 顕徳 松村 一男 中根 千絵 鈴木 正崇 不破 有理 服部 等作 山田 仁史 立川 武蔵 後藤 敏文 荻原 真子 木村 武史 後藤 明 廣田 律子 近藤 久美子 竹原 新 坂井 弘紀 諏訪 春雄 小松 和彦 鷹巣 純 栗原 成郎 依田 千百子
出版者
広島市立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009-04-01

世界神話の基本的な二元構造を日本神話、ギリシャ神話、エジプト神話、インド・イラン神話、オセアニア神話、シベリア神話、アメリカ神話などにさぐった。明暗、水中の火、愛の二元性、罪と罰、異界と常世などのテーマでシンポジウムをおこない、それぞれの論文集を刊行した。生死、善悪の問題はそのつど検討された。最後は聖と穢れについて総括討論会をおこなった。その結果、世界神話は聖なるものを水中の火のような矛盾した概念のなかに追及するものであることがあきらかになった。
著者
篠田 知和基
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大學文學部研究論集. 文學 (ISSN:04694716)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.151-171, 1998-03-31
著者
篠田知和基編
出版者
楽瑯書院
巻号頁・発行日
2011
著者
篠田 知和基 松村 一男 山本 節 吉田 敦彦 渡辺 浩司
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

平成10年よりフランス側の研究者としてグルノーブルのワルテル、シガノス、ソルボンヌのルクトゥ、アンジェのブルミエ、ブザンソンのエル、パリのポノを加えてた海外共同研究として発足し、平成11年より、制度の変更により、基盤Bとなった。共同研究としては都合4回の国際シンポジウムでの討議と、フランスでの共同調査でその実をあげた。一回目は「荒猟師の東西」と題し、ヨーロッパ中世の「荒猟師伝承」を古代にさかのぼってその起源と変遷を追求し、それと日本の怨霊伝承との接点をさぐった。このうち重要な部分がグルノーブルの研究雑誌IRISに掲載された。二回目はソルボンヌの北欧神話学の泰斗レジス・ボワイエとスイスの神話学者で「神々の母」を発表して注目をあつめているフィリップ・ボルジョ、それにインド・ヨーロッパ神話学のベルナール・セルジャンをまねいて「冥界の母神」として大母神の姿を比較検討した。三回目は「東西の老賢者」とし、ヨーロッパのアーサー王伝承におけるマーリンにみられる魔術師、あるいは世界の陰の演出者としての老人像にスポットをあてた。日本では役の行者、阿倍清明、久米仙人などのほか、サルタヒコに照明があてられた。4回目は母神にだかれた「おさな神」をとりあげ、オリエントの水辺の豊饒の女神と、犠牲神との対について考えた。わがくにではスクナヒコナ、ニニギ、あるいはオオクニヌシに幼児神の相貌が明らかだが、中世の寺院世界では稚児伝承があり、観音の奇瑞にもつらなるとともに、また、罪障と聖性の交錯する神話世界の特性もあきらかにされた。このほかに1日のみのシンポジウムを名古屋で2回、東京で一回行った。またフランスでの研究発表を5回行った
著者
篠田 知和基
出版者
名古屋大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

日本とフランスを中心として、昔話、および伝説の異類婚説話の比較を行なった。広くインド・ヨーロッパ文化圏の説話と日本の説話が民衆文化のレヴェルで相同性を示すことはすでに、吉田敦彦氏らによって証明されているが、とくに神話レヴェルに近い昔話としての異類婚説話を検討すると、それが、獣祖と天人との結合を物語る始祖説話から発生することが了解され、そのひとつとして、たとえば、フランスのメリュジーヌ説話と日本のトヨタマヒメ説話の相同性なども出てくるが、それは、決して直接的な一方の他方への伝播でなはく、双方の中間地帯からの同時両方向的伝播の結果だが、それも単に単一説話の移動ではなく、自然と人間とのかかわり方を説明する説話体系の複合的移動が、文化的に変容を蒙っていった果ての一致であることがわかる。すなわち、昔話では、フランスの代表的な昔話、「悪魔の娘」が、日本の「天人女房」と構造的一致を示し、「青髭」は「猿婿」の文化的変容である。また、動物相の変化の法則により、中央アジアの狼は日本では蛇(神)になり、メソポタミアを経由したヨーロッパでは竜になるが、それが、さらに、攻撃者と犠牲の相互可逆性の法則により、昔話では蛙になり、また、文化英雄の遺棄の説話は超自然的保育神話に接続するときに、授乳者としての雌鹿のイメージをうんでもゆく。それらを総合して、日本とフランスは同一文化の両端に属し、同種の文化変容を遂げつつ、それぞれ、特有の風土性を示し、かつ、早くから、近代化を蒙りながらも、その両者を対照させることで、いくつかの説話の古層の原態を再現することができる文化であることが証明された。