著者
村上 和人 輿水 大和 中山 晶 福村 晃夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.10, pp.2106-2116, 1993-10-15
被引用文献数
21

似顔絵生成は、似顔絵の対象とする人物から受けた印象を物理的に再現する問題である。印象の分析は、顔の認識や識別の問題と同様に、顔の特徴抽出問題に帰着されるが、似顔絵生成の場合は、再現された似顔絵の良否判定、あるいは、評価の問題が生じる、すなわち、単に特徴の抽出と誇張のメカニズムを示しただけでは十分ではなく、評価メカニズムをどこかに組み入れなげれば、問題は解決しない。筆者らは、一般に人手によって描かれる似顔絵を、コンピュータに描かせようと試み、そのシステムをPICASSOと名付けて開発している。PICASSO開発では、まず、誇張メカニズムとして、中割り法(in-betweening method)を基本とした特徴抽出と誇張プロセスを構築し、誇張法による似顔絵生成方法の特徴と問題点を整理した、次に、評価メカニズムとして、人の目の知覚・認知的現象の一つである錯視現象が似顔絵の評価に剰用できる可能性について検討した。そして、錯視量(錯覚の起こる程度)を基本にした誇張率の制御方法を定式化し、評価プロセスを構築した。具体的こは、ヴント・フィック図形錯視、ポンゾ図形錯視、およびミュラー・リヤー図形錯視を顔部品パターンに想定し、また、実験心理学で求められている錯視量を誇張プロセスの終了条件の閥値として利用した。ほとんぎの適用例で良好な似顔絵が生成できた。本諭文では、具体的な錯視量の定義と誇張率の制御の方法を、種々の似顔絵作品例とともに示す。
著者
石田 敦也 神谷 直希 村上 和人
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 メディア工学 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.33-36, 2016 (Released:2019-08-15)
参考文献数
6

脈拍や血圧などの日々の健康状態の計測は,人に意識させない非接触かつ非侵襲であることが好ましい.非接触かつ非侵襲な脈拍の計測手法の一つとして,サーモビジョンカメラを用いた脈拍計測手法が期待されている.本稿では,脈拍計測の自動化を目的とし,脈拍計測に用いられる橈骨動脈の位置を,前腕表面の温度分布特徴を用いて自動検出する手法を提案する.触知により求めた橈骨動脈の位置を正解として評価した結果,14人中9人の橈骨動脈の位置の自動検出に成功した.
著者
加藤 和也 村上 和人
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.38, no.32, pp.1-4, 2014-08-12

絵の本質は印象の表現にあり,その生成過程は印象の抽出と再表現に分けられる.本研究では墨絵を題材とした墨絵調画像生成システムの作成を通して,この過程の解明に取り組んでいる.本稿では,太さや濃さといった墨絵の描画要素と印象を表現する感性語対の関係を示し,その結果をもとに墨絵調画像を生成するプロトタイプシステムについて述べる.
著者
村上 和人 成瀬 正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.83, no.3, pp.918-926, 2000-03-25
被引用文献数
11

本論文では, Hough変換を利用した高速な直線検出法について述べる.提案するアルゴリズムでは, 人の視覚の中心視特性を部分的に利用する.すなわち, まず, ある注目する局所的な窓領域内である程度の精度を保証する直線候補をHough変換によって抽出する.次いで, その候補線分を延伸して作られる線分候補存在領域内で, 検証処理を行って直線を検出する.そして, この局所的な窓領域を逐次的・適応的にシフトすることにより, 画像全体から直線検出を行う.これからの処理により, Hough変換の際に生起する量子化誤差の吸収を行うとともに, 従来型のHough変換による直線検出法が苦手とする短い線分抽出も可能にした.全体として, 従来型のHough変換の精度を保証した上で, 高速化(およそ数分の1から10分の1程度の計算コスト)を実現し, 並列処理によるいっそうの高速化の可能性を示した.
著者
中西 良太 村上 和人 成瀬 正
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J93-D, no.1, pp.20-28, 2010-01-01

