著者
篠永 信一朗 松村 暢彦 片岡 由香
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.1047-1054, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
27
被引用文献数
1

本研究の目的は、祭礼活動への関与度と地域コミュニティに関する意識の関連性を明らかにすることである。本研究では、地域コミュニティに関する意識として「地域愛着」、「時間的展望」、「ソーシャル・キャピタル」の3つを指標とし、祭礼活動への関与度に着目しながら、調査・分析を行った。調査方法は次のとおりである。:(1)祭礼活動が地域に与える影響に関する既往研究の文献調査、(2)対象地域での事前調査、(3)祭礼活動と地域に関するアンケート調査の実施、である。アンケートの分析の結果、祭礼活動への関与度が大きい人は、関与していない人よりも「地域愛着」、「未来に関する時間的展望」、「ソーシャル・キャピタル」が高いことが明らかになった。
著者
松村 暢彦
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.373-378, 2012

本研究では、地域活動を通して形成される地域住民間のネットワークの現状と、活動への参加が個人に与える影響を明らかにするため、戦後に開発されたオールドニュータウンである兵庫県川西市大和地区の住民を対象にアンケート調査を行った。その結果、地域活動への参加頻度とパーソナル・ネットワークの拡大には正の相関関係があり、地域でのネットワーク形成を促進していくためには、活動への積極性を高めていくことが必要であることがわかった。しかしそれと同時に、地域住民が地域と関わりを持つまでの間には、「人付き合いの敬遠」や「他者への無関心」といった困難な課題が存在することも明らかとなった。また、参加する地域活動の違いが個人の「地域に対する態度」と「生活満足度」にどのように影響を及ぼしているかを検証するため、共分散構造分析を用いてモデルを作成した結果、参加する活動領域やその組み合わせの差異によって、個人の生活満足に影響を与えるまでのプロセスに様々な差異が見られることがわかった。
著者
依藤 光代 松村 暢彦 澤田 廉路
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.487-492, 2011-10-25 (Released:2011-11-01)
参考文献数
10

地方都市の商店街ではにぎわいを喪失しており、商業の活性化が課題となっている。長期間にわたる商店街活性化に関する活動や組織の変化を追跡するだけではなく、まちづくりの担い手間の関係に着目することにより、まちづくり活動の担い手の継承の要因について考察した結果、次のように考えられた。(1)1993年以降、担い手となるセクターは、行政組織、地元市民組織、新規市民組織、広域市民組織の順に変遷してきた。(2)担い手が継承されるための要因は、地縁・志縁の担い手間のネットワークや、問題意識および課題解決の方向性が担い手間で共有されること、課題を解決するためのスキルを担い手が提供できること、活動の場としての組織の存続が担保されていること、の4つが考えられた。共通して重要であるのは、志縁の関係が行われるような、実践的な活動が積み重ねられることである。
著者
石原 凌河 松村 暢彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_101-I_114, 2013
被引用文献数
3

東日本大震災の教訓として,過去の自然災害の教訓や知恵を後世に伝え,それを地域での防災まちづくりや防災教育に活かすことが重要であると言われている.そこで,本研究では,地域で受け継がれている災害伝承の実態を把握するとともに,災害伝承と生活防災行動,防災意識,地域への態度,避難行動,防災対策との関係性について明らかにするとともに,地域単位で災害伝承を行う意義について考察した.その結果,年月が経つにつれて,地域で脈々と受け継がれてきた過去の災害伝承が途切れる可能性が示唆された.また,災害伝承は防災意識や避難行動,地域への態度に直接的な影響はなく,生活防災行動を通じて防災意識や避難行動,地域への態度の醸成につながることが明らかになった.
著者
神田 佑亮 松村 暢彦 藤原 章正
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.463-468, 2010-10-25
参考文献数
5
被引用文献数
3 1

