著者
中井 専人
出版者
東京大学
雑誌
東京大学海洋研究所大槌臨海研究センター研究報告 (ISSN:13448420)
巻号頁・発行日
vol.25, 2000-03-29

平成11年度共同利用研究集会「北日本の気象と海象」(1999年8月18日~19日, 研究代表者:児玉安正)の講演要旨Atmospheric and oceanographic phenomena around the northern part of Japan(Abstracts of scientific symposia held at Otsuchi Marine Research Center in 1999)
著者
中井 専人 横山 宏太郎
出版者
日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.69-74, 2009-02-28
参考文献数
21
被引用文献数
4
著者
中井 専人 山下 克也 本吉 弘岐 熊倉 俊郎 村上 茂樹 勝島 隆史
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.100, no.1, pp.45-56, 2022 (Released:2022-02-23)
参考文献数
34
被引用文献数
2

Xバンド水平偏波レーダー反射因子(Zh)と降雪強度水当量(R)の関係式を6種類の固形降水粒子種(クラス)について示す。これらの関係式は、日本の新潟県における同時観測によって得られたZh、R、及び降水粒子種を比較することによって求められた。式の形はZh = B R1.67を仮定し、Bを観測により決定される係数とした。Rの値と降水粒子種は、それぞれ、風よけネット内に設置された高分解能降水強度計と光学式ディスドロメーターを用いて求められた。平均Zhは地上観測点風上側に位置する約100 km2の解析領域について求められた。3冬季にわたる48事例について、卓越する降水粒子種、代表的な粒径と落下速度、Zh、R、Bの平均値が得られた。濃密雲粒付雪片のBの平均値は雲粒付雪片の値より小さかった。最も大きなBの値は雲粒無し樹枝状結晶の雪片(unrimed-Dクラス)の事例について、最も小さいBの値は雲粒無し低温型結晶の雪片(unrimed-Cクラス)が降っていた事例について得られた。霰事例のBの平均値は、雲粒付及び濃密雲粒付雪片の値に対して大まかに2倍程度であり、unrimed-Dクラスの値よりも小さかった。Xバンドにおいては、雪片の単位降水強度あたりの後方散乱が霰よりも強いか弱いかは、ライミングの程度と構成雪結晶の種類に依存していた。
著者
中井 専人 熊倉 俊郎
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.31-43, 2007-01-15
参考文献数
22
被引用文献数
2 1

2005/2006冬季は広範囲にわたり多量の降積雪が観測され,「平成18年豪雪」と命名された.12月から1月前半にかけて寒気が断続的に南下し,これに伴って強い降雪が続いた.この冬季のうち2005年12月から2006年2月までについて,10分間隔の気象庁全国合成レーダーデータを使用し,北海道,東北,北信越および中国地方の降雪分布を解析した.解析期間中は4地方とも降水系が入れ替わりながら継続的に出現し,特に線状降雪雲は期間を通して多く見られた.寒気南下の著しかった期間には渦状降雪雲が多く,その後これと入れ替わるように前線等による降雪が増加した.解析期間全体について積算した降雪は特定の地域に集中する分布を示した.北信越地方において降雪分布に最も寄与したのは線状降雪雲で,山沿いから内陸地域に集中する分布を示した.渦状降雪雲と前線などによる降雪は,平地周辺の降雪に多く寄与した.津南から奥只見にかけての降雪の集中については上越近辺の山地の影響が相関解析から示唆された.
著者
中井 専人
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.187-199, 2015-03-31

多雪,少雪の地域的な分布と変動を定量的に把握するため,積雪深観測地点ごとの冬季最深積雪をもとにした"多雪指数"を定義し,その全国分布図を作製した."多雪指数"を用いることにより,積雪の多い冬でも広域の積雪分布の特徴がかなり異なることを示し,山雪-里雪,西偏-北偏,太平洋側-日本海側という経験的に言われている多雪の偏りについて定量化を行った.平均多雪指数と冬季モンスーン,大循環等の指数との関係を調査したところ,2010年代では1980年代より温かくても多雪になる傾向,また寒冬及び冬季アジアモンスーンが強いほど多雪になりやすい傾向が示された.北極振動指数,WP指数(西太平洋パターン指数),Nino3.4指数についてはいずれも負の値が大きいほど多雪となりやすいという結果が得られたが,多雪指数の変動のうちこれらを説明変数として説明できるのは半分弱であった.
著者
猪上 華子 加藤 輝之 中井 専人 津口 裕茂 猪上 華子 加藤 輝之 廣川 康隆
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

日本付近の豪雨発生の大気状態を判断すべき高度として、客観解析データや雲解像数値モデルの統計結果から今まで用いられてきた850hPa気圧面(~1500m高度)でなく、500m高度が最適であり、適切な判断要素として同高度の相当温位・水蒸気フラックス量であることを明らかにした。各要素に対しては季節や地域別に客観的に指数化した。豪雪時のレーダー観測との統計的比較から、降雪系によって異なる大気状態が現れやすく、そのことと降雪分布との関係が示唆された。
著者
岩崎 博之 中井 専人
出版者
群馬大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

