著者
大久保 正彦 稲垣 成哲 竹中 真希子 黒田 秀子 土井 捷三
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.28, no.suppl, pp.189-192, 2005-03-20 (Released:2016-08-01)
参考文献数
3
被引用文献数
15

本研究では, カメラ付き携帯電話を利用した協調学習支援システムを開発し, その授業実践への利用可能性を評価した.本システムは, カメラ付き携帯電話で撮影された写真を随時自動的にウェブに掲載・公開するとともに, 検索・編集を可能にするものである.小学校1年生及び現職教員を対象とした評価実験における質問紙調査の結果, 小学校1年生において本システムの操作が可能であるとともに, 本システムを利用した学習活動への興味が高いことなどがわかった.現職教員からも小学生と同様に肯定的な評価を得ることができた.また, 現職教員の自由記述の回答からは, 通信コストなどのいくつかの問題点が指摘されたものの, 本システムの授業実践への有効性として, 簡便性, 情報共有とコミュニケーションの活性化などが示唆された.
著者
石山 琢子 楠 房子 稲垣 成哲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.5, pp.1-5, 2013-05-17

大規模な博物館では,展示の理解のために,インタラクティブなコンテンツ開発が行われている.一方で多くの博物館では,展示の理解支援コンテンツを新規に設置することは難しいのが現状である.また学芸員の時間的余裕も少ないため,常設展示の内容も変化がないなど,支援は必要とされているが,展示支援コンテンツの実現が難しい現状がある.そこで本研究では iPad mini とキューブ型のスタンプを用いて,簡単に博物館の展示支援が可能なシステムを実装し,評価実験を行った.本論文ではその実験から得られたコンテンツと UI の評価について述べる.Large museum is developing interactive content for the understanding of the exhibit. On the other hand, many museums is difficult to install a new understanding support content of the exhibit. And curator is so busy. Therefore There is no change in the contents of the permanent exhibit. Support are needed there. But the realization of support content of the exhibit is difficult. So, we made a system that can support the museum exhibition easily by using a stamp of cubic and iPad mini. And we have the evaluation experiment. In this paper, We describe the evaluation of the user interface and contents obtained from the experiments in this paper.
著者
山本 智一 竹中 真希子 稲垣 成哲 山口 悦司 大島 純 大島 律子 村山 功 中山 迅
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 27 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.163-164, 2003-07-20 (Released:2018-05-16)
参考文献数
4

筆者らは, CSCLシステムのKnowledge Forumを小学校へ導入し, 遺伝子組み換え食品問題をテーマとした授業のデザイン実験を実施してきている。本研究では, 遺伝子組み換え食品に関する内容理解と社会的な論争性を踏まえた上での意思決定という教育目標の達成と, KFを利用した他者の知識へのアクセスという観点から, 子どもたちの知識構築活動の分析を行った。その結果, 多くの他者の知識にアクセスすることは子どもたちの内容理解や意思決定に寄与していた可能性が示唆された。
著者
山田 敬太郎 垂水 浩幸 大黒 孝文 楠 房子 稲垣 成哲 竹中 真希子 林 敏浩 矢野 雅彦
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.372-382, 2009-01-15
被引用文献数
4

歴史学習を対象としたフィールドワークをGPS携帯電話を用いて支援するシステムの開発と,これを用いた実践授業を行った.学習者は,三次元モデルを元に携帯電話の画面上に再現された過去の世界を訪れ,現在の様子との違いを認識することから学ぶ.昭和13年の阪神大水害の様子を三次元モデルで作成し,中学3年生に対して実践授業を行いその教育効果を検証した.その結果,生徒全員から本システムへの肯定的な反応があり,過去と現在を結び付けながら学んでいる様子が分かった.三次元モデルにより,自由な視点での過去の様子を知ることができる点への評価が高かった.また,携帯電話を用いることにより機器に親しみやすく,生徒の関心を高めることに効果的であることが分かった.これらのことから,本研究のアプローチが有効であることを実証できた.We have developed a system using mobile phones with attached GPS to learn history. This system enables students to do fieldwork with a visit to a virtual world from the corresponding location in the present world. The virtual world designed a 3D model of a past world of 1938, when a landslide occurred. The 14-15-years-old students visited the past world and learned much about it. We have found that the system helped students learn about their local area's history by enabling them to compare the past and the present and to observe the past world from arbitrary viewpoints. Because mobile phones are familiar and portable, students' motivation was enhanced.
著者
大黒 孝文 稲垣 成哲
出版者
日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.1-12, 2006-11-30
参考文献数
18
被引用文献数
6

