著者
山野 広大 村松 大吾 武村 紀子 八木 康史
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J105-A, no.12, pp.146-155, 2022-12-01

本論文では人物の歩行時の特徴(歩容特徴)を用いた年齢推定手法を提案する.歩容特徴に基づく年齢推定においては,自由に歩行している人物の歩容が対象となるため,撮影角度の違いに対する頑健性が求められる.複数の撮影角度からの歩容特徴を学習に利用することで,頑健性を強めることができるが,学習に用いられる歩容特徴の撮影角度と一致しない撮影角度の歩行人物に対しては,推定精度は大幅に劣化する.そこで,本論文では,学習に含まれない撮影角度の歩容特徴の推定精度を改善する手法として,撮影角度抑制学習を用いた年齢推定を提案する.撮影角度抑制学習とは,撮影角度の影響を抑制する副課題のもとで主課題の学習を行うものである.高精度な角度分類器を用いた制約項を考慮しつつ主課題用の特徴空間を構築することで撮影角度の影響を抑制する.提案手法は,歩容公開データベースを用いて,複数の設定で評価を行った.その結果,提案手法は,学習に用いられていない撮影角度の年齢推定において大幅な精度改善を実現した.
著者
槇原 靖 村松 大吾 八木 康史
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.318-328, 2021-04-01 (Released:2021-04-01)
参考文献数
48
被引用文献数
4

人の歩き方(歩容)には,年齢・性別・感情・健康状態といった様々な情報が含まれている.中でも,人の歩き方の個性に基づいて個人を認証する歩容認証が注目を集めている.歩容認証は,ほかのバイオメトリクスとは異なり,カメラから遠く離れた人物の無意識の歩行に対しても適用可能であるため,科学捜査などへの応用が期待される.本稿では,歩容認証の基本的な特徴表現などを紹介するとともに,近年の深層学習を取り入れた手法も紹介する.更に,歩容認証手法の科学捜査への応用事例についても紹介し,最後に,今後の歩行認証技術の展望を述べる.
著者
安田 久美子 村松 大吾 松井 淳 松本 隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.384, pp.53-58, 2007-12-06
参考文献数
3
被引用文献数
1

ユーザが筆記する動作をウェブカメラで撮影し,その映像からオンライン署名の特徴を抽出し,認証に用いる手法を提案する.本システムの特長の一つは,汎用のウェブカメラを入力デバイスとして用いることにより,タブレットのような特殊な装置を必要としない点である.Sequential Monte Carloを用いて動画像データにおけるペン先位置を追跡することで,ペン先の軌跡情報(x,y座標データ)を取得する.取得した各データ間の距離を計算することで認証に用いる.本稿では,7名の被験者から収集した画像データによりオンライン署名認証初期実験を行い,認証に用いる真筆と偽筆の判別が可能であることを確認した.
著者
廖 若辰 守脇 幸佑 槇原 靖 村松 大吾 武村 紀子 八木 康史
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:21888701)
巻号頁・発行日
vol.2019-CVIM-218, no.17, pp.1-6, 2019-08-28

体組成は健康状況を把握するための重要な指標である.体脂肪率や体水分率,筋肉量などを把握することにより,肥満や生活習慣病の予防や改善が可能になり,現代社会における健康維持のためにその必要が増しつつある.市販の体組成計の多くは,生体電気インピーダンス分析法を用いるものが多く,正確な結果を出せる一方,設備が高価という問題点がある.また一人ずつしか計測できないため,多人数を効率よく計測するには不向きである.そこで,本研究では,多人数を効率よく計測するための,歩行映像解析による体組成推定を試みる.具体的には,歩行映像から抽出するシルエットに基づく特徴表現である歩容エネルギー画像 (Gait energy image, GEI) を入力,各体組成の値を出力とする畳み込みニューラルネットワーク (Convolutional neural network,CNN) を構成し,被験者の歩行映像から抽出した GEI と市販の体組成計で計測した体組成の値の組を学習データとして,ネットワークパラメタを学習する.ここで,体組成を計測できる被験者数には限りがあることから,CNN を適切に学習することが困難となる.そこで,まず,大規模歩行映像データベースから抽出した GEI を入力,同データベースから抽出可能な,体組成と関連性のありそうな歩容個性 (腕振りの大きさや歩幅) を出力とする CNN を事前学習する.次に,事前学習されたパラメタを持つ中間層までのネットワークに対して,いくかの層を追加した,即ち,構造的に成長させたネットワークの出力に体組成値を設定し,ネットワークのファインチューニングを行うことで,限られた体組成の学習データからでも効果的に学習可能なことを示す.実験では,体組成の学習データのみを用いた,サポートベクター回帰や CNN による推定手法と比較して,提案手法が高い精度を得られることを確認した.
著者
橋本 侑樹 村松 大吾 小方 博之
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.1-4, 2010
参考文献数
6

