著者
小林 恵美子
出版者
名古屋商科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

平成15年4月初旬から中旬にかけて、米国の某州立大学1年生と日本の某国立大学2年生を対象にアンケート調査を実施。4月同時期に日米で調査を実施した理由は、被験者が大学生活を約1年間終了という条件を満たす事、そして世界情勢等の外的要因をコントロールする事で被験者が同じ環境下で回答に臨む事が出来るからです。調査実施に際しては、調査員(米国では大学院生、日本では私)が自由意志のもと集合した学生を対象に約10回のセッションを開催。各セッションは本調査目的と趣旨の説明に始まり、アンケート用紙の配付、回答、回収というステップを経て行われました。平成15年6月から8月にかけては、947名から回収された回答をコードブックに基づき全て数字化し、SPSSを使ってコンピュータに入力。内訳は、アメリカ人大学生が505名、日本人大学生が442名。アメリカ人大学生の平均年齢は19.57才、男性比率は70.1%。日本人大学生の平均年齢は19.68才、男性比率は42.4%でした。平成15年9月から12月にかけては、アンケート用紙に記載された全項目において片側t検定を実施。セルフ・コントロール尺度は、24項目中20項目において日米間で有意差(p<.001)が認められ、日本人大学生の方が自己コントロール出来ない事が統計的に実証されました。特に有意差が大きかった項目は、(1)長期的ではなく、さしあたって今自分の身に起こる事に興味がある(米<日);(2)状況が複雑になると、諦めたり身を引く(米<日);(3)楽しいから、と言うだけの理由で時々危険じみた事をする(米>日);(4)狼狽えている人を見ても、それはその人の問題であって私には関係ない(米<日);(5)怒っている時の私には近寄らない方がいい(米<日)、でした。平成16年1月から3月にかけては結果概要を表にまとめ、希望する被験者宛に郵送する作業に従事しました。
著者
小林 恵美子
出版者
金沢大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

日米大学生より収集したデータの分析結果は以下の通りです。まず第一に、Haganのパワー・コントロール理論とHofstedeの不確実性減少という概念を使って、11種類の逸脱行為に従事する頻度は、日米グループ共に男子学生の方が高いこと。又その性別間差異は、日本人学生の方が米国人白人学生よりも小さく、背景には、日本人男子学生の逸脱行動を控える傾向が強く作用していると仮説を立て、統計的に立証しました。尚この調査結果を記した論文は、修正し米国の某学術雑誌に再提出する予定です。続いて、分化接触/社会学習理論について、3本論文を執筆しました。まず初めに、Tittleの"Shells of Illusion"とHofstedeの不確実性減少という概念を基に、仲間の逸脱行動が自身の逸脱行動に及ぼす影響は、日米グループ共に男子学生の方が強いこと。又その性別間差異は、日本人学生の方が小さく、背景には、日本人男子学生が仲間の逸脱行動に感化されにくい傾向が強く働いていると仮説を立て、統計的に立証しました。次に、Hofstedeの不確実性減少という概念を使って、日本人学生が米国人学生よりも逸脱行動を控える傾向は、逸脱行動に従事する仲間の数が少ないことに起因すると仮説を立て、統計的に立証しました。最後に、仲間の逸脱行動と逸脱支持の姿勢が自身の姿勢に影響を及ぼし、果ては自身の行動に作用するという因果関係を日米で比較検証しました。Hofstedeの個人主義という概念を用いて、仲間の逸脱行動と逸脱に対する姿勢が自身の姿勢にもたらす影響の度合いは、日本人学生の方が大きいこと。一方、自身の姿勢が行動に及ぼす影響度は米国人学生の方が大きいと仮説を立て、統計的に立証しました。これら3本の論文は、学術雑誌に投稿すべく、現在、米国人共著者が推敲しております。
著者
清水 沙也加 林 恵美子 若林 綾
出版者
大妻女子大学人間生活文化研究所
雑誌
人間生活文化研究 (ISSN:21871930)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.24, pp.73-77, 2014 (Released:2014-05-30)
参考文献数
8

この研究の目的は,近代日本で文化的テクストが読者/オーディエンスによってどのように生産され,翻訳されていたかについて考察することである.とりわけ文化産業が発展した近現代では,文学テクストとメディアの関係はより錯綜し,多様な問題系を生み出している.文学テクストは,新聞や雑誌の記事の一つとして,美しくデザインされた本として,受け取られる.ときには,映画やマンガ,アニメーションに移植されることもある.そこに注目すると,文学テクストは,メディアや読者との協働を通じて,さまざまに変化していると言えるのだ.私たちは,資本主義と文化との関わりに注目しながら,メディアの中で作り上げられたイメージが,文学作品の受容にどんな影響を与えるかを検討した.
著者
赤尾 健志 寺林 恵美子 大場 正則 水島 朝美 城戸 恵美 高橋 秀幸 山上 亨 八野田 純
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.D1218, 2008
被引用文献数
1