測定原理の異なる二つの雨量計で得られた10秒降水量データを用いて,発達した積乱雲群を構成する対流セルの微細構造を調べた.二つの雨量計で得られた10秒降水量の時間変化には,明瞭な1-2分周期の変動が認められ,多くの場合,その二つの位相は一致していた.この事実は,1-2分周期の変動は測器の測定誤差ではなく,実在の現象であることを意味している.つまり,一般に積乱雲の構成単位と考えられている対流セルの内部には,更に小さな複数の降水コアがおおよそ1km間隔で分布していると考えることができる.しかし,降水コアには周期性が認められるが,降水コア通過に伴い地上気象要素が変動する事実は認められなかった.
著者
中井 専人 川村 隆一
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.45, no.12, pp.895-905, 1998-12-31
参考文献数
30
被引用文献数
1

1992年6月5日09UTC(00UTC=09JST)から18日06UTCに梅雨前線付近に現れた74個のメソスケール雲クラスターの出現特性を調査した.雲クラスターの寿命と最大雲域面積との間には正相関があり, 平均値はそれぞれ12.4時間, 7.1×10^4km^2であった.これらは日本付近の雲クラスターについて過去に報告された値に近く, 熱帯や北米大陸上で報告された値より小さかった.メソαスケール雲クラスター(MACC)の多くは13時間以上の寿命を持ち, 前線付近に出現するものが多かった.また, 夜間から早朝にかけて多く出現する弱い傾向があった.メソβスケール雲クラスター(MBCC)は12時間以下の寿命を持つものが多く, 出現には日変化も前線との位置に対する依存性も明瞭ではなかった.MACCの多かった期間は, 雲クラスター出現域で前線の影響と考えられる強い鉛直シアーが見られた.MBCCの多かった期間は, 雲クラスターの出現域が前線から離れた亜熱帯高気圧の勢力下にあった.
著者
中井 専人 遠藤 辰雄
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.183-199, 1995-04-25
被引用文献数
2

降雪雲が丘陵地形(出羽丘陵;稜線の標高約0.6km)を越える時の降雪と気流の特徴を明らかにするため、ドップラーレーダーとレーウィンゾンテによる観測を行った。1990年2月3日の寒冷前線の通過に伴って降雪雲が現れ、約5時間にわたって直径数十kmのエコーがいくつも出羽丘陵上を通過した。これらのエコーのエコー頂高度は丘陵上で低くなっていた。丘陵を通過する流れは'subcritical'であり、混合層上端の高度も丘陵上で低くなっていたと考えられる。観測されたエコーは大きさ5kmから10kmのセルを含んでおり、これらのセルの移動速度は丘陵上で3m/s増加していた。丘陵上から10km風上までの範囲で上空の降水強度の増加が見られ、降雪雲と地形性上昇によって形成された雲との間でseeder-feeder mechanismが働いていたと考えられる。丘陵風下においては下層に冷気がたまっていたため斜面を下降する流れが形成されず、昇華による降水量の減少が抑えられていた。丘陵風下においても反射強度の増加がみられたが、これは主に降雪粒子の併合成長と融解によるものであり、降水量はあまり変化していなかったと考えられる。この事例では降雪雲の振る舞いは丘陵による地形性の流れに強く影響されていたが、平均的な気流に対する降雪雲の影響はそれほど大きくはなかった。
著者
中井 専人 中村 健治 民田 晴也 瀬古 弘
出版者
東京大学
雑誌
東京大学海洋研究所大槌臨海研究センター研究報告 (ISSN:13448420)
巻号頁・発行日
vol.27, 2002-03-29

平成13年度共同利用研究集会「降水システムと降水変動」(2001年8月23日, 研究代表者:渡辺明)講演要旨Variation of precipitation and rainfall system(Abstracts of scientific symposia held at Otsuchi Marine Research Center in 2000))
著者
中井 専人 岩本 勉之
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.863-869, 2006-11-30
被引用文献数
1

2005/2006冬季は,広範囲にわたり多量の降積雪が観測され,顕著な災害をもたらした豪雪年となった.この冬季の積雪分布の特徴について,各地点の冬季最深積雪を23冬季の平均値と標準偏差で規格化し,年々の変動を考慮した解析を行った.規格化した2005/2006冬季最深積雪は,いくつかの地域に集中して多くなる分布を示すとともに,山形・宮城両県以南においては内陸部で多くなる傾向が見られた.雪氷災害の多く発生した地域は,平均値より顕著に多い積雪のあった地域である.2005/2006冬季は,23冬季平均最深積雪の多い地点で最深積雪の正偏差が大きくなる一方,それ以外では顕著な負偏差となる地域が見られた.2005/2006冬季は最深積雪分布の偏りも大きかった.