著者
松原 篤 坂下 雅文 後藤 穣 川島 佳代子 松岡 伴和 近藤 悟 山田 武千代 竹野 幸夫 竹内 万彦 浦島 充佳 藤枝 重治 大久保 公裕
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.123, no.6, pp.485-490, 2020-06-20 (Released:2020-07-01)
参考文献数
6
被引用文献数
13 35

近年になり, スギ花粉症などのアレルギー性鼻炎の増加が指摘されている. 馬場らが中心となって1998年と2008年に全国の耳鼻咽喉科医師ならびにその家族を対象としたアンケートによる鼻アレルギー疫学調査が行われ, 有病率の推移が詳細に報告されている. 今回われわれは,前回の調査から11年後の2019年に同様の調査を行い, スギ花粉症, 通年性アレルギー性鼻炎ならびにスギ以外の花粉症の有病率を同定した. アレルギー性鼻炎全体の有病率は49.2%, スギ花粉症単独の有病率は38.8%と前回調査に比べ大きく増加していた. さらに10歳代でスギ花粉症が著明に増加していることも明らかとなった.

3 0 0 0 OA IgG4抗体

著者
松岡 伴和
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.360-361, 2020 (Released:2020-07-17)
参考文献数
5
著者
山西 貴大 五十嵐 賢 上條 篤 松岡 伴和 増山 敬祐
出版者
Japan Rhinologic Society
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.1-7, 2012 (Released:2012-05-22)
参考文献数
21

浸潤型副鼻腔真菌症は,骨破壊や病変の眼窩内および頭蓋内浸潤により容易に重症化しうる疾患である。その予後は悪性腫瘍と同様に悪く,かつ鑑別診断が非常に難しい場合がある。今回我々は,右眼窩内浸潤を呈し上顎癌との鑑別を要した浸潤型副鼻腔アスペルギルス症例を経験したので報告する。症例は糖尿病性腎症と脳梗塞の既往のある80歳男性。主訴は頭痛であったが,当科初診時の血液検査にて腫瘍マーカー(SCC・CYFRA)の上昇が認められた。またCT,MRIで右上顎洞に,骨破壊と右眼窩内浸潤を伴う腫瘤状陰影を認めた。検査結果から悪性腫瘍を強く疑い,診断確定を目的に内視鏡下生検を施行したが,生検肉芽組織内にアスペルギルス類似構造を持つ菌糸の組織内浸潤を認め,さらに血液検査でβ-Dグルカン値の異常高値とアスペルギルス抗原陽性が判明した。以上からアスペルギルスを原因とする浸潤型副鼻腔真菌症の確定診断に至った。糖尿病性腎症を考慮し,重度腎機能障害患者に対して安全に使用できる抗真菌薬ボリコナゾールにて直ちに治療を開始したが奏功せず,全身状態の悪化と患側眼症状の増悪が進行し永眠された。浸潤型副鼻腔真菌症の中には,副鼻腔悪性腫瘍がより強く疑われるような,診断が難しい症例が存在する。従って浸潤型副鼻腔真菌症を考える場合,早期診断確定のためには積極的な内視鏡下生検が必須で,それが早期治療ならびに予後改善につながる。