著者
松原 修二 高橋 正樹 岡村 経一 福留 厚 山岡 郁雄 松峯 敬夫 浮島 仁也 青木 幹雄
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.757-761, 1976-06-25

上部消化管大量出血の原因のひとつとして,1897年Dieulafoy1)は胃上部噴門直下に孤立性の微小な粘膜欠損を見いだし,これをExulceratio simplex(以後Esとする)と命名した.粘膜欠損の底部において動脈が破綻するため,大量の血液が噴出して,潰瘍形成は未熟なままに患者は急性の経過をとるものと彼は考えた.以後欧州圏では,このような胃上部にあらわれた粘膜欠損部よりの動脈性出血をEsと呼称するようになった.今回著者らもその1例を経験したので報告し併せて弱干の文献的考察を加えた. 症例 患 者:46歳 男 生来健康にて著患なく,既往にいわゆる胃症状を認めない.1月程前より風邪に罹患しアスピリンを連日服用していた.1974年12月11日,突然大量の吐下血をきたし当科へ緊急入院した.ただちに,緊急内視鏡検査およびガストログラフィンによる上部消化管緊急X線検査を施行したが,胃内に大量の血液が充満しているため出血源の診断は不可能であった.13時間に総量3,200mlの輸血を行なったが,血圧60/40mmHgヘマトクリット23%と改善されずショック状態におちいったため緊急手術を施行した.開腹すると,胃内に大量の凝血塊を認めるが,肝硬変および食道静脈瘤など門脈圧の亢進を示唆させる所見は認められなかった.胃を漿膜面より観察しても異常病変を発見できなかったので,胃体部大彎側寄りに約7cmの縦切開を加えた.出血部位は主に噴門側であることが判明したが,なお局在は不明であり,やむを得ず盲目的胃切除術(Billroth Ⅰ)を施行した.術後経過は良好で,第4病日に胃管を抜去した.
著者
嶋宮 民安 北間 敏弘 長田 誠 相部 洋一 小松原 修 野副 晋 篠原 正典 碓氷 章 寺田 信幸 毛利 元彦 Shimamiya Tamiyasu Kitama Toshihiro Osada Makoto Aibe Yoichi Komatsubara Osamu Nozoe Susumu Shinohara Masanori Usui Akira Terada Nobuyuki Mori Motohiko
出版者
宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究本部
雑誌
宇宙利用シンポジウム 第24回 平成19年度 = Space Utilization Research: Proceedings of the Twenty-fourth Space Utilization Symposium
巻号頁・発行日
pp.351-352, 2008-03

Living in space must entail life in a cramped confined space, as well as monotonous sounds, smells, food and scenery. There are still few studies on human health in long-term closed habitation. We have investigated changes in the psycho-physiological status of humans in a series of closed habitations with re-circulated air, water and waste products. In this report, we describe a closed habitation experiment conducted at the Institute for Environmental Sciences and the outcomes obtained through discussion in our working group.
著者
吉村 信行 野寺 博志 大河内 稔 新 謙一 月本 光一 別府 穂積 松原 修 中谷 行雄 吉澤 靖之
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.35, no.10, pp.1067-1073, 1997-10-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
17

症例は64歳, 女性. 35年前から60羽の鳩を自宅の庭で飼育していた. 8年前の健診で胸部X線写真上, び慢性粒状網状影を指摘された. 以後原因不明の肺の線維症として外来フォローされていたが, 乾性咳嗽と労作時息切れが出現したため精査入院となった. 胸部CTでは区域性の拡がりを示す蜂窩肺形成および気管支拡張所見を認めた. 気管支肺胞洗浄液では, Pigeon Dropping Extracts に対する抗体と鳩血清添加リンパ球の blastogenic response が強陽性を示した. 胸腔鏡下肺生検では, 細気管支炎, 胞隔炎, 小葉中心性の蜂窩肺形成を認めた. 以上より鳩による慢性過敏性肺炎と診断した.本例のごとく急性期のエピソードがない慢性過敏性肺炎は診断が難しく気管支拡張症や特発性間質性肺炎等と診断されている例も多い. 肺に線維化をきたす症例に遭遇した場合, 慢性過敏性肺炎も念頭におき, 鳥の飼育歴を含めた生活歴, 職業歴を聴取することが重要である.
著者
沼野 藤夫 GRANDOS Juli PARK Y.B HOFFMAN Gray REYESーLOPEZ ペドロエー ROSENTHAL Ta ARNETT Frank MECHRA N.K. SHARMA B.K. PREEYACHIL C SUWANWELA Ni 角田 恒和 能勢 真人 松原 修 木村 彰方 長沢 俊彦 西村 泰治 CHARAOENWONGSE P. REYES-ROPEZ P.A. GRANDOSE J. PEDRO A Reye FRANK C Arne YACOV Itzcha N.K Mehra B.K Sharma NITAYA Suwan Y.B Park
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

高安動脈炎は非特異性血管炎であり、その成因は不明で、我国では難病の1つに指定されている。長年の研究の結果、この血管炎の発生に自己免疫機序の関与が示唆されるが、まだ十分解明されるまでには至っていない。本症は、臨床的にもいくつかの特徴が明らかにされており、(1)若年女性に多発し、(2)アジア諸国に多く、欧米に少ない種属差が知られている。我々は、本症の成因に遺伝要因の関与を想定し、現在までにHLA A24-B52-DR2のhaplotypeが本症患者に有意に高い頻度で出現していることを確認し、この事実がアジア諸国に多発する本症の謎と解きあかす鍵と考えられた。なぜならばB52の高い出現頻度を示しアジア諸国、アメリカインディアン、南米と本症の多発地域とが一致するからである。その後の検索で南米、韓国、インド等に於いても、本症患者にB-5 or B-52が有意に高い頻度を示すことが明らかにされてきている。そこで本症の病態につき国際研究を開始したが、この国際比較に於いていくつかの新しい事態が明らかにされた。その1つは、各国によって男女比が異なることである。我国では、女性が圧倒的に多い事実に対して西方にゆくに従って、その比率が減少し、イスラエル、トルコでほぼ6:4の割合までにゆくことである。もう1つは種属によりその臨床病態が異なり、我国では上行大動脈より大動脈弓部にかけての病変が多いのに対し、インド、タイ、南米(メキシコ、ペル-)ではむしろ腹部大動脈に病変が多いという差が明らかにされた。特にインド等では腹部大動脈に限局した患者もかなり認められた。このことから病態の分類に腹部大動脈の病変のみを含めた新しい体系を国際間で取り決め、この新分類に従った患者の実態を目下明らかにしつつある。このことはHLAの研究に於いても新たな展開を開かしめた。我々の研究に於いてHLA B-39の存在が健康日本人に比し有意に高い統計上の成績が得られたが、実数はわずか10名に満たぬ程であった為に放置しておいたが、そのDNAレベルの研究から、本症患者にのみ認められるB-39-2という新しいタイプの存在が発見された。そしてこのB-39は南米や東南アジア諸国に於いてはB-52より高い出現頻度を示しており、B-39と連鎖不平衡を示す遺伝要因が改めて注目されるようになっている。目下、各国に於いてB-39の出現頻度とその臨床病態との比較が新たなテーマとして取り上げられ、目下検討が成されつつある。このDNAレベルの解析は、各国より送ってもらった血液にて当大学で目下行いつつある。