【目的】当院の癌終末期理学療法では、1.患者・家族のニーズに答える、2.患者・家族の信頼を得る、3.チーム医療を重視することを目標に取り組んでいる。今回、癌終末期理学療法の取り組みを現状と患者・家族のコメントをもとに検討したので報告する。<BR><BR>【対象】2006年4月から2007年9月の間、癌終末期で理学療法を施行し入院中死亡した22名、男性11名、女性11名、平均年齢73.8歳、現疾患は、肺癌16名、大腸癌2名、胃癌2名、肝細胞癌1名、胆嚢癌1名であった。<BR><BR>【方法】理学療法開始時と終了時の理学療法内容とADLレベル、理学療法実施期間、理学療法終了日から死亡までの期間について調べた。また対象者を、理学療法を死亡まで継続可能であった群(以下継続可能群)14名、患者の希望により理学療法を途中で中止した群(以下希望中止群)3名、合併症等の発症により理学療法を中止した群(以下合併症発症群)5名に分類した。それぞれの群に対し、患者・家族のコメントをカルテ等から抽出した。<BR><BR>【結果】理学療法内容は、開始時は、ADL練習19名、肺理学療法5名、筋力運動10名、関節他動運動7名、疼痛緩和・浮腫改善2名であった。終了時は、関節他動運動14名、肺理学療法12名、疼痛緩和・浮腫改善6名、ADL練習1名であった。ADLレベルは、理学療法開始時は歩行レベル7名、車椅子レベル11名、ベット臥床レベル4名であった。終了時は、車椅子レベル2名、ベット臥床レベル20名であった。理学療法実施期間は平均42.6日(7日~170日)であった。理学療法終了日から死亡までの期間は平均4.3日(0日~20日)であった。患者・家族のコメントは継続可能群では、呼吸が楽になった、むくみがとれて足が軽くなった等の身体的改善感の他に、自分の体を触ってもらうことで温もりを感じる、雑談等ゆっくり話ができる、リハビリをするのが生きる支えとなっている等、精神面に関するコメントが見られた。希望中止群では、触ると痛い、歩く練習をすると疲れる等であった。合併症発症群では、脳梗塞発症、消化管出血、呼吸急性増悪等で、急激に全身状態が変化した場合が多かった。<BR><BR>【考察】癌終末期理学療法の現状としては、全身状態が自然経過として次第に悪化していくにも関わらず、理学療法を継続している症例が多く見られた。その理由として、一時的でも身体的改善感が得られること、厳しい現実から少しでも逃避できる癒しの効果、精神的支え等が考えられた。以上より、当院での癌終末期理学療法の取り組みは患者・家族に対し、身体・精神的に良い効果を与えることができているのではないかと思われた。また途中中止になった症例から、患者の状態に応じて少数・頻回のより細かな理学療法内容の検討、また合併症の発症等から、一日一日のリスク管理を含めたチーム医療での情報共有等がより重要だと思われた。<BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR>
著者
松元 文子 林 恵美子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.68-70, 1958-04-05 (Released:2010-03-09)
参考文献数
8
被引用文献数
1

天ぷらの味のうち、特に衣のおいしさについて実験した結果、次のことが明らかになつた。1. 小麦粉は上質薄力粉を用い、副材料として卵を用いれば、小麦粉だけを用いた衣よりも水分少く、口ざわりがよい。重曹を用いると衣の水分が一層少く仕上り、且つ衣の表面の吸湿は極めておそいので、これらの点に於いては卵に優るが口触りが硬すぎる。卵と重曹を併用すれば両者の長所を採り入れることが出来るであろう。2. 天ぷらの衣に於ける水分と油の含有量は副材料の種類によつて互に消長するもので水分多ければ油少く、水分少ければ油が多く衣の口ざわり(歯もろさ)は、水分と反比例的である。従つて、おいしい天ぷらの条件としての“油じみていない”ということは、必ずしも吸油量が少いという事ではなく、付着油即ち油切れの問題であろう。(この点については次報で述べたい。)3. 揚げたての天ぷらがおいしい理由は、喫食時の温度にあるのはいうまでもないが、衣に卵を用いた場合は、表面の水分の増加以前を尊重するためと考えられる。
著者
小林 恵美子 福島 深雪
出版者
金沢大学外国語教育研究センター = Foreign Language Institute Kanazawa University
雑誌
言語文化論叢 (ISSN:13427172)
巻号頁・発行日
no.14, pp.165-188, 2010-03

