著者
岡田 ルリ子 松川 寛二 小林 敏生 宮腰 由紀子
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.315-321, 2013-08-01 (Released:2013-08-29)
参考文献数
37
被引用文献数
1

This study aimed to develop a new method of increasing water content in the cutaneous stratum corneum under a dry skin condition. For this purpose, the experiments were performed using 10 healthy women (age: 20 ± 5 years, height: 158 ± 4 cm, weight: 50 ± 6 kg) in winter to ensure the dry condition. The subjects immersed the right hand into a 42˚C bath for 10 min. Skin surface temperature and water content in the stratum corneum of the left forearm were simultaneously measured during and for 1 h after the hand warming. The skin surface temperature began to increase (P<0.05) 15 min after the hand warming and thereafter remained increased for 1 h. Similarly, the water content in the stratum corneum began to increase immediately after the hand warming and remained increased throughout the experiment. The present results suggest that warming of one hand is effective in enhancing skin moisture in the other forearm and thereby maintaining barrier function of the skin.
著者
松川 寛二 定本 朋子 梁 楠 中本 智子 加島 絵里
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

日常生活で行う軽度~中程度の随意運動でみられる心循環調節にとって,運動筋受容器反射よりも高次中枢から発するセントラルコマンド(central command)によるfeedforward制御が重要である。特に,屈曲運動において,このcentral commandによる心循環調節は強く現れる。一方,覚醒状態のヒトや動物では,筋機械受容器反射および筋代謝受容器反射は抑制されている。睡眠あるいは麻酔に伴って生じる高次中枢活動の低下は筋機械受容器反射および筋代謝受容器反射を促通し,この筋機械受容器反射の修飾には脳内5-HT1A受容体が関わる。
著者
岡田 ルリ子 松川 寛二 小林 敏生 宮腰 由紀子
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.131-137, 2015-06-01 (Released:2015-07-17)
参考文献数
18
被引用文献数
4

皮膚の保湿性の指標となる角層水分量および経皮水分蒸散量を,皮膚表面温度とともに,冬季(室温 21℃)と夏季(室温 25℃),および冬季の室温 21℃と 25℃という室内温度環境下で測定した.この 3 項目に影響を及ぼす短期的(室温変化)および長期的(季節)要因について検討した.角層水分量および皮膚表面温度は,夏季と比べ,冬季に有意に(P<0.01)減少し,経皮水分蒸散量も低下する傾向にあった.冬季の室温を夏季と同一の室温(25℃)に設定した場合,皮膚表面温度と経皮水分蒸散量は有意に上昇したが,角層水分量は低値のままであった.以上より,実験環境における室温という短期的要因よりも,季節という長期にわたる環境要因が角層水分量に大きく影響する可能性が考えられた.

1 0 0 0 OA 循環機能と脳

著者
松川 寛二
出版者
一般社団法人 日本生体医工学会
雑誌
BME (ISSN:09137556)
巻号頁・発行日
vol.14, no.11, pp.37-49, 2000-11-10 (Released:2011-09-21)
参考文献数
32
著者
岡村 仁 松川 寛二
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は,主任研究者らが開発した速度フィードバック療法システが認知症高齢者の認知機能障害改善に有効かどうかを無作為化比較試験により検証すること,およびマルチチャンネル近赤外光酸素モニターを応用して,上記認知機能障害改善システムの有効性を脳科学・生理学的に明らかにすることを目的とした。得られた結果は以下の通りである。(1)認知機能障害改善システムの有効性に関する臨床的検討適格基準を満たした認知症高齢者90名を,介入群45名,対照群45名に無作為に割付け,対照群には標準的な自転車エルゴメーター駆動,介入群には速度フィードバック療法を行った。介入前,介入終了直後,介入終了1ヵ月後のMini-Mental State Examination(MMSE),N式老年者用日常生活動作評価尺度(N-ADL),認知症高齢者QOLスケール(QOL-D)の各評価尺度得点における両群問の差を検討するため,各評価尺度の得点の変化量を従属変数とした二元配置分散分析を行った結果,MMSE, N-ADL, QOL-Dの各評価尺度得点の変化において両群間に有意な差が認められ,本研究で作成した速度フィードバック療法システムの有効性が示唆された。(2)高次脳機能評価システムの開発健常成人8名に対して,エルゴメーター運動の前後にストループテストを行い,その際の前頭葉脳酸素代謝動態を測定した。測定にあたっては,近赤外線分光装置を用い,脳神経活動に付随した局所酸素代謝を示すと考えられる酸化型ヘモグロビン濃度(Oxy-Hb),還元型ヘモグロビン濃度(Deoxy-Hb),総ヘモグロビン濃度(Total-Hb)を計測した。2組の光グローブは,ストループテスト中に機能するといわれる頭頂葉部位に照射させるよう前額部左右の眉上に装着し,リアルタイムで同時測定を行った。その結果,40%強度の運動中にOxy-Hbの有意な増加が認められ,その増加は持続した。ストループテスト所要時間は40%強度の運動後に短縮し誤答数は運動前後で変わらなかったことから,40%強度の動的運動により認知機能が向上すること,その認知機能の向上と前頭葉脳酸素動態は関連することが示唆された。