著者
本多 牧生
出版者
日本地球化学会
雑誌
地球化学 (ISSN:03864073)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.227-238, 2015-09-25 (Released:2015-12-25)
参考文献数
27

Settling particle collector, sediment trap, has played an important role in the study of spatiotemporal variability in biogeochemical particles' cycle in the ocean. This report reviews the observational study of behavior (such as dispersion, distribution and existence form) of particulate artificial radionuclides in the ocean emitted from severe accidents of two nuclear power plants (Chernobyl NPP and Tokyo Electric Power Corporation Fukushima Dai-ichi NPP) by using time-series sediment trap.
著者
松本 和彦 藤木 徹一 本多 牧生 脇田 昌英 川上 創 喜多村 稔 才野 敏郎
出版者
Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology
雑誌
JAMSTEC Report of Research and Development (ISSN:18801153)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.17-25, 2012
被引用文献数
1

海洋地球研究船「みらい」では,採水にニスキン−X採水器を取り付けたCTD採水システムを使用している. ニスキン−X採水器は蓋閉用のスプリングが採水器外側に配置され, ボトル内部へのゴムや微量金属による汚染を極力排除できる仕組みとなっている. 通常, 一次生産量測定用のサンプリングには海水サンプルへの微量金属等の汚染防止を徹底するため, 内部にテフロンコーティングを施し, ボトル内部及び部品各種を酸洗浄した採水器をクリーンニスキンとして使用している. クリーンニスキンとその他のノーマルニスキンで採水した場合に, 実際に一次生産量に差が生じるのかを確かめたところ, ノーマルニスキンで採水した場合に一次生産量測定値が激しく低下した. その差を生じる原因を把握するための追加実験を行うと, ノーマルニスキンで使用しているニトリルゴム製Oリングが一次生産を阻害していることが明らかとなった.
著者
本多 牧生 乙坂 重嘉
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.225-228, 2016 (Released:2020-02-19)
参考文献数
10

福島第一原子力発電所(FDNPP)事故由来の粒状態放射性セシウムの海洋内での輸送状況を把握するため,2011年7月にFDNPP南東沖大陸斜面に沈降粒子捕集装置を設置し,その後3年間に捕集された粒状物質の放射性セシウムを測定した。その結果,2014年初夏になってもFDNPP事故由来の放射性セシウムが検出され,毎年秋季になると増加する傾向があること等が観測された。捕集粒子の主成分が鉱物粒子であること,海水中の溶存放射性セシウム濃度から推定される粒状態放射性セシウムフラックスより捕集されたフラックスがはるかに大きいことからFDNPP事故由来の放射性セシウムが沈着したFDNPP沖海底堆積物が再懸濁し,大陸斜面に水平方向に輸送されている様子が窺えた。また秋季に見られた放射性セシウム濃度とフラックスの増加は台風が接近・通過することで,より浅い水深の海底堆積物が再懸濁し水平輸送されたと推定された。
著者
本多 牧生 Makio Honda
出版者
海洋研究開発機構
巻号頁・発行日
2004

北太平洋時系列観測研究
著者
重光 雅仁 渡辺 豊 山中 康裕 本多 牧生
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.24, 2007

西部北太平洋亜寒帯域のtwilight zone(有光層下から1000mまで)における沈降粒子中窒素の分解過程とそれが窒素同位体比に及ぼす影響について知見を得ることを目的とした。沈降粒子は、セジメントトラップにより、2005年3月20日から9月18日にわたり、水深150m、540m、1000mにおいて採取された。サンプリング間隔は、7日あるいは14日である。解析に際して、150mにおける沈降粒子束を初期値として、540m、1000mの沈降粒子束を復元できる単純な沈降モデルを作成した。本モデルでは、1) 粒子は凝集し、全成分が同時に沈降すること、2) 主成分のうち、有機物、炭酸カルシウム、オパールは沈降過程において分解すること、3) 深度が増すにつれて沈降速度が速くなること、4) バラスト鉱物(炭酸カルシウム、オパール、陸起源物質)は分解しない一定の有機物を有すること、を仮定した。本モデルを用いて上記解析を行ったので報告する。
著者
千葉 早苗 本多 牧生 笹井 義一 笹岡 晃征
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

(長期生態系変動)西部北太平洋における過去数十年の海洋環境と生態系変動の関係についてレビューした結果を論文にまとめ出版した(Chiba et al.2008&2009)。特に十年規模周期の水温偏差に応じた親潮域における生物生産タイミングの経年的変化や(温暖期:早い,寒冷期:遅い),温暖性種の分布の南北移動について報告した。(衛星データによる生物季節的変化の検知)1998-2007年の衛星海色データを用いて北太平洋の基礎生産の季節変動パターンを明らかにした。その結果、水温の上昇が基礎生産に正に働く海域(ベーリング海・親潮混合域)と負に働く海域(アラスカ湾・黒潮海域等)が見られた。また同じく海色衛星データを用いて、西部北太平洋亜寒帯域における植物プランクトンブルームのタイミングの経年変動を調べた結果,十年間でブルームのピークが約一ヶ月遅くなっていることが分った。海洋研究開発機構が同海域で実施している時系列観測の結果では,1998-2007年の間に水深5000mにおけるオパールのフラックスの割合が減少傾向に有り,表層のプランクトン群集組成の変化が示唆されている。本研究の結果から,経年的な環境変化に応じた表層生態系の生物季節的変化が,主要プランクトン種の変遷を招き,結果として海域の生物ポンプ機能に影響を与えていることが推測された。(動物プランクトンによる炭素の鉛直輸送)2006-2008年に調査船「みらい」により採集した表層の動物プランクトンの群集/サイズ組成から摂餌率/排泄率を求め,基礎生産量および亜表層への炭素の鉛直輸送効率との関係について調べた。しかし夏季の高生物生産季においては,それらの間に明確な関係は見られなかった。今後は低生産季について同様の見積をし,その季節変動について明らかにしていく。