著者
杉恵 頼寧 藤原 章正 森山 昌幸 奥村 誠 張 峻屹
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.699-705, 1999-09-20 (Released:2010-06-04)
参考文献数
8
被引用文献数
2 2

本研究は観光地域の道路整備に伴う観光周遊行動の変化について分析するためめ新しい手法を提案する.従来の離散選択モデルを基礎として, 経路選択モデルとスポット群選択モデルからなる階層構造モデルを開発する. 具体的には通常のNested Logitモデルの各段階のIID誤差構造を緩和したNested PCL (Paired Combinatorial Logit) モデルを導出する. 島根県中央地域における経路と訪問スポット群の選択文脈で得たSPデータを用いてNested PCLモデルを推定し, シミュレーション分析を行った結果, 道路整備により観光需要が若干増大することが確かめられた.
著者
田中 皓介 稲垣 具志 岩田 圭佑 大西 正光 神田 佑亮 紀伊 雅敦 栗原 剛 小池 淳司 佐々木 邦明 佐々木 葉 Schmöcker Jan-Dirk 白水 靖郎 泊 尚志 兵藤 哲朗 藤井 聡 藤原 章正 松田 曜子 松永 千晶 松本 浩和 吉田 樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.129-140, 2021 (Released:2021-06-20)
参考文献数
20
被引用文献数
2

本稿ではCOVID-19の蔓延および政府からの社会経済活動自粛要請に伴う,人々の意識行動への影響を把握することを目的にWebアンケート調査を行った.その結果,感染・死亡リスクを,現実の数倍~数千倍過大に評価している様子が明らかとなった.また,接触感染対策として効果的な「目鼻口を触らない」の徹底度合いが他の対策に比べて低く,周知活動の問題点を指摘した.さらに,緊急事態宣言に対する65%以上の支持率や,「家にいる」ことについて,「ストレス」を感じる以上に「楽しい」と感じる人が多いこと,行動決定のために参考にするのはキャスターや評論家や政治家よりも「専門家の意見」の影響が大きいことなどが明らかとなった.
著者
周藤 浩司 杉恵 頼寧 藤原 章正
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
no.15, pp.655-662, 1998

フレックスタイム制度の導入に伴う通勤者の交通行動は時間的に変動することが予想され, その過程を明らかにするには交通行動の動学的分析が必要となる. 本研究は通勤者の時間選択行動の変化を時間軸に沿って分析することを目的とする. まず広島市のある企業で実施されたフレックスタイムシステムの導入前後で2時点パネル調査を行い, 会社到着時刻選択行動を2時点で比較した. その結果会社到着時刻の変化は交通所要時間, 交通手段, 配偶者との帰宅時間差が大きく影響を及ぼすことが明らかになった. 次に会社到着時刻の1年間の時系列データを用いて, 制度導入後の交通行動の時間変化を分析した結果. 通勤者は新しく導入されたフレックスタイム制度に対して交通一活動パターンを調整するのに約3ヶ月を要することが示された.
著者
神田 佑亮 松村 暢彦 藤原 章正
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.463-468, 2010-10-25
参考文献数
5
被引用文献数
3 1

本稿では新エネルギー整備基金の確保を目的とした環境地域通貨流通スキームの構築と併せて、市民を対象としたMMを連携して実施し、環境、まちづくり、交通行動面での効果を評価した。環境地域通貨は、市内の加盟店舗で利用可能なクーポン券であり、新エネルギー発電施設整備基金の確保と市民の割引サービス、地元商店街活性化の両立を目指している。このスキームと市民を対象に適度なクルマ利用を促すモビリティマネジメントを連携して実施した。運用開始後3ヶ月で約130冊の環境地域通貨が流通し、総額の約3割の利用があった。地域活性化の面では、大規模店舗から地域の中小店舗への来訪意図の変容や、購入した店舗とは別の店舗を訪れ利用するといった回遊効果が確認された。交通行動の変容効果の観点では、環境地域通貨を利用した買い物により、買い物時の交通手段も自動車から徒歩や自転車等に転換する意図が見られた。環境面では、MMとの連携実施によりCO2削減効果に相乗効果が見られることが確認された。これらの結果から、両立が難しいと考えられる低炭素まちづくりと地域活性化の共存可能性について1つの方向性が示された。
著者
伊藤 昌毅 諸星 賢治 太田 恒平 森山 昌幸 神田 佑亮 藤原 章正
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.I_1465-I_1475, 2021 (Released:2021-04-20)
参考文献数
15