近年,理科教育において,生徒の学びの場に生じる対話が注目されており,そこで生起する相互作用や概念の変容を協同学習の中で実現しようとする研究がなされている。しかし学習効果としての生徒たちの実験技能の習熟や理解度に関する研究は,ほとんどなされていない。そこで本研究では,ジョンソンら(1998)の提唱する協同学習の基本的構成要素を取り入れた実験授業を計画し,その学習効果を検討することにした。実験授業は,中学校2年生を対象にして,化学分野と気象分野の2つの単元において,協同学習の基本的構成要素を導入した実験群とそれを導大していない対照群を設定して実施した。その結果,実験群においては,対照群に比べて,次のような学習効果を確認することができた。(1)実験操作上の誤操作や器具の破損が減った。(2)学習内容の単元直後の理解度は対照群と変わらなかったが,1ヵ月後の定着が高まった。(3)実験に取り組む姿勢として,対話やアドバイスが重要であると認めるなどの変容が見られた。以上の結果から,ジョンソンら(1998)の提唱する協同学習の基本的構成要素を取り入れた授業の有効性が示唆された。
著者
江草 遼平 和田 久美子 生田目 美紀 楠 房子 溝口 博 稲垣 成哲
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.456-457, 2011
参考文献数
1
被引用文献数
2

本研究では,生田目・楠(2010)が開発したユニバーサル・パペット・シアターに学習者が物語の展開を選択できる分岐場面を実装し,その効果を予備的に検証した.対象は健常者の大学生14名であり,上演後に,分岐について自由記述による評価を求めた.その結果,分岐場面の設定が動植付けを高めること,物語への没入が促進されること等の肯定的な回答を得ることができた.改善点としては,分岐画面のデザイン等が指摘された.
著者
田中 維 黒川 直哉 江草 遼平 楠 房子 山口 悦司 稲垣 成哲 野上 智行
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 41 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.467-468, 2017 (Released:2018-08-16)
参考文献数
6

動物園は,観察を通じて科学教育が行える場所である.動物を観察するためには,観察対象物に関わる知識が必要である.特に子どもが動物を観察できるようになるために,保護者は重要な役割を果たす.本研究は,観察活動中の保護者による言葉がけの実態を明らかにするために,親子の会話を分析する.そのために,動物園における子どもの観察活動を促進する会話フォーム(Patrick & Tunnicliffe, 2013)を,分析フレームワークとして応用した.
著者
山本 智一 中山 迅 近江戸 伸子 竹下 裕子 稲垣 成哲 竹中 真希子 山口 悦司 藤本 雅司 坂本 美紀 大島 純 大島 律子 村山 功
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.423-424, 2004
参考文献数
2
被引用文献数
2

筆者らは, Knowledge Forum を利用して,遺伝子組み換え食品問題に対する社会的意思決定をテーマとした科学教育のためのCSCL環境を開発している.本研究では,遺伝子組み換え食品についての基礎的内容に対する学習者の理解度を検討した.その結果,多くの学習者は,遺伝子,遺伝子組み換えと品種改良,遺伝子組み換え食品の現在といった基礎的な内容をおおむね理解できていたが,他種間の品種改良や世界の表示状況についてはあまり理解できていなかったことがわかった.
著者
神山 真一 栗川 尚暉 山本 智一 稲垣 成哲
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.175-180, 2019-12-21 (Released:2019-12-18)
参考文献数
15

本研究の目的は,教員志望の大学生対象にアーギュメントを理科授業に導入するための指導能力育成プログラム(神山・山本・稲垣,2019)を,対象学生らのアーギュメント構成能力に着目して評価することである。プログラムは,山本・神山(2017)に基づいて行い,受講前後にアーギュメント構成課題を実施した.その結果,対象学生のアーギュメント構成能力は向上し,本プログラムの有効性が明らかになった。
著者
永田 智子 鈴木 真理子 稲垣 成哲 森広 浩一郎
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, no.Suppl., pp.161-164, 2008-02-10 (Released:2016-08-04)
参考文献数
4
被引用文献数
4