集団行動の特徴を解析するための指標として導入された優勢領域は,サッカーなどのチームスポーツにおける「勢力範囲」や「チームワークの良さ」などの解析に有効であることが示されている.また,優勢領域はパスの成否判定などにも有用であり,対象の行動計画の指標としての活用が期待されている.そのためには,優勢領域の実時間計算が要求されるが,既存の手法ではこの要求を満たすことは困難であった.そこで本論文では,優勢領域の実時間計算手法について述べる.本手法は優勢領域の近似計算を行うものであるが,基本的な考え方は,現時刻からt秒後における対象の到達多角領域を作成し,それをインクリメンタルに合成することである.実験の結果,既存手法と比較して,計算時間が約1000分の1,近似精度が90%強で優勢領域を計算できることが示された.なお,本手法は並列計算を用いることで,更に計算時間を短縮することが可能である.
著者
村上 和人 近藤 隆行 鈴木 健志 輿水 大和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRU, パターン認識・理解
巻号頁・発行日
vol.94, no.51, pp.63-70, 1994-05-20
被引用文献数
4

似顔絵生成問題は、顔の物理的表現から個人性特徴の知覚的記述・表現を抽出し、これを改めて物理的に生成する問題として捉えることができる。筆者らは、これをコンピュータによる実現する一つの試みとして、顔の物理的な個人性特徴を抽出するための「平均顔」と、その特徴の知覚的記述を獲得するための「中割り法」によるズレの誇張法、などを基本原理とした似顔絵師システムPICASSOを開発してきた。これまでのPICASSOでは、主に、二次元的な扱いで上述の特徴抽出と誇張メカニズムを実現してきた。本論文では、これを三次元に拡張し、三次元立体表示による「似顔絵レリーフ」をはじめとした簡易な三次元似顔絵生成を実現するための一手法について提案する。
著者
加藤 邦人 遠藤 利生 村上 和人 鳥生 隆 輿水 大和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解
巻号頁・発行日
vol.96, no.384, pp.53-60, 1996-11-21
被引用文献数
6

PHT(Probabilistic Hough Transform)にRHT(Randomized Hough transform)のエッジ点消去の機能を加えた、ランダムな投票によるHough変換(Randomized Voting Hough Transform : RVHT)を提案し、その直線検出性能が、ある特別な方式でエッジ点対をランダムに選ぶRHTと等価であり、計算量が多くの場合RVHTの方が少なくなることを示す。次に、この特別なRHTとオリジナルのRHTの関係を考察する。パラメータ平面の各セルの投票度数を様々な値をとる確率変数とみなしたとき、この両者の分散が異なり、この違いはセルの投票度数がしきい値に達するまでに必要な投票回数に影響することが予想される。この予想を基に実験を行った結果、この特殊なエッジ点対選択方式のRHTの方がセルの投票度数がしきい値に達するまでに必要な投票回数が少なくなることを確認したので報告する。
著者
林 純一郎 村上 和人 輿水 大和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.2102-2109, 1997-08-25
被引用文献数
10

横顔似顔絵生成では, 顔部品の輪郭認識が最も重要である. 特に, 平均顔と中割り法を用いて個人性特徴の抽出と誇張を行う場合には, 二つの顔の輪郭点の対応付けの自動化が似顔絵生成上, 重要かつ最も大きい課題となる. 筆者らは, 顔画像からの簡易な輪郭抽出法, 輪郭の階層的再標本化法, および中割り法と部分領域のアフィン変換の組合せによる輪郭と顔の内部部品デフォルメ法を組み合わせることにより横顔似顔絵生成法を構築した. そして, 正規化のための2点の手入力を除いて自動生成を実現した. 本論文では横顔似顔絵生成の完全自動化のための諸課題および改善手法について整理・検討する.