著者
山本 智一 竹中 真希子 稲垣 成哲 山口 悦司 大島 純 大島 律子 村山 功 中山 迅
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 27 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.163-164, 2003-07-20 (Released:2018-05-16)
参考文献数
4

筆者らは, CSCLシステムのKnowledge Forumを小学校へ導入し, 遺伝子組み換え食品問題をテーマとした授業のデザイン実験を実施してきている。本研究では, 遺伝子組み換え食品に関する内容理解と社会的な論争性を踏まえた上での意思決定という教育目標の達成と, KFを利用した他者の知識へのアクセスという観点から, 子どもたちの知識構築活動の分析を行った。その結果, 多くの他者の知識にアクセスすることは子どもたちの内容理解や意思決定に寄与していた可能性が示唆された。
著者
田中 達也 神山 真一 山本 智一 山口 悦司
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.119-131, 2021-07-30 (Released:2021-07-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1

本研究の目的は,児童におけるアーギュメント自己評価能力とアーギュメント構成能力には関係があるのか,また,関係があるとすればどのような関係があるのかを予備的に検討することであった。本研究では,まず,両者の関係の有無を検討するため,主張-証拠-理由付けを含むアーギュメントを導入した小学校第3学年の単元「物と重さ」を実施する中で,児童計65名を対象に,アーギュメントを記述させる課題による調査と,児童に自身のアーギュメントを自己評価させる課題による調査を実施した。2つの調査結果から,次の2点が示唆された。(1)アーギュメント自己評価能力が高い児童は,アーギュメント構成能力が高い傾向にある,(2)アーギュメント自己評価能力が低い児童は,アーギュメント構成能力が低い傾向にある。次に,アーギュメント自己評価能力のアーギュメント構成能力への影響を検討するため,アーギュメント構成能力の向上の仕方が異なる児童計16名を対象に,アーギュメントの自己評価の詳細をたずねる面接調査を実施した。この調査の結果から,次の2点が示唆された。(1)自分が記述したアーギュメントの成否を適切に判定したり,自分が記述したアーギュメントの問題点を説明したりすることができる児童は,アーギュメント構成能力が向上していた傾向にある,(2)自分が記述したアーギュメントの成否を適切に判定したり,自分が記述したアーギュメントの問題点を説明したりすることができない児童は,アーギュメント構成能力が向上していない傾向にある。
著者
俣野 源晃 山本 智一 山口 悦司 坂本 美紀 神山 真一
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.187-195, 2021-07-30 (Released:2021-07-30)
参考文献数
14

本研究の目的は,複数の証拠として,適切かつ十分な証拠を利用するアーギュメント構成能力を育成する上で,McNeill and Krajcik(2011)の教授方略を援用してデザインした授業の有効性について,小学校第5学年の単元「電流がつくる磁力」を事例として明らかにすることである。山本・稲垣ら(2013)は,同学年の単元「物の溶け方」を事例として,教授方略を援用した授業をデザインし,その有効性を明らかにしている。本研究は,異なる単元においても教授方略を援用した授業が適切かつ十分な証拠を利用するアーギュメント構成能力を育成する上で有効なのかを新たに検証するものである。アーギュメント構成能力を評価するために,第5学年の2クラスの児童計65名を対象に,既習内容に関するアーギュメント課題を単元前後に実施した。課題の回答を分析した結果,児童は,主張に関連する科学的な証拠のみを利用する適切性の点において,アーギュメント構成能力が向上したことが明らかになった。また,量的,質的なものを含めた多様な証拠を利用する十分性の点においては,部分的ではあるが,アーギュメント構成能力が向上したことが明らかになった。しかしながら,同時に,証拠の十分性の一部についてはさほど向上しなかったことも見出された。その理由を探るために,証拠の選択率を補足的に分析したところ,実験結果の意味を類推しなければならない「間接的な証拠」を選択することが必ずしもできていないことがわかった。以上の結果を総合的に考察することで,McNeill and Krajcik(2011)の教授方略を援用してデザインした授業は,単元「電流がつくる磁力」においても,適切かつ十分な証拠を利用するアーギュメント構成能力を育成する上で有効であると結論づけることができた。併せて,教授方略を援用してデザインした授業は,「単元内におけるアーギュメントの複数回指導」と「間接的な証拠利用の促進」という点で改善の余地があると考えられる。
著者
山本 智一 中山 迅 近江戸 伸子 竹下 裕子 稲垣 成哲 竹中 真希子 山口 悦司 藤本 雅司 坂本 美紀 大島 純 大島 律子 村山 功
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.423-424, 2004
参考文献数
2
被引用文献数
2