2018 年に発生した西日本豪雨の被災地では多くの道路や鉄道が寸断され,住民や訪問者の移動に困難が生じた.バスや鉄道などは運行を確保にできる限りの手を尽くしたが,Web や乗換案内アプリケーションでは正確な案内が出来ておらず,公共交通の利用は困難であった.本論文では,災害時に公共交通情報を地域住民や訪問者に届ける方法を論じ,西日本豪雨における実践を通じて有効性を示す.情報を一箇所に集約することは災害時には現実的ではないため,それぞれの交通事業者が出来る範囲で情報発信を行い,乗換案内などからリンクを張るという自律分散的な情報提供を実現した.時刻表通りの運行が困難な状況で役に立つバス運行実績情報や代行バスの位置情報といったリアルタイム情報を提案手法でまとめ,総合的な交通情報の把握を可能にした.
著者
桑野 将司 藤原 章正 塚井 誠人 張 峻屹 岩本 真由子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.54-63, 2010 (Released:2010-03-19)
参考文献数
17
被引用文献数
2

本研究では自動車の保有期間と年間走行距離の相互依存性を考慮した自動車保有・利用行動の同時決定モデルの開発を行った.具体的には,2変量間の非線形な相互依存性を取り扱うことができるコピュラ関数を用いた多変量生存時間モデルを構築し,保有期間と走行距離の間に異なる依存構造を表現する正規コピュラ,ガンベル・コピュラ,クレイトン・コピュラ,フランク・コピュラの適用を行った.2006年10月に中国地方の5県を対象に行われたアンケート調査のデータを用いた実証分析の結果,保有期間と年間走行距離の間にクレイトン・コピュラを適用したときモデル適合度が最も高く,利用行動と保有行動の間に負の相互依存性が存在することを明らかにした.開発したモデルの現況再現性は従来の分析手法よりも高く,その有効性が実証された.
著者
張 峻屹 藤原 章正 桑野 将司 杉恵 頼寧 李 百鎭
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.97-102, 2006-10-25
参考文献数
11
被引用文献数
2

本研究では世帯居住地選択における集団意思決定メカニズムに着目し,軌道系公共交通沿線への居住促進を念頭に,広島市アストラムライン沿線住宅への転居意向をSP調査によって調べてみた.転居意向をより的確に把握するために,インターネット調査を活用し,転居可能性のある被験者を効率的に抽出することに努めた.今回のケーススタディでは集団意思決定と個人意思決定で,40%もの世帯において世帯構成員の選好結果が変化することが分かった.世帯の代表的な構成員を選定し,世帯居住行動を調べる従来の調査・分析方法は間違った結論を導く恐れのあることが明らかとなった.居住地選択行動においても,多項線形効用関数を用いた集団離散選択モデルによる集団意思決定メカニズムを表現することの有効性を統計的に確認することができた.アストラムライン沿線での居住を促進するには,アストラムラインの駅近辺に集合住宅の建設を政策的に押し進めることが効果的であることが分かった.
著者
福井 のり子 力石 真 藤原 章正
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.209-219, 2017-10-25 (Released:2017-10-25)
参考文献数
35
被引用文献数
1