人が筆記を行う際のペンの持ち方は個人ごとに異なっており, 個人認証に有効だと考えられる.本論文では, ペンの持ち方特徴を用いた個人認証手法を提案する.提案手法では, カメラを用いてペンの持ち方画像を撮影し, 複数の特徴をその画像から抽出する.抽出した特徴を事前登録されているデータと比較し非類似度ベクトルを計算し, それらを3層パーセプトロンで組み合わせることにより認証スコアを取得する.収集したデータベースを用いた実験ではなりすまし攻撃に対して等誤り率5.6%という結果になった.
著者
村松 大吾 橋本 侑樹 小方 博之
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.1-8, 2011-05-12

筆記をする際のペン持ち方に注目し,カメラで撮影したペン持ち方画像を用いて個人を認証する手法を検討する.ペンの持ち方は,手の大きさ等の人の身体的特徴に由来する個人性とともに,どのようにペンを持つのか,という人の癖に由来する個人性が存在すると考えられ,個人認証に有効なモダリティだと考えられる.本研究ではその有効性を確認するために,ペン持ち方を撮影した画像 (ペン持ち方データ) から多数の特徴を抽出し,各特徴から計算される非類似度を統合することで認証を行う.本研究では 33 個の特徴から計算される非類似度スコアを realAdaBoost を用いて統合し,ユーザ依存しきい値と比較することで認証を行った.30 人から取得したペン持ち方データを用いた評価実験では,他人の握り方を真似したなりすまし攻撃に対して等誤り率 4.1% という結果を得た.We focus on a biometric person authentication method using features of pen holding style. The manner of holding pen can be distinctive among persons and be useful modality for person authentication, because the manner is affected by both the physical features and habitual behavior. In order to evaluate the efficiency, we extract several features from the pen-holding image, and fuse them for verification. In this paper, realAdaBoost algorithm is used for the fusion, and user-dependent threshold is applied for a decision making. The developed algorithm is evaluated using the database collected dorm 30 persons. The algorithm achieved an EER of 4.0% against the impersonation attacks.
著者
村松 大吾 橋本 侑樹 小方 博之
出版者
The Institute of Image Electronics Engineers of Japan
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.47-55, 2013

筆記は個人性が現れる動作のため,個人を認証する特徴として利用されている.従来の筆記を用いた個人認証はオンライン署名認証に代表されるような運筆動作に注目した手法である.本稿では,運筆動作ではなく,筆記時のペンの持ち方に着目した個人認証手法を提案する.提案手法では,筆記者のペンの持ち方をカメラにより撮影し,撮影された画像から「持ち方」の違いや「手」の違いを考慮して「ペン持ち方」に関係する特徴を複数抽出し,それらをスコアレベルで統合することで認証を行う.30人から取得したペン持ち方画像を用いた精度評価実験では,提案手法により等誤り率2.7%で本人と他人を判別できる結果を得た.また本人の持ち方を真似したなりすましデータを用いた攻撃耐性評価実験では等誤り率4.1% という結果を得た.
著者
岩間晴之 村松大吾 槇原靖 八木康史
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.3, pp.1-10, 2013-03-07

近年,歩容に基づく人物認証技術の犯罪捜査応用が注目を集め,実際に活用されはじめている.監視カメラ映像で観測された犯人の歩容特徴から対象人物を鑑定するためには,当該分野の専門的知識及びスキルが必要となるため,従来の犯罪捜査においては,歩容認証を専門とする研究者などの歩容の専門家にそれを依頼してきた.しかし,より迅速かつ効率的な犯罪捜査を行うためには,歩容の専門家ではない犯罪捜査員が,手元で即時に人物鑑定結果を得ることが望ましい.そこで本研究では,そのような歩容の非専門家による使用を前提とした,世界初の歩容に基づく人物鑑定システムを構築した.本システムは,最先端の歩容認証技術が実装されているだけでなく,GUIに基づく簡易な操作インタフェースを備え,非専門家であっても,専門家と同様の人物鑑定結果を,簡易な操作手順によって得ることができるよう設計されている.実験では,一人の歩容の専門家及び10人の非専門家を被験者とし,本システムによる模擬鑑定実験を行った.結果として,非専門家が行った合計50組の鑑定のうち,46組の鑑定で専門家と同様の結果を得ることができ,本システムの有用性を確認することができた.
著者
村松 大吾
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2006-02

制度:新 ; 文部省報告番号:甲2174号 ; 学位の種類:博士(工学) ; 授与年月日:2006/2/24 ; 早大学位記番号:新4195