General strain theory, in its most genetic form, argues that three sources of strain, including failure to achieve positively valued goals, removal of positively valued stimuli, and confrontation with negative stimuli, lead to crime and other forms of deviance. Failure to achieve positively valued goals, which has been addressed in part in traditional strain theory, consists of three subtypes that describe various ways in which goal blockage might become manifest. The first type is a disjuncture between aspirations and expectations, which results when individuals hold aspirations for a positively valued goal but do not expect to achieve it. The second type is a disjuncture between expectations and outcomes, which results when individuals expect to achieve a certain goal but do not actually achieve it. Lastly, the third type is a disjuncture between perceived just or fair outcomes and actual outcomes, which results when what actually occurs is perceived by the individual as an unfair utcome. The other two major sources of strain, which include removal of positively valued stimuli and confrontation with negative stimuli, result when individuals experience stressful life events, especially during adolescence. All three sources of strain predispose individuals to engage in crime and other forms of deviance. In the research reported here, measures of strain that closely correspond to the theoretical definitions are developed, while taking into account two recent refinements (a distinction between global and goal-specific strain and an assessment of subjective responses to stressful life events). The effects of these strains on academiccheating are then examined in a sample of Japanese college students. Results offer partial support for general strain theory. While both removal of positively valued stimuli and confrontation with negative stimuli increase the inclination to cheat, failure to achieve positively valued goals does not seem to affect the inclination to cheat among the sample of Japanese young adults.
著者
小林 恵美子
出版者
金沢大学外国語教育研究センター = Foreign Language Institute Kanazawa University
雑誌
言語文化論叢 (ISSN:13427172)
巻号頁・発行日
no.15, pp.159-181[含 英語文要旨], 2011-03

Social control theory, which was first presented by Travis Hirschi in 1969 inCauses of Delinquency and is one of the most widely cited theories in criminology, argues that humans by nature are hedonistic and, thus, inclined to engage in any acts, including crime and other forms of deviance,in pursuit of their self-interest. The present study proposes that the fourgeneral elements identified in the theory comprise a social bond that, whenpresent, serves as a constraint against academic cheating: attachment,commitment, involvement, and belief. First,attachment refers to anemotional bond to conventional others. Students who are so attached areless inclined to commit academic cheating for fear of hurting those to whomthey are attached and/or jeopardizing their relationships with them. Forstudents, relevant attachments are those to parents, peers, and school.Attachment to, or caring about the feelings of parents has also threesubcomponents: identification with and affection toward parents, intimatecommunication, and parental supervision. Second, commitment refers tothe stakes in conformity the student has developed, such as investments ineducation and preparation for labor force participation. Students whohave made such investments, the present study argues, are inclined to avoid violation of school rules because they have more to lose by taking therisk of getting into trouble. Third, involvement is a student's investment oftime in conventional activities, time that makes the student unavailable foracademic cheating or exposure to opportunities for such misconduct. Thetheory assumes a finite amount of time available to an individual, so timespent in conventional activities reduces time available for academiccheating. Finally, belief refers to belief in the moral legitimacy of the law –the view that the law is binding on one's own behavior and has legitimacy inprohibiting one's pursuit of one's self-interest through acts of force and fraud.Students who acquire such a belief while growing up are more bonded toconventional society and, thus, less free to engage in academic cheating. Inthe research reported here, measures of social bond variables that resemble,and in many cases are identical to measures used by Hirschi, are developed.The effects of these four elements on people's experience to commitacademic cheating are then examined in a sample of Japanese collegestudents. The analysis provides rather limited support for the theory.Parental supervision and belief function as constraints that preventstudents, more or less, from engaging in acts of fraud (i.e., academiccheating) in pursuit of their self-interest, but the findings for the otherelements of social bond appear less compatible with the theory.
著者
小林 恵美子
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、未成年大学生が飲酒、喫煙をするか否かを合理的に判断する背景について、次のことを実証した。飲酒に対する社会的制裁と非飲酒に対する社会的報酬の推定値は抑止要因として、そして、飲酒に対する社会的報酬と非喫煙に対する社会的制裁は促進要因として作用していることが明らかになった。さらに、飲酒、喫煙に対する「制裁>報酬」となった時にこれら違法行為を自重すること、また、非飲酒に対する「制裁<報酬」となった時に飲酒を自重することが示された。
著者
小林 恵美子 松原 斎樹 藏澄 美仁 飛田 国人
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
no.24, pp.241-244, 2006-12-20
被引用文献数
4

In this paper, we introduce the importance of the use of supplementary air-conditioning behavior toward energy conservation. The questionnaire survey was done for the resident of housing complex in Kyoto city in the summer and winter. The results indicate the possibility that making good use of supplementary air-conditioning conserve behavior energy.