多くの農村地域のコミュニティでは,持続可能なコミュニティに向けた取り組みへの一歩が踏み出せない地域住民とそれを後押ししようとする行政の在り方の模索が続いている.本研究では,地域の活性化に向けた初動期において,地域や個人がどのような課題に直面し,またそれをどのように乗り越えていったか,グラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)と複線経路・倒至性アプローチ(TEA)を活用して,その成長プロセスを記述した.具体的には,住民と行政が協働して住民ボランティアによる自治会輸送活動を行うプロジェクトを立ち上げ,2ヵ年に渡り交通の視点から地域活性化に取り組んだ事例を取り上げ,複数回にわたる住民代表者と行政職員との討議録をもとに分析を行った.GTAの分析では,2回の社会実験を通じて,1)行政からの提案,2)組織の課題の浮上,3)将来に向けた地域ビジョンの作成のように,循環型の成長プロセスが存在することが確認できた.さらにTEAの分析では,同様の成長プロセスの過程においても,個人によって異なる社会的ガイドや方向付けが存在することが確認された.
著者
奥村 誠 杉恵 頼寧 塚井 誠人 小松 登志子 岡村 敏之 藤原 章正
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究の目的は,交通工学,衛生工学,水資源工学などの立場からの知見を総合し,中小都市に即した緊急時の給水計画のあり方と,その立案の効率化のためのシステムの開発であり、基本的な分析ツールの開発を行った。第1に代替水源としての可能性の高い地下水利用を念頭におき,地震時の地上・地下構造物の破損により新たな汚染源が発生した場合の飲用可能性を検討するためのシミュレーション方法を開発するとともに,簡便水質測定法の精度の検討を行った。第2に緊急給水作業に対する道路ネットワーク,耐震配水池,井戸水での代替の効果を検討するため,給水車による飲料水の配送計画モデルを作成した。次いで,東広島市西条地区を対象に,収集した各種のデータを地理情報システム上に整理するとともに,それを用いた具体的な検討を進めた。まず,残存井戸における地下水位と流向流速調査に基づいて利用可能水量の検討を行った。つぎに汚染シミュレーションに基づく汚染拡散を踏まえた簡易水質検査井戸の選定方法の検討,人口と井戸の分布を踏まえた緊急給水点配置の計画モデルを加えて,緊急時の簡易水質測定体制,給水点の設置,給水車の配備を事前に立案する手順を整理した。いずれの問題も複雑な計算を内包するものであり,現時点でパソコン上の簡便な検討システムの構築は困難であることがわかった。具体的な知見は以下の通りである。第1に地下水の季節的な量的変動にかかわらず,緊急時に必要な水量はほぼ確保できる。第2に芸予地震時に断水した広島県島嶼部では,日常的に井戸水を用いている世帯を中心にかなりの井戸水が飲用に使われていた。第3に汚染シミュレーションを用いれば,井戸の汚染リスクが計算でき,その影響を最小にするような検査井戸が選定できる。第4に使用可能井戸を踏まえて緊急飲料水の配送を考えれば,一定のコスト削減が可能である。
著者
杉惠 頼寧 岡村 敏之 藤原 章正 張 峻屹
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究の目的は,交通行動のダイナミック分析手法を交通機関の選好意識(以下SPと略す)の分析に適用し,その時間的な変化の構造を明らかにすることである.クロスセクションモデルを改良したダイナミックモデルを構築し,その有効性を明らかにする.さらに,時系列モデルを適用し,TDM施策が実施された後に通勤交通の時刻選択行動が安定するまでの時系列過程を予測するモデルを構築する.3年間の研究によって次のような成果が得られた.1.SPダイナミックモデルの構築これまで我々の研究室で蓄積してきた広島の新交通システム(19994年8月開業)に対するSPデータ(1987,88,90,93,94年)とRPデータ(1994,97年)の合計7時点パネルデータを用いる.これによって,SPデータを用いて予測した新交通システム開業後の選択結果を評価し,SPモデルの信頼性,改善点を明らかにした.2.TDM導入効果の時系列分析時間分散型TDM施策であるフレックスタイム制度と時差出金制度を導入した後の施策対象者および非施策対象者の行動変化について分析した.まず,1996年に広島市内で導入されたフレックスタイム制度に関して,導入後2回(1996,97年)のパネル調査データと導入後1年間の出勤管理データを用いて時系列分析を行い,行動の調整過程と安定過程が存在することを示した.次に,1999年に松江市で実施された時差出勤社会実験前後の観測交通量データを用いて,時差出勤の導入に対する交通渋滞の反応遅れについて分析した.本研究の主要な成果は,1)SPダイナミックモデルを構築し,その有効性を示したこと,2)TDM施策に対する住民の交通行動には反応遅れが生じ,それらを考慮した時系列モデルの適用の重要性を示したことである.今後は本研究で開発した需要予測モデルを多様な交通政策に適用し,より広範な視点からその適用可能性を検討する予定である.
著者
杉惠 頼寧 塚井 誠人 奥村 誠 藤原 章正 POLAK John JONES Peter
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究の目的はアクティビティ・アプローチの考え方を基礎として、調査法、行動モデリング、政策評価に関する問題点を明らかにし、改善を加えることにより新しい都市交通計画手法の開発を行うものであり、2年間の共同研究によって次のような成果が得られた。1.平日買物行動を考慮した週末買物活動発生モデルの開発週末買物活動を対象に1週間の買物活動データを用いて、個人の買物行動特性を把握すると同時に、平日買物頻度と週末買物活動発生の同時決定モデルを提案した。宇都宮市の1週間にわたる活動日誌調査で得られた買物活動のデータを用いて実証分析をした結果、同時決定モデルの妥当性を確認できた。2.交通調査における回答者インセンティブの費用便益分析交通調査において、細かな行動や意識などを含む複雑な調査が増え、精度や回答率低くなることが問題となり、効率的な調査方法の開発が求められている。本研究では、インセンティブ(謝礼)をつけるという方法をとりあげ、その効果を定量化し、一定の精度を得るために最も費用の小さいインセンティブの水準を考察した。3.観光周遊行動を分析するためのNested PCLモデルの開発観光周遊行動における目的地及び経路の選択肢は互いに独立とは言えない。そこで本研究は、観光周遊の目的地及び経路選択行動を予測するためにNested PCLモデルを提案した。ケーススタディの結果、同モデルは観光需要予測に有効であることが示された。4.SP調査における所要時間の信頼性を表現する手法の改善本研究は、運行サービスの定時制に関する鉄道利用者の評価を分析したものである。定時制が旅行者によって高く価値付けられていることがわかった。従来の研究では、必ずしもそうでないと説もあった。この違いは、従来の方法では、SP調査で用いられている所要時間の定時制の表現方法がうまくなされていないためであることがわかった。