著者
木村 玄次郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.9, pp.2413-2417, 2013-09-10 (Released:2014-09-10)
参考文献数
16
著者
藤井 隆 小嶋 俊一 大江 透 今西 政仁 木村 玄次郎 唐川 真二 飯田 達能 平田 結喜緒 倉持 衛夫 下村 克朗 伊藤 敬一 尾前 照雄
出版者
社団法人 日本腎臓学会
雑誌
日本腎臓学会誌 (ISSN:03852385)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.347-353, 1988-04-25 (Released:2011-07-04)
参考文献数
25

The mechanism of polyuria associated with paroxysmal supraventicular tachycardia (SVT) was investigated in 8 patients whose SVT was provoked artificially by esophageal pacing. SVT was sustained for 60 minutes. Blood and urine samples were collected every 30 minutes from one hour before provocation to one hour after termination of SVT. Urine volume increasd in all patients more than two fold (on average 2.5 fold) of the control volume. Urine osmolality decreased from 546±66 (S. E.)mOsm/kg at the control period to 197±32 mOsm/kg at the peak of urine volume. Urinary Na excretion increased significantly (p<0.01) about 1.5 fold for 30 minutes after termination of SVT. Urinary antidiuretic hormone (u-ADH) was suppressed to one third of control period during SVT (from 30±11 pg/min to 8±2 pg/min), then increased significantly (p<0.05) to 74±15 pg/min after termination. Although plasma ADH level did not change during SVT, it tended to increased after termination. Plasma concentration of atrial natriuretic polypeptide (p-ANP) increased to 5 fold on average at termination of SVT and maximally attained value was 400 pg/ml. Urinary prostaglandin E2(u-PGE2) excretion increased after termination of SVT and percent changes of u-PGE2 had a positive correlation with those of urinary Na excretion (r=0.64, p<0.001, n=5). Positive correlation was also found between percent changes of u-PGE2 excretion and those of u-ADH excretion (r=0.72, p<0.001, n=5). The findings suggest the following conclusions: 1) The polyuria during SVT period was attributed mainly to the inhibition of ADH secretion, 2) Natriuresis after SVT period was due to i) the increase of p-ANP and ii) the release of renal PGE2 associated with the increased ADH secretion.
著者
中村 敏子 木村 玄次郎 富田 純 井上 琢也 稲永 隆
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.28, no.11, pp.1407-1413, 1995-11-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
16

血液透析の導入が必要である患者では, 高血圧や肺水腫等のため, 適正な体液量レベルの体重 (DW) をあらかじめ推測することが重要である. しかし, これまでは, DWを決定する絶対的な基準がないため, 実際にどの体重レベルまで除水すればよいのかを推定することは困難であった. そこで, 1977年から1987年の間に当施設で血液透析に導入し転院し得た慢性腎不全患者190例を対象として, 導入時の体重変化の程度と性別, 年齢, 原疾患, 血圧, 胸部X線 (CTR), 心電図などを調べ, DWまでの除水量や体液量是正後の血圧の推定が可能かどうか検討した. 導入期の体重 (iBW) と転院時の体重 (mBW) の差をとり, それを後者で除したものを体重変化率 (%ΔBW) とした. 導入期の収縮期血圧 (iSBP) と維持期の収縮期血圧 (mSBP) の差をとり, それを前者で除したものを収縮期血圧変化率 (%ΔSBP) とした. 性別や年齢は%ΔBWや%ΔSBPに影響を与えなかった. 導入時心電図所見を左室肥大とST変化により4段階に分けスコア化した (ECGスコア). %ΔBwはiSBP, CTR, ECGスコアと相関し, 慢性糸球体腎炎では糖尿病性腎症に比し低値を示した. iSBPは慢性糸球体腎炎では糖尿病性腎症や腎硬化症に比し低値であった. %ΔSBPは, iSBPやECGスコアと有意な相関を示し, 慢性糸球体腎炎や糖尿病性腎症では腎硬化症に比し高値であった. ECGスコアは慢性糸球体腎炎では糖尿病性腎症や腎硬化症に比して軽度であった. このように, 透析導入時に必ず施行される諸検査 (血圧, 心電図, 胸部X線) を利用して, 導入時の体重増加がDWの何パーセントであり, DWまでどの程度除水すべきなのか, 維持期には血圧がどのレベルまで低下するのかをも, 推定することが可能であることが示唆された.
著者
福田 道雄 木村 玄次郎
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

近年、1)慢性腎臓病(CKD)は早期であっても心血管病の危険因子であり、2)腎機能が正常な時期から腎機能低下につれて心血管病の危険度が増加する事(=心-腎連関)が判明し、CKDを早期診断・治療して心血管病を予防する事が世界規模の健康問題となった。私達名古屋市立大学心臓・腎高血圧内科学の研究グループは、24時間に亘る適切な血圧管理のために24時間血圧測定を日常診療に取り入れた結果、腎機能が低下するにっれて夜間血圧が低下しなくなるnon-dipper型の血圧日内リズムを呈し、かつ日中に比し夜間の尿中ナトリウム排泄量が多くなることを発見した(Kidney Intemational. 2004 Feb ; 65 (2) : 621-625)。この現象を「腎機能が低下すると日中に十分なナトリウムを排泄しきれなくなり、本来夜間に低下(dipper)する血圧を高いまま維持することで圧-利尿を発揮し夜間にナトリウムを排泄する」と解釈し、この考えを「non-dipperの腎性機序」として提唱してきた。さらに日中の活動時にナトリウム排泄が低下してしまう病態では臥位から立位に体位変化をするとナトリウム排泄が低下してしまうとの仮説を立て、本研究を立案・実施した。平成17~18年度は「non-dipperの腎性機序」を支持する研究成果を積み重ね、平成19年度は立位負荷時の尿中ナトリウム排泄低下が、血圧や尿中ナトリウム排泄のnon-dipper型日内リズムを検知し得ることを明らかとした。non-dipperや食塩感受性の基本には共通した腎におけるナトリウム排泄障害が存在し、それを立位負荷時のナトリウム排泄低下で診断し得る可能性が示された。non-dipperも食塩感受性も心血管イベントリスクである事は確立しており、立位負荷による腎予備能低下の診断はCKD早期における心血管イベントリスクのスクリーニングに有用である可能性が示唆され興味深く、今後さらなる検討を要する。本研究を支えて頂きました日本学術振興会様、国民の皆様に深謝致します。