著者
林 健司 池崎 秀和 都甲 潔 山藤 馨
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.86, no.9, pp.633-639, 1991-09-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
17
被引用文献数
1 2

人間の感じる感覚は一つの物理量 (光, 音, 圧力) と複数の化学物質を総合的にとらえる味覚や嗅覚が存在する。後者の測定を行うには複数の要棄の測定法の検討と得られるデータの解析が必要となる。現在のところ, まだ味覚等の客観的な基準はできておらず, あいまいな量の変化で表現されている。味覚について, 生物の受容機構を模倣した複数の人工膜を用いたセンサによる食品検査について解説していただき, 将来の展望として, 味覚センサによる客観的な味覚の測定法の説明をしていただいた。
著者
林 健司 荒木 さおり 岡安 誠子 平松 喜美子 梶谷 みゆき
出版者
日本運動器看護学会
雑誌
日本運動器看護学会誌 (ISSN:2186635X)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.35-42, 2022-02-28 (Released:2022-03-11)
参考文献数
27

本研究の目的は,大腿骨近位部骨折術後高齢者における居宅での生活様相を明らかにすることである.データ収集方法は大腿骨近位部骨折術後で居宅での生活が1ヵ月経過した高齢者に対し半構造化面接を実施した.分析方法は修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチとした.結果,9名の研究参加者を得た.分析の結果,19個の概念が生成され,7つのカテゴリーに分類された.大腿骨近位部骨折術後に居宅退院した高齢者は『自由を手に入れる』一方で,『想定外の現実』に直面し,次第に『生活環境の狭小化』状況にあった.そんな中,徐々に『老いと折り合う』ことで,居宅で暮らす自分を客観視するようになっていた.そして,大腿骨近位部骨折術後に居宅退院した高齢者は,『前向きな依存』と『無理のない自律』の二方向で生活の再構築を始めつつあった.また,一度骨折を経験した高齢者は退院後,『脳裏によぎる再転倒』を抱えながら生活していた.
著者
林 健司 原 祥子
出版者
一般社団法人 日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.91-97, 2014

本研究の目的は,大腿骨骨折により手術を受けた高齢患者の排泄行動において,見守りを止めて良いと判断した看護師の着眼点を明らかにすることである.大腿骨骨折手術を受けた高齢患者への看護に3年以上携わった経験がある看護師14人を対象に,「見守りを止めて良いと判断した看護師の着眼点」について,フォーカス・グループ・インタビューを行い,質的記述的に分析した.その結果, 15のサブカテゴリーが抽出され, 6つのカテゴリー【活力が蓄えられている】【自立へと気持ちが向かっている】【看護師と意思疎通が図れている】【自分のペースを調節できている】【注意力が高まっている】【動作にしなやかさがある】に集約された.これらのカテゴリーは,日常生活全般のケアを通してとらえられる患者の状況を判断材料にしたものであり,新人看護師をはじめとする看護師にとって,大腿骨骨折術後の高齢患者において排泄行動の見守りを止めて良いかどうかを判断する際の指針になり得るものと考える.
著者
池崎 秀和 林 健司 山中 章己 立川 理江子 都甲 潔 山藤 馨
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.J74-C2, no.5, pp.434-442, 1991-05-25

筆者らは,既に人工脂質膜を用いたマルチチャネルの味覚センサの特性が,人間の味覚特性と非常に類似していることを示した.本論文では,計測方法の改良を行うことで,センサの再現性をより高め,微妙な味の差の識別を可能とし,工業的な味の計測の実用化を計ることを目的とする.改良点は,以下のとおりである,第1は,絶対値測定から,センサにあらかじめ味のバイアスをかけた相対値測定にした点である.これにより,センサのトランスデューサ部は被検液に侵されにくくなり,繰返し使用が可能となった.第2は,センサに一定周期で外乱を与え,これに同期させて計測を行う点である.これにより,センサ出力が安定するまでの待ち時間が大幅に短縮でき,また,外乱による影響を受けなくなった.これらの結果,測定の再現性を飛躍的に向上させることに成功し,人間以上の詳細な味の識別が可能となった.そして,相対値測定の際のバイアスの変動や,測定時間の長さに測定結果が依存しないことを実験的に示し,これらの改良の妥当性を示す.更に実際の食品への適用例を挙げ,その有効性を示す.
著者
吉岡 大貴 横山 諒平 劉 傅軍 小野寺 武 内田 誠一 中野 幸二 林 健司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.409, pp.53-56, 2014-01-17

匂いは目に見えないが,危険信号として重要な情報を持つ.匂いは気体であるため,匂い情報として匂い物質の種類,濃度,空間分布が考えられる.本研究では匂い物質を可視化するために蛍光物質を混ぜたアガロースゲルフィルムを蛍光プローブとして用い,匂い情報を蛍光変化として取り出している.本稿では,蛍光物質を複数用いたマルチ蛍光プローブを用いてマルチスペクトルイメージングを行い,匂い物質の識別を行っている.また,混合匂いに対するマルチ蛍光プローブの反応は各匂い物質毎の各単一蛍光プローブの反応に分割できるため,混合匂いを含めた匂い濃度の空間分布を識別することができる.
著者
釘宮 雄一 林 健司 都甲 潔
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.612, pp.49-52, 2002-01-19

食品, 化粧品, 香料の製造において, 現在でも官能検査と呼ばれる人間の鼻を使った品質管理や製品開発が不可欠である.しかし人間は長時間の検査に耐えられず, 健康状態などによっても結果が左右される.また, 環境計測や安全管理においては, 悪臭・危険臭などの人間が嫌がる検査を行わなくてはならない.さらに個人差による評価結果の違いが存在することが大きな問題である.以上のことから匂いを客観的に評価できるデバイスの開発が望まれている.本研究では新しい匂いセンサ用トランスデューサとなるガスセンサとしてグラファイト分散系に注目し, パーコレーション(percolation, 浸透)現象を利用した素子を作製した後, その特性を明らかにした.またその特性を利用し, 匂い物質のひとつであるクロロホルムに対する感度を向上させることが出来た.