著者
林 健司 池崎 秀和 都甲 潔 山藤 馨
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.86, no.9, pp.633-639, 1991-09-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
17
被引用文献数
1 2

人間の感じる感覚は一つの物理量 (光, 音, 圧力) と複数の化学物質を総合的にとらえる味覚や嗅覚が存在する。後者の測定を行うには複数の要棄の測定法の検討と得られるデータの解析が必要となる。現在のところ, まだ味覚等の客観的な基準はできておらず, あいまいな量の変化で表現されている。味覚について, 生物の受容機構を模倣した複数の人工膜を用いたセンサによる食品検査について解説していただき, 将来の展望として, 味覚センサによる客観的な味覚の測定法の説明をしていただいた。
著者
池崎 秀和 谷口 晃 都甲 潔
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌E(センサ・マイクロマシン部門誌) (ISSN:13418939)
巻号頁・発行日
vol.118, no.11, pp.506-512, 1998-11-01 (Released:2008-12-19)
参考文献数
18
被引用文献数
2 4

We have developed a multichannel taste sensor with lipid membranes which can detect and quantify the basic taste substances in aqueous solution. The aim of the present study is to increase selectivity to adsorptive taste substances (bitter, umami and astringent taste substances) for quantification of taste by improving measuring methods. High selectivity to adsorptive taste substances is obtained by CPA measurement algorithm (CPA: Change of membrane Potential caused by Adsorption). High repeatability is also obtained by developing a cleaning technique of taste sensor.
著者
池崎 秀和 谷口 晃 都甲 潔
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. E, センサ・マイクロマシン準部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. A publication of Sensors and Micromachines Society (ISSN:13418939)
巻号頁・発行日
vol.117, no.9, pp.465-470, 1997-09
被引用文献数
21 14

We have developed a multichannel taste sensor with artifical lipid membranes and have applied it to quantification of taste of green tea. We used multiple regression analysis and found high correlations of outputs of the taste sensor with the results of sensory test (taste, flavor and color) and chemical analyses (amino acids and tannin that are main taste substances in green tea). It is concluded that the taste sensor has a potential for quantification of taste of green tea. The taste sensor responds not only to amino acids and tannin, but also to many other taste substances, and hence it contains much more taste information than conventional chemical analyses.
著者
池崎 秀和 林 健司 山中 章己 立川 理江子 都甲 潔 山藤 馨
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.J74-C2, no.5, pp.434-442, 1991-05-25

筆者らは,既に人工脂質膜を用いたマルチチャネルの味覚センサの特性が,人間の味覚特性と非常に類似していることを示した.本論文では,計測方法の改良を行うことで,センサの再現性をより高め,微妙な味の差の識別を可能とし,工業的な味の計測の実用化を計ることを目的とする.改良点は,以下のとおりである,第1は,絶対値測定から,センサにあらかじめ味のバイアスをかけた相対値測定にした点である.これにより,センサのトランスデューサ部は被検液に侵されにくくなり,繰返し使用が可能となった.第2は,センサに一定周期で外乱を与え,これに同期させて計測を行う点である.これにより,センサ出力が安定するまでの待ち時間が大幅に短縮でき,また,外乱による影響を受けなくなった.これらの結果,測定の再現性を飛躍的に向上させることに成功し,人間以上の詳細な味の識別が可能となった.そして,相対値測定の際のバイアスの変動や,測定時間の長さに測定結果が依存しないことを実験的に示し,これらの改良の妥当性を示す.更に実際の食品への適用例を挙げ,その有効性を示す.
著者
豊田 健太郎 池崎 秀和 平林 和之 三村 昭彦 那須 賢二 戸塚 昭
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.111, no.1, pp.49-58, 2016 (Released:2018-05-28)
参考文献数
13
被引用文献数
4

清酒の味を味覚センサー(味認識装置)で評価した結果,以下の知見を得た。1.BT0センサーは疎水性部分を持つペプチドに応答し,清酒の後味(膨らみ感,味の幅)の評価に活用できる可能性が示された。純米酒では,BT0センサーの出力が高く出る傾向が認められ,清酒の後味(膨らみ感)に着目した官能検査との間で相関が認められた。2.CT0センサーは有機酸塩に応答し,清酒の「濃醇感」の評価に活用できる可能性が示された。3.BT0とCT0の2本のセンサーを用いて,清酒の「後味」及び「濃醇感」という2つの項目によって清酒の味を識別することができた。4.清酒の味わいの違いを表示する方法を提示した。