著者
小林 ミナ 副田 恵理子 名嶋 義直 野田 尚史 松崎 寛 桑原 陽子 佐々木 良造 三輪 譲二 奥野 由紀子 丹羽 順子 松岡 洋子 桑原 陽子
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009-04-01

本研究では,次のような独創性を持つ教材(レッスン群)を作成した。(1)「聞く」「話す」「読む」「書く」で独立している。(2)インターネット上で公開され,文法解説や指示が多言語対応になっているので独習が可能である。研究期間の5年間では,教材作成者がコンテンツを入力したり変更したりするための「管理サイト」,および,日本語学習者が利用する「利用サイト」を開発,試用し,仕様と稼働状況について確認した。それと並行して,日本語レッスン完成版を翻訳し,「中国語簡体字」「中国語繁体字」「韓国語」「英語」の各言語版を作成するとともに,日本語教師が参照するための「日本語」版を作成した。
著者
松本 和紀 進藤 克博 松岡 洋夫 松本 和紀
出版者
東北大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1999

本研究は脳内で行われる言語情報処理の早期の「知覚処理」から後期の「意味処理」への変換の仕組みとその相互作用を電気生理学的に解明していくために、事象関連電位を用いて早期の知覚情報処理に関わるNA電位と意味・記憶処理と関わるERP反復効果を指標に研究を行った。今年はNA電位とERP反復効果を健常者と精神分裂病者を対象に調べた。実験1:外国文字とかな文字との比較-刺激は非読外国文字、無意味かな単語、有意味かな単語の三種類。刺激は二文字からなり200m秒、2〜3秒の間隔で提示された。被験者はある意味範疇に属する単語に対してボタン押し反応をした。NA電位は非標的刺激に対するERPから単純反応課題に対するERPを差分して得られた。結果、NA電位は、三種類の刺激間で差が認められず、早期知覚処理では、意味の有無、日本語・外国語の違いなく同等に処理が行われることが分かった。健常者と分裂病者の比較では、分裂病者でNA電位の遅延が認められたが、刺激間の差はなかった。実験2:ERP反復効果とNA電位の比較-刺激は二文字からなるかな単語で、標的は動物の意味をもつ単語で非標的はそれ以外のかな単語。非標的の半分は初回に提示される単語で、残り半分は直後反復される単語と平均5単語間隔をおいて遅延反復される単語とに分けられた。単純反応課題も施行され、実験1と同様の方法でNA電位が計測された。結果、反復単語に対してCzを中心に全般性にERPが陽性方向へシフトするERP反復効果が認められた。NA電位とERP反復効果とは振幅や潜時に相関は認められなかった。一方で精神分裂病では、直後反復でのERPで反復効果の減弱が認められた。この結果、知覚の早期処理と記憶処理とでは、ある程度独立した機構が並行した処理を行っている可能性が指摘され、精神分裂病では知覚の早期処理の遅延と、記憶や意味と関連する電気生理学的活動の減弱が推定された。
著者
伊豫 雅臣 明石 要一 保坂 亨 羽間 京子 五十嵐 禎人 武井 教使 三國 雅彦 松岡 洋夫
出版者
千葉大学
雑誌
特別研究促進費
巻号頁・発行日
2003

今年度は1、国際会議開催、2、研究会、3、少年非行に関する調査研究を行った。1、英国精神医学研究所司法精神医学研究部Fahy教授、豪州・クィーンズランド統合司法精神保健センター長Kingswell先生を招聘し、我が国からは分担研究者である五十嵐禎人先生により、英国、豪州、日本における司法精神保健に関する制度、医療、教育・研修、研究についての講演を得た。また、司法精神保健に関連した、最近の生物学的研究について伊豫雅臣が発表し、・千葉大学大学院専門法務研究科 本江威憙客員教授より指定討論を得た。英国、豪州とも触法精神障害者の医療施設として保安度の異なるものを有し、社会復帰に向けた体制が確立されている。また、裁判所と精神科医との連携体制も確立されている。我が国では平成17年度より心神喪失者等医療観察法が施行されるが、未だ整備途中である。また、生物学的診断法の確立も重要であることが指摘された。2、研究会は、検察庁より精神障害者の行った重大犯罪に関する公判記録の閲覧許可を得ることができた。その公判記録に基づき、精神科医、法学者、教育学者、生理学者により研究会を4回行った。精神医学では診断基準が複数使用されているが、精神鑑定においては診断基準を統一化するとともに、是非弁別能力判定についてのガイドラインが必要であることが指摘された。3、少年非行においては「怒り」が重要な役割を果たしており、そのマネージメント法を確立・普及させることが重要であること、また外国人少年非行の防止に関しては日本語学校の役割を認識する必要のあること、さらに非行傾向のある少年に対する校内サポートチームの形成の必要性について調査された。