著者
本間 健太 穂満 稔里 外川 佑
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.460-468, 2023-08-15 (Released:2023-08-15)
参考文献数
35

本研究では,回復期リハビリテーション病棟(以下,回復期病棟)入院中の脳卒中後うつ症状(以下,PSD)患者において,意味のある作業の満足度が自己効力感の変化量を媒介し,うつ症状を軽減するかを調査した.72名の対象者の入院時と退院時間における,うつ症状,意味のある作業の満足度,自己効力感のスコアの変化量について媒介分析を行った.その結果,意味のある作業の満足度は,自己効力感を媒介することなく,うつ症状に有意な直接効果を示した(β=-2.5,95%CI[-4.2,-0.86],p=0.004).この結果から,意味のある作業の満足度は,回復期病棟におけるPSDの軽減に寄与する可能性が示唆された.
著者
田端 祥太 新井 崇俊 本間 健太郎 今井 公太郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.1562-1569, 2019-10-25 (Released:2019-11-06)
参考文献数
16
被引用文献数
1 2

本研究の目的は,Desire pathの発生モデルを構築し,歩行環境が歩行軌跡に与える影響を解明することである。Desire pathは草地や土の地面において,人が繰り返し歩行することによって発生するが,美観や衛生の観点から,管理運営上Desire pathを発生させない計画が望まれる.そこで本研究は,地面の仕上げに応じた移動抵抗を加味したランダムドロネー網上での最短路上にDesire pathを再現することで,草や土の領域の移動抵抗を推定し,歩行環境が歩行軌跡に与える影響を解明した.分析より,草の移動抵抗はフォーマルな空間やパブリックな空間ほど大きく,インフォーマルな空間やプライベートな空間ほど小さいこと,土の移動抵抗は舗装路の移動抵抗とほぼ同一であることが明らかになった.
著者
伊東 優 今井 公太郎 本間 健太郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.428-434, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1

長崎市の斜面住宅地は急な坂道や階段からなる複雑な街路構造を有しており,そのアクセシビリティの低さによって様々な計画上および生活上の問題を抱えている.そこで本研究は,実際の計画や持続可能なまちづくりのための知見を提供すべく,当該地域におけるアクセシビリティの評価および改良に向けた方法を提示する.具体的にはまず,街路ネットワーク分析により,多様な移動行動における出発点から目標点までの移動時間を計測する.特に地形・年齢階層・移動手段を考慮することで,非高齢者と高齢者の歩行能力の差や,上り・下りといった移動の方向性などの細かな要因が生み出すアクセシビリティの違いを明らかにする.次に高齢化に伴うアクセシビリティの将来的な変化予測を行う.さらに現状の分析で得られた結果をもとにアクセシビリティの改良案を提示し,その有効性を検証する.
著者
本間 健太郎 今井 公太郎
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.84, no.759, pp.1113-1122, 2019 (Released:2019-05-30)
参考文献数
6
被引用文献数
1

The objective of this paper is to quantify the room shape in terms of visibility of a visual target within the room, thus finally to obtain the optimal room shape. A wide variety of visual targets are envisaged, such as a blackboard within a classroom, a stage in a theater, or a painting in a gallery. Their common point is that they are so important that their visibility impacts the room shape. In order to obtain planning guidelines of various rooms with various visual targets, the visibility theory is developed in both a unified and a deductive way. In concrete terms, (i) A reasonable function for expressing “point-visibility” is proposed from an arbitrary viewpoint. The proposed formula not only is understandable intuitively and operational, but represents generalization of approximation equation for the solid angle of the visual target. (ii) Next, a reasonable method of aggregating point-visibility is proposed. Therefore “area-visibility” as a value for evaluating the space as a whole is derived, doubly integrating the p-th power of point-visibility. Area-visibility can be used to evaluate both classrooms that need equality among students by focusing bad view areas, and galleries where the visitor can determine the viewing position by focusing good view areas. (iii) Finally, the optimal room shape is derived in which area-visibility is maximized. Here, we obtain the optimal aspect ratio of a rectangular plan room where the visual target is on one wall. Through the process described above, this paper is successful in clearly describing area-visibility as the formula containing three parameters and obtaining the relationship between these values and optimal room shapes. These three consist of the two parameters derived from the point-visibility function(negative impact α when viewing the target at an angle, and negative impact β when viewing the target far away), and one parameter introduced when aggregating point-visibility (degree of inequality p in the visibility distribution). This means that “α and β representing human eyesight” and “p depending on rooms’ usage” can be directly linked to an “evaluation value of room shape known as area-visibility”, and thus the “optimal shape of the room”. In other words, once the preconditions are determined, we can obtain information immediately that is useful for planning and design. In consequence, this is considered to be valid knowledge that allows the visibility evaluation that previously was carried out based on experience to be performed objectively.
著者
渡部 宇子 本間 裕大 本間 健太郎 今井 公太郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.682-688, 2017-10-25 (Released:2017-10-25)
参考文献数
13
被引用文献数
1 4

本研究では,道路斜線制限と天空率緩和が容積率と建築物高さへと与える影響を考察することを目的とする.様々な敷地形状ならびに建物形状を考慮することによって,当該制限ならびに緩和規定が容積率と建築物高さとどのような数理的関係にあり,かつ,積極的に緩和規定を用いるべき状況を明らかにする.当該条件が明らかとなることによって,建築設計の初期段階における作業効率向上が期待できる.本研究で得られた主な知見は以下のとおりである:(i) 天空率の利用が有利に働くのは,間口の広い敷地で,このときの建物形状は細長くなる;(ii) 奥行の深い敷地では,天空率緩和の場合だけではなく,道路斜線制限で多面体を想定した場合でも許容容積率をすべて消化できる.
著者
田端 祥太 新井 崇俊 本間 健太郎 今井 公太郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.459-466, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
20
被引用文献数
1 2

本研究は重み付きシュタイナー問題の発見的解法を開発する.重み付きシュタイナー問題は平面上の与点を連結するグラフの辺の総コストを最小化する問題である.本研究で構築する解法は,ランダムドロネー網を用いて連続平面を離散化し,与点のボロノイ図の双対グラフに含まれる全域木を探索する.木の辺は,ランダムドロネー網上の重み付き最短路で与えられる.近似解の形状と解の総コストの観点から,本手法が既往の重み付きシュタイナー木の発見的解法より厳密解に近い解が得られることを示す.さらに,重みの変化に対する木の形状の不連続な変化を把握する.最後に本手法を,新たな旅客,貨物輸送手段として期待されている大型ドローンの航空路網に適用し,本手法の実用性を検証する.
著者
今井 公太郎 本間 健太郎 伊東 優 国枝 歓 佐藤 淳 福島 佳浩
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、実用化が進む金属の3Dプリント技術を用いて住宅の仕口(ジョイント)を製作し、大部分の工程をセルフビルド可能な住宅のプロトタイプを建設する。学術的には、プロトタイプの建設を通して、3Dプリンタの建材(特に構造材)への応用の可能性を明らかにし、「複雑」な造形がデジタルに施されたジョイントによって、どこまで人間の手による建設を「単純」化できるかを明らかにする。そして、建設した住宅に対してプラニングの自由度・構造的合理性・建設可能性・環境的性能・移動可能性(再建築・運搬)などの観点で性能を評価し、最終的に移動可能で自由なライフスタイルを可能にする安価な住宅サービスへの適用方法を研究する。