現職教師がデジタル・ティーチング・ポートフォリオを作成する活動とそのためのブログ環境を設定し,実践,評価した.実践では4名の現職教師が理科の授業についてブログに書き込みを行った.実践に参加した現職教師へ行ったインタビューから,本ブログ環境はおおむね使いやすいものであり,活動は授業の振り返りに役立つことがわかった.それに加えて,教師が実践や振り返りを継続するために,「日々のデータの蓄積」「蓄積されたデータの再利用」「他教師との比較による刺激」「実践継続の励み」「課題の提示」という機能が必要であり,ブログ環境や支援活動に組み込む必要があることがわかった.
著者
山口 悦司 舟生 日出男 出口 明子 稲垣 成哲
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.391-392, 2010

筆者らは,iPhone/iPod touchの環境で運用できるデジタル運勢ラインシステムを開発している.本研究では,同システムの試験的評価として,大学院生を対象とした実験授業を実施し,大学院生への面接調査を通して,iPhone/iPod touch版システムとして新たに生じると考えられるユーザインターフェース上の利点や問題点を明らかにした.その結果,小さくて,軽いデバイス上で同システムを利用すること,マルチタッチ入力のデバイス上で同システムを利用すること,1人1台のデバイス環境で同システムを利用することの利点や問題点が明らかとなった.
著者
杉本 ひとみ 隅田 学 V マンザーノ 稲垣 成哲 中山 迅
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.13-16, 2001
参考文献数
10

本研究では, フィリピンにおける小学5年生と中学2年生を対象として, 描画法を用い科学者の絵を描かせることで, 彼らがどのようなサイエンス・イメージを持っているのかを検討した。その結果, 次のような特徴が見られた。 (1)白衣を着た科学者像はあまり多くなかった。 (2)女性科学者像が多く, 特に女子児童・生徒によって多く描かれた。 (3)科学者の研究分野像は, 小学校では生物分野, 中学校では化学分野が多かった。 (4)科学者が研究に使っている器具については, 試験管とパソコンをイメージする児童・生徒の割合が高かった。
著者
出口 明子 舟生 日出男 山口 悦司 稲垣 成哲
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.35-38, 2003
参考文献数
13
被引用文献数
4

筆者らは,再構成型コンセプトマップ作成ソフトウェアの開発に取り組んできている.本稿では,ユーザーのニーズを反映しながら2003年度に行ってきたソフトウェアの機能拡張について報告するとともに,カラーパレットの色数を増加した最新バージョンを紹介する.
著者
田中 維 江草 遼平 楠 房子 奥山 英登 山口 悦司 稲垣 成哲 野上 智行
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.210-224, 2018 (Released:2018-10-27)
参考文献数
18

We developed and evaluated animation-based learning contents for supporting scientific observations of animals in zoos. The contents provide the viewpoints of scientific observation. In order to evaluate whether the contents support observation, we developed cases of contents for observable features and behaviors of the hind flippers, noses, and claws of seals, and implemented a workshop for parents and children. The participants of the workshop were 15 parent-child pairs. Their average age was 7.0 years (SD = 2.0). We analyzed the video data of these 15 parent-child pairs’ observations using the contents. The results show that most parent-child pairs were able to observe the seals’ features and/or behavior using animation-based learning contents.
著者
坂本 美紀 稲垣 成哲 竹中 真希子 山口 悦司 藤本 雅司 山本 智一 大島 純 大島 律子 村山 功 中山 迅 近江戸 伸子 竹下 裕子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集
巻号頁・発行日
vol.28, pp.425-426, 2004

筆者らは,遺伝子組み換え食品(GMF)を題材にした科学教育のためのCSCL環境を開発し,小学生を対象にデザイン実験を行っている.本研究では,このデザイン実験の評価の一環として, GMFに対する理解とイメージが,単元の学習を通して変容したかどうかを検討した.分析の結果,概念的理解については. GMFの基礎知識や論争性についての理解が進んだことが明らかになった。また,イメージの変容も確認された.