- 著者
-
中井 専人
山下 克也
本吉 弘岐
熊倉 俊郎
村上 茂樹
勝島 隆史
- 出版者
- Meteorological Society of Japan
- 雑誌
- 気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
- 巻号頁・発行日
- vol.100, no.1, pp.45-56, 2022 (Released:2022-02-23)
- 参考文献数
- 34
- 被引用文献数
-
2
Xバンド水平偏波レーダー反射因子(Zh)と降雪強度水当量(R)の関係式を6種類の固形降水粒子種(クラス)について示す。これらの関係式は、日本の新潟県における同時観測によって得られたZh、R、及び降水粒子種を比較することによって求められた。式の形はZh = B R1.67を仮定し、Bを観測により決定される係数とした。Rの値と降水粒子種は、それぞれ、風よけネット内に設置された高分解能降水強度計と光学式ディスドロメーターを用いて求められた。平均Zhは地上観測点風上側に位置する約100 km2の解析領域について求められた。3冬季にわたる48事例について、卓越する降水粒子種、代表的な粒径と落下速度、Zh、R、Bの平均値が得られた。濃密雲粒付雪片のBの平均値は雲粒付雪片の値より小さかった。最も大きなBの値は雲粒無し樹枝状結晶の雪片(unrimed-Dクラス)の事例について、最も小さいBの値は雲粒無し低温型結晶の雪片(unrimed-Cクラス)が降っていた事例について得られた。霰事例のBの平均値は、雲粒付及び濃密雲粒付雪片の値に対して大まかに2倍程度であり、unrimed-Dクラスの値よりも小さかった。Xバンドにおいては、雪片の単位降水強度あたりの後方散乱が霰よりも強いか弱いかは、ライミングの程度と構成雪結晶の種類に依存していた。