本稿では新エネルギー整備基金の確保を目的とした環境地域通貨流通スキームの構築と併せて、市民を対象としたMMを連携して実施し、環境、まちづくり、交通行動面での効果を評価した。環境地域通貨は、市内の加盟店舗で利用可能なクーポン券であり、新エネルギー発電施設整備基金の確保と市民の割引サービス、地元商店街活性化の両立を目指している。このスキームと市民を対象に適度なクルマ利用を促すモビリティマネジメントを連携して実施した。運用開始後3ヶ月で約130冊の環境地域通貨が流通し、総額の約3割の利用があった。地域活性化の面では、大規模店舗から地域の中小店舗への来訪意図の変容や、購入した店舗とは別の店舗を訪れ利用するといった回遊効果が確認された。交通行動の変容効果の観点では、環境地域通貨を利用した買い物により、買い物時の交通手段も自動車から徒歩や自転車等に転換する意図が見られた。環境面では、MMとの連携実施によりCO2削減効果に相乗効果が見られることが確認された。これらの結果から、両立が難しいと考えられる低炭素まちづくりと地域活性化の共存可能性について1つの方向性が示された。
著者
松村 暢彦 河田 慎也
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.663-672, 2008-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

本研究の目的は, 環境面を訴求する自動車広告が他の種類の自動車広告と比較して, 消費者の自動車購入意図や自動車利用意図に与える影響の差異を定量的に把握することである. まず, 1970年から2006年の間の自動車新聞広告を入手し, 広告訴求内容の変遷を把握した. その結果, 近年になるにつれ, 訴求内容が生活イメージを訴求する広告へと変化していることが明らかとなった. 次に分類された自動車広告を被験者に提示し, 製品に対する態度, 広告理解度, 購入意図, 利用意図をアンケート調査により計測する実験を行った. その結果, 環境面を訴求するハイブリッド車の広告は, 他の広告と比較して, 購入意図や利用意図が統計的に有意に高い値を示した.
著者
依藤 光代 松村 暢彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_363-I_372, 2013

大都市近郊に位置する都市の中心市街地に立地する商店街である生駒駅前商店街において,継続的な活性化の運営の変遷および継承の要因を,担い手個人レベルに着目しながら明らかにすることを目的として,文献およびヒアリング調査を実施した.その結果,特徴的な4つの運営の時代に分けられ,ハード整備事業が中心の行政主導の運営から,ソフト事業に比重が移され,その運営の担い手が,商工会議所主導,商店街役員主導,商店街役員及び多くの個店主導と変遷してきたことが分かった.<br>ハード整備実施後に活性化活動が途切れることなく,ソフト的な活性化活動にスムーズに結びついていくためには,商店主らが共同で定例的に行う取組によるつながり,及び活性化活動の実践の中で商店街役員らの間に形成されるつながりが重要であると考えられる.
著者
依藤 光代 松村 暢彦 澤田 廉路
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画論文集 = Papers on city planning (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.487-492, 2011-10-25

地方都市の商店街ではにぎわいを喪失しており、商業の活性化が課題となっている。長期間にわたる商店街活性化に関する活動や組織の変化を追跡するだけではなく、まちづくりの担い手間の関係に着目することにより、まちづくり活動の担い手の継承の要因について考察した結果、次のように考えられた。(1)1993年以降、担い手となるセクターは、行政組織、地元市民組織、新規市民組織、広域市民組織の順に変遷してきた。(2)担い手が継承されるための要因は、地縁・志縁の担い手間のネットワークや、問題意識および課題解決の方向性が担い手間で共有されること、課題を解決するためのスキルを担い手が提供できること、活動の場としての組織の存続が担保されていること、の4つが考えられた。共通して重要であるのは、志縁の関係が行われるような、実践的な活動が積み重ねられることである。
著者
依藤 光代 松村 暢彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_363-I_372, 2013 (Released:2014-12-15)
参考文献数
8

大都市近郊に位置する都市の中心市街地に立地する商店街である生駒駅前商店街において,継続的な活性化の運営の変遷および継承の要因を,担い手個人レベルに着目しながら明らかにすることを目的として,文献およびヒアリング調査を実施した.その結果,特徴的な4つの運営の時代に分けられ,ハード整備事業が中心の行政主導の運営から,ソフト事業に比重が移され,その運営の担い手が,商工会議所主導,商店街役員主導,商店街役員及び多くの個店主導と変遷してきたことが分かった.ハード整備実施後に活性化活動が途切れることなく,ソフト的な活性化活動にスムーズに結びついていくためには,商店主らが共同で定例的に行う取組によるつながり,及び活性化活動の実践の中で商店街役員らの間に形成されるつながりが重要であると考えられる.