著者
村上 あかね
出版者
桃山学院大学総合研究所
雑誌
桃山学院大学総合研究所紀要 = ST. ANDREW'S UNIVERSITY BULLETIN OF THE RESEARCH INSTITUTE (ISSN:1346048X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.1-14, 2020-03-10

The aim of this paper is to explain how to apply for microdata provided by Eurostat.Comparative studies using microdata of official statistics contribute to understanding oursocieties. Official statistics as public goods are significant not only for decision-making andevaluation purposes, but also for scientific purposes through academic research. The applicationprocedure comprises two steps. The outcome of Step 1 is for a research organization to berecognized as a research entity. Important factors in Step 1 are the eligibility and responsibilitiesof the research entity ; the main purpose of an organization; providing evidence of researchpublication; independence and autonomy in formulating scientific conclusions ; and adequate datasecurity safeguards, including accessing confidential data only for the agreed-upon purposes andguaranteeing the physical security of the data. Once Eurostat have recognized the organization asa research entity, researchers can apply for access to microdata. Important factors to consider inStep 2 are the purpose of the research proposal ; safekeeping of the data ; and intermediate andfinal results for assuring anonymity of the respondents.
著者
村上 あかね
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.319-335, 2011-12-31
被引用文献数
1

本稿の目的は, 離婚による女性の生活の変化を, 縦断的データを用いて明らかにすることにある. 家族と格差の問題を考えるうえで離婚は重要なライフイベントである. しかしながら, 日本では離婚の発生自体があまり多くはなかったこと, ライフコース研究に適した縦断的データの蓄積が少なかったことなどの理由から, 離婚に関する研究は決して多くはなかった. しかし, 今後, 経済の低迷や価値観の変化に伴って, 離婚が増えることが予想される. 子どもが貧困状態に陥る大きな要因の1つは親の離婚であり, 貧困が子どもの発達, 教育達成・職業的達成などその後のライフチャンスに及ぼす影響は社会的にも大きな関心を集めている. 離婚と社会経済的格差について検討することは, 今後重要性を増すといえよう.<br>1993年から実施されている全国規模のパネル調査データに対して, 固定効果モデル・変量効果モデルを用いて分析した結果, 離婚によって等価世帯収入が大きく減少することが明らかになった. 夫からの養育費や児童扶養手当などの社会保障給付も決して多くはなく, 離別女性は経済的自立を迫られているが容易ではない. 母親が就労していても母子家庭の経済状況は苦しく, 離婚後の生活を支える仕組みをどのように構築するか検討が求められる.
著者
村上 あかね
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.39-55, 2008-06-30 (Released:2008-08-11)
参考文献数
38
被引用文献数
5

本稿の目的は、社会階層と家族が住宅取得に及ぼす影響を検証することである。住宅は、人びとの生活にとって重要な基盤であり、もっとも重要な資産である。経済的地位と密接な関連を持つにもかかわらず、住宅と社会階層との関連に注目した研究は多くはなかった。1993年から実施されている全国規模のパネルデータに対して離散時間ロジットモデルを用いて分析した結果、(1)世帯の預貯金残高が多いことは持家への移行確率を高めること、(2)夫が専門・技術職の場合には持家となる確率が高いが、全般に夫の職業の影響は弱いこと、(3)親との同居や相続・贈与は家を持つようになる確率を高めること、が明らかになった。これらの結果は、日本は福祉の担い手として家族の役割を重視するという、エスピン-アンデルセンの福祉レジーム論とも、整合的である。
著者
白波瀬 佐和子 盛山 和夫 ホリオカ チャールズ・ユウジ 杉野 勇 上野 千鶴子 武川 正吾 赤川 学 中田 知生 村上 あかね
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は、日本の急激な人口高齢化が社会の階層構造に及ぼす影響を、社会調査データによって実証的に明らかにすることにあった。そこで本研究では、2010年に50~84歳を対象にした「中高年者の生活実態に関する全国調査」(有効サンプル6,442ケース)を実施し、2年後にはその3,193ケースについて追跡調査を行った。高齢期の階層は、所得や仕事内容、資産といった経済的要因のみならず、だれと暮らすか(世帯構造)と密接に関連していた。
著者
村上 あかね
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.319-335, 2011-12-31 (Released:2013-11-22)
参考文献数
43
被引用文献数
2 1

本稿の目的は, 離婚による女性の生活の変化を, 縦断的データを用いて明らかにすることにある. 家族と格差の問題を考えるうえで離婚は重要なライフイベントである. しかしながら, 日本では離婚の発生自体があまり多くはなかったこと, ライフコース研究に適した縦断的データの蓄積が少なかったことなどの理由から, 離婚に関する研究は決して多くはなかった. しかし, 今後, 経済の低迷や価値観の変化に伴って, 離婚が増えることが予想される. 子どもが貧困状態に陥る大きな要因の1つは親の離婚であり, 貧困が子どもの発達, 教育達成・職業的達成などその後のライフチャンスに及ぼす影響は社会的にも大きな関心を集めている. 離婚と社会経済的格差について検討することは, 今後重要性を増すといえよう.1993年から実施されている全国規模のパネル調査データに対して, 固定効果モデル・変量効果モデルを用いて分析した結果, 離婚によって等価世帯収入が大きく減少することが明らかになった. 夫からの養育費や児童扶養手当などの社会保障給付も決して多くはなく, 離別女性は経済的自立を迫られているが容易ではない. 母親が就労していても母子家庭の経済状況は苦しく, 離婚後の生活を支える仕組みをどのように構築するか検討が求められる.
著者
中田 知生 岩間 暁子 高田 洋 中井 美樹 岩間 暁子 高田 洋 村上 あかね 中井 美樹
出版者
北星学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究においては、欧米において社会学分野の学術雑誌に頻繁に用いられる新しい分析モデルについて、理解し、社会学研究にどのように適用できるかを考え、実際に分析を行ってみることである。本研究においては近年の社会学の理論構築のために収集された調査データ、特に、変化を扱うことが可能であるパネルデータや、調査においての回答拒否を含んだデータなどは、従来の分析方法では正確な推定値を算出することができないからである。本研究では、アメリカの大学における統計学・データ解析に関する実際を知った上、それらを分析する方法としてのそれらの新しい統計モデルやそれらを分析するソフトウェアに関する情報を収集した。採取的には、雑誌論文において、これらの新しい方法のいくつかについて、論文を執筆して掲載した。