著者
村津 啓太
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.93-96, 2018 (Released:2018-04-07)
参考文献数
5

近年の幼児教育では,科学教育の充実が課題として取り上げられている.その基礎的な資料を得るために,本研究では,アメリカの次世代科学スタンダードにおける幼稚園の教育内容を検討した.検討の結果,幼稚園における教育内容は,物理科学における「運動と静止:力と相互作用」と「エネルギー」,生命科学における「粒子から有機体へ:構造とプロセス」,地球・宇宙科学における「地球のシステム」と「地球と人類の活動」であることが分かった.また,それぞれの教育内容は,学習者によるスタンダードの到達を意味する「期待されるパフォーマンス」と,それを構成する 3つの要素,すなわち,(1)学習者が深化・洗練させていくべき最小限のアイデアとしての「領域のコア概念」,(2)科学者が自然界に関わる理論を構築する際に行う実践としての「科学の実践」,(3)科学の領域すべてにおいて適用可能な概念としての「領域横断概念」から構成されていることが明らかになった.