著者
浅川 朋宏 川畑 秀伸 村上 学 木佐 健悟 大島 寿美子 寺下 貴美 小野寺 慧洲 大滝 純司
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.249-253, 2014 (Released:2014-09-26)
参考文献数
15

目的 : 財政破綻を機に医療資源の縮小を伴う医療の合理化に直面した住民の思いと, 新たな医療体制への住民の考え方を明らかにし, 医療の合理化において考慮すべき要素を探索する.方法 : 自治体の財政破綻に直面したX市の住民を対象に, 医療の合理化に対する思いと今後の医療のあり方への考え方の2点を質問し, 質的な分析を行った.結果 : 医療資源縮小を伴う医療の合理化への住民の思いと, 新たな医療体制への住民の考え方として「医療の合理化の進め方」, 「地域医療のあり方」, 「行政, 医療者の姿勢」の3つのテーマが抽出された.結論 : 医療の合理化おいて, 行政や医療機関が合理化の過程および内容に関して住民の意見を受け止め, 地域の歴史的背景や住民の心情を理解することが重要である.
著者
千原 大 阪本 貴士 村上 学 竹岡 友晴 大野 辰治
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.253-257, 2010 (Released:2010-05-11)
参考文献数
15

脾摘患者は有莢膜細菌が原因で重篤な感染症を引き起こすことが知られている。今回B群溶連菌による致命的な脾摘後重症感染症を救命し得たため文献的考察を加え報告する。症例は34歳女性。22歳時にITPで脾臓摘出術を受けた後は無治療で経過良好であった。入院前日,夜間に嘔気,下痢,発熱を訴え受診。採血データ,身体所見上著変なく,急性胃腸炎として自宅にて経過観察となる。翌朝,激しい下痢,全身倦怠感のため再搬送され,来院時,体温34度台,血圧40台と急性循環不全を認めICUに緊急入院。身体所見上,関節痛や四肢の疼痛,チアノーゼを認め,採血では凝固異常,急性腎不全,肝機能障害などを認めた。抗菌剤,輸血,大量補液,CHDF, NIPPVなどで治療を行ったが,DICのため臓器障害が強く,治療に難渋した。後に血液培養よりB群溶連菌が確認され,同菌によるtoxic shock syndromeと診断した。ショック状態を離脱後は徐々に臓器障害なども改善し,第26病日に退院となった。
著者
村上 学
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.63-64, 2007-01-20 (Released:2011-10-07)
著者
村上 学
出版者
東北大学
雑誌
特定領域研究(C)
巻号頁・発行日
2000

目的)抗ガン剤の治療において、多剤耐性細胞の存在は重要であるが、近年になり、MRP(multidrug resistance associated protein)というP-糖蛋白が関与しない多剤耐性機構の存在が明らかとなった。MRPは抗ガン剤を排出するポンプ機能を有し、ガン細胞における抗ガン剤の細胞内濃度を低下させることにより多剤耐性を示すと考えられている。各種カルシウムチャネル阻害薬がMRP発現細胞において抗ガン剤の排出を阻害することが知られているが、その機構は不明である。本研究はMRPとカルシウムチャネルとの間における相互作用の存在を仮定し、MRP発現細胞におけるカルシウムチャネルの発現プロフィル、チャネル特性、カルシウムチャネル過剰発現による抗ガン剤の効果を調べることを目的とした。結果)1)MRP発現細胞における電位依存性カルシウムチャネルの発現プロフィルおよびチャネル特性の検討すべてのMRP発現細胞において、カルシウムチャネルalpha1Dの発現が確認された。さらに細胞膜表面におけるチャネル特性を、電気生理学的方法等により解析したが、機能を有するカルシウムチャネルは測定感度以下であった。2)カルシウムチャネルalpha1C遺伝子の過剰発現によるMRP発現細胞における薬剤感受性の変化カルシウムチャネル遺伝子をMRP発現細胞に過剰発現させたところ、エトポシド、およびビンクリスチンに対する感受性が増加し、エトポシドの細胞内蓄積が増加した。考察および総括)MBP発現細胞ではカルシウムチャネルは発現しているが、細胞膜表面における機能的チャネルをほとんど構成しないことが明らかとなった。また、カルシウムチャネル遺伝子の過剰発現がMRPのポンプ機能を低下させたことから、MRP発現細胞においてもカルシウムチャネルがカルシウムチャネル阻害薬の標的分子である可能性が示唆された。