著者
清水 渉 大江 透 金子 敬子 高木 洋 相原 直彦 鎌倉 史郎 松久 茂久雄 佐藤 磐男 下村 克朗
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.8, no.6, pp.773-778, 1988-11-30 (Released:2010-09-09)
参考文献数
17
被引用文献数
3 1

同一心電図上でデルタ波の出現と消失を認める間歇性WPW症候群35例の臨床電気生理学的特徴を検討した.心房早期刺激法による房室伝導曲線パターンは一様でなく, 顕在性WPW症候群に類似するもの (I群) , 基本周期でデルタ波を認め, 早期刺激で一旦デルタ波が消失するが, さらに短くすると再び出現し, 最後に再び消失するもの (II群) , 潜在性WPW症候群に類似するもの (III群) , 基本周期でデルタ波を認めないが, 早期刺激でデルタ波が出現し, 最後に再び消失するもの (IV群) の4群に分類された.顕在性WPW症候群類似のI群や, いわゆるsupernormal conductionを認めたII, IV群の副伝導路順行性の有効不応期は長かった.III群は電気生理学的検査後にデルタ波の出現と消失を認めた症例もあり, 潜在性WPW症候群との関連については今後の検討が必要と思われた.以上の電気生理学的特徴がどのように臨床上のデルタ波の出現と消失に関与するかは今後さらに検討を要する問題である.
著者
武 寛 伴場 主一 大原 美奈子 林田 晃寛 廣瀬 英軌 廣畑 敦 山本 桂三 吉田 清 大江 透
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.47, no.SUPPL.1, pp.S1_105, 2015 (Released:2016-12-14)

軽度の漏斗胸を認める16歳男性. 高校入学時よりボクシング部に入部. 練習で初めて胸部にパンチを受けた際に失神. AEDで心室細動を認め, 電気的除細動を施行. 神経学的後遺症なく回復し, 精査のため当院紹介. 12誘導心電図では, 高位助間で不完全右脚ブロックを認めるも, サンリズム負荷は陰性, 加算平均心電図も陰性であった. 心エコーでは, 左室収縮能は良好で, 冠動脈CTでも異常は認めなかった. 心臓MRIでは器質的心疾患はなく, 遅延造影も陰性であった. 電気生理学的検査で, 右室心尖部, 右室流出路からの3連期外刺激を行うも心室細動は誘発されず. 漏斗胸のためCT上, 胸骨後面は右室前面に接しており, 胸部へのパンチが心臓振盪を引き起こしたと考えられた. 心臓振盪を再現するために, 心室単回期外刺激をR on Tとなるタイミングで行ったが, 最大3連発の心室期外収縮を認めるのみであった. ボクシングの練習中に心臓振盪を起こした漏斗胸の1例を経験したので報告する.
著者
藤井 隆 小嶋 俊一 大江 透 今西 政仁 木村 玄次郎 唐川 真二 飯田 達能 平田 結喜緒 倉持 衛夫 下村 克朗 伊藤 敬一 尾前 照雄
出版者
社団法人 日本腎臓学会
雑誌
日本腎臓学会誌 (ISSN:03852385)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.347-353, 1988-04-25 (Released:2011-07-04)
参考文献数
25

The mechanism of polyuria associated with paroxysmal supraventicular tachycardia (SVT) was investigated in 8 patients whose SVT was provoked artificially by esophageal pacing. SVT was sustained for 60 minutes. Blood and urine samples were collected every 30 minutes from one hour before provocation to one hour after termination of SVT. Urine volume increasd in all patients more than two fold (on average 2.5 fold) of the control volume. Urine osmolality decreased from 546±66 (S. E.)mOsm/kg at the control period to 197±32 mOsm/kg at the peak of urine volume. Urinary Na excretion increased significantly (p<0.01) about 1.5 fold for 30 minutes after termination of SVT. Urinary antidiuretic hormone (u-ADH) was suppressed to one third of control period during SVT (from 30±11 pg/min to 8±2 pg/min), then increased significantly (p<0.05) to 74±15 pg/min after termination. Although plasma ADH level did not change during SVT, it tended to increased after termination. Plasma concentration of atrial natriuretic polypeptide (p-ANP) increased to 5 fold on average at termination of SVT and maximally attained value was 400 pg/ml. Urinary prostaglandin E2(u-PGE2) excretion increased after termination of SVT and percent changes of u-PGE2 had a positive correlation with those of urinary Na excretion (r=0.64, p<0.001, n=5). Positive correlation was also found between percent changes of u-PGE2 excretion and those of u-ADH excretion (r=0.72, p<0.001, n=5). The findings suggest the following conclusions: 1) The polyuria during SVT period was attributed mainly to the inhibition of ADH secretion, 2) Natriuresis after SVT period was due to i) the increase of p-ANP and ii) the release of renal PGE2 associated with the increased ADH secretion.
著者
山本 勝広 大江 透 相原 直彦 鎌倉 史郎 松久 茂久雄 下村 克朗
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.679-685, 1988-06-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
16

迷走神経刺激は心室頻拍には影響を与えないと言われているが,迷走神経の緊張を高める手技や自律神経作働薬にて心室頻拍の停止する例がわずかながら報告されている.我々は,心室頻拍の停止に副交感神経刺激が有効であった3例について検討した.2例は非持続型の心室頻拍,1例は持続型の心室頻拍である.種々の副交感神経刺激手技や副交惑神経刺激薬剤にて心室頻拍は停止した.しかし副交感神経刺激の有効性の機序は迷走神経緊張作用によるものか,交感神経抑制作用によるものか,あるいはこれらの相乗作用によるものか明らかではなかった.また,その心室頻拍の特徴や機序についても検討した.