筆者らは, Knowledge Forum を利用して,遺伝子組み換え食品問題に対する社会的意思決定をテーマとした科学教育のためのCSCL環境を開発している.本研究では,遺伝子組み換え食品についての基礎的内容に対する学習者の理解度を検討した.その結果,多くの学習者は,遺伝子,遺伝子組み換えと品種改良,遺伝子組み換え食品の現在といった基礎的な内容をおおむね理解できていたが,他種間の品種改良や世界の表示状況についてはあまり理解できていなかったことがわかった.
著者
神山 真一 俣野 源晃 山本 智一
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.45-50, 2017-12-16 (Released:2018-07-01)
参考文献数
10

本研究の目的は,アーギュメント構成能力を育成するうえでの現職教師の信念(Beliefs)を事例的に分析し,教師教育プログラム(神山ら,2017)が教師のBeliefs に与える影響を明らかにすることである.対象は,アーギュメントを授業に導入した経験が無い,国立大学附属小学校の理科専科教員M(小学校教員歴12 年),1 名であった.教師教育プログラムは,神山ら(2017)に基づいて行い,受講後,対象教員M に対して,質問紙調査と聞き取り調査を実施した.その結果,1) プログラムによって実感したアーギュメントの論理的であるという特質が,教師のBelief に影響を及ぼしている,2) プログラムで検討した授業実践において,問題解決の能力と結びついてアーギュメントのBelief が影響を受けている,3) プログラム中の実際に授業を構想・実施するという活動が,アーギュメント指導の自信や環境に対するBelief に影響を及ぼしていることが明らかになった.
著者
神山 真一 栗川 尚暉 山本 智一 稲垣 成哲
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.175-180, 2019-12-21 (Released:2019-12-18)
参考文献数
15

本研究の目的は,教員志望の大学生対象にアーギュメントを理科授業に導入するための指導能力育成プログラム(神山・山本・稲垣,2019)を,対象学生らのアーギュメント構成能力に着目して評価することである。プログラムは,山本・神山(2017)に基づいて行い,受講前後にアーギュメント構成課題を実施した.その結果,対象学生のアーギュメント構成能力は向上し,本プログラムの有効性が明らかになった。
著者
大黒 孝文 山本 智一 出口 明子 竹中 真希子 黒田 秀子 舟生 日出男
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.33, no.7, pp.29-32, 2019-06-01 (Released:2019-05-29)
参考文献数
13

本研究では,教員に協同学習の指導力を付けることを目的に,教員研修及び教員養成課程において使用するマンガケースメソッド学習プログラム:ジグソー編を開発し評価を行った.学習プログラムは,現在マンガケースメソッド教材とテキストが完成している.兵庫県内の国立大学法人に通う中学校高校理科教員志望大学生43名を対象に3時間の授業において実験研究を行った.評価の内容は,学習プログラムの使用感や有効性とジグソー学習に対する関心・意欲に関する質問紙調査であった.評価の結果,すべての項目において有意に肯定的な評価を得た.以上から本プログラムの有効性が示唆された.
著者
坂本 美紀 稲垣 成哲 竹中 真希子 山口 悦司 藤本 雅司 山本 智一 大島 純 大島 律子 村山 功 中山 迅 近江戸 伸子 竹下 裕子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集
巻号頁・発行日
vol.28, pp.425-426, 2004

筆者らは,遺伝子組み換え食品(GMF)を題材にした科学教育のためのCSCL環境を開発し,小学生を対象にデザイン実験を行っている.本研究では,このデザイン実験の評価の一環として, GMFに対する理解とイメージが,単元の学習を通して変容したかどうかを検討した.分析の結果,概念的理解については. GMFの基礎知識や論争性についての理解が進んだことが明らかになった。また,イメージの変容も確認された.