著者
柏木 惠子 若松 素子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.72-83, 1994-06-30 (Released:2017-07-20)
被引用文献数
19

「親となる」ことによって親にどのような人格的・社会的な行動や態度に変化 (親の発達) が生じたかを, 就学前幼児をもつ父親と母親346組を対象として比較検討を行った。加えて, 子どもや育児に対する感情・態度及ぴ性役割に関する価値観の測定も行い, 母親の職業の有無, 父親の子育て・家事参加度との関連で分析を行った。その結果, 「親となる」ことによる発達は柔軟性, 自己抑制, 視野の広がり, 自己の強さ, 生き甲斐など多岐にわたるが, いずれの面でも父親より母親において著しいこと, 子ども・育児に対して父親が青定的な感情面だけを強く持っているのに対して, 母親では肯定面と同時に否定的な感情もあわせもつアンヴィバレントなものであること, 父親の育児・家事参加度の高さは母親の否定的感情の軽減につながる, 同時に父親自身の子どもへの肯定的感情が強まり, 母親のそれと近いものになること, 父親及び母親の性役割についての価値観は, 父親の育児・家事参加及び母親の有職と相互に一貫した形では対応しており"言行一致"があること, などが見出された。
著者
柏木 惠子 若松 素子
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.72-83, 1994-06-30
被引用文献数
32

「親となる」ことによって親にどのような人格的・社会的な行動や態度に変化 (親の発達) が生じたかを, 就学前幼児をもつ父親と母親346組を対象として比較検討を行った。加えて, 子どもや育児に対する感情・態度及ぴ性役割に関する価値観の測定も行い, 母親の職業の有無, 父親の子育て・家事参加度との関連で分析を行った。その結果, 「親となる」ことによる発達は柔軟性, 自己抑制, 視野の広がり, 自己の強さ, 生き甲斐など多岐にわたるが, いずれの面でも父親より母親において著しいこと, 子ども・育児に対して父親が青定的な感情面だけを強く持っているのに対して, 母親では肯定面と同時に否定的な感情もあわせもつアンヴィバレントなものであること, 父親の育児・家事参加度の高さは母親の否定的感情の軽減につながる, 同時に父親自身の子どもへの肯定的感情が強まり, 母親のそれと近いものになること, 父親及び母親の性役割についての価値観は, 父親の育児・家事参加及び母親の有職と相互に一貫した形では対応しており"言行一致"があること, などが見出された。
著者
平山 順子 柏木 惠子
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.216-227, 2001-11-15
被引用文献数
3

本稿は,核家族世帯の中年期の夫と妻554名(夫婦277組)を対象に,夫婦間コミュニケーションの様態を検討した。夫と妻とをコミュニケーションを構成する2つの単位(個人)と捉え,夫と妻とのコミュニケーション態度の相違を検討した。加えて,相手(配偶者)へのコミュニケーショし態度と夫婦の学歴及び妻の経済的地位との関連性を検討した。主な結果は次のようである。(1)夫婦間コミュニケーション態度は,「威圧」「共感」「依存・接近」「無視・回避」の4次元から成る。(2)相手へのコミュニケーション態度得点(自己評定)を夫婦間比較した結果,ポジティブなコミュニケーション態度である「共感」と「依存・接近」では妻のほうが有意に高く,他方,ネガティブなコミュニケーション態度である「無視・回避」と「威圧」では夫のほうが有意に高かった。また,相手へのコミュニケーシション態度のうち,夫に最も顕著な態度は「威圧」,妻に顕著な態度は「依存・接近」であった。(3)夫・妻とも,相手へのコミュニケーション態度について,夫婦の学歴による差は見出されなかった。(4)夫の妻へのコミュニケーション態度のうち,「共感」において妻の経済的地位による差がみられ,妻の経済的地泣か高いほど,夫は妻に対して共感的なコミュニケーション態度をとる傾向が明らかにされた。夫と妻とが対照的に異なるコミュニケーション態度をとる背景には,性的社会化の影響,男女間の社会的・経済的地位の格差があると推察される。
著者
柏木 惠子 平山 順子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.122-130, 2003-06-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
48
被引用文献数
4 5

The purpose of this study was to investigate recent changes in marital norm and reality in middle-aged couples, and how marital reality, as perceived by oneself, was associated with their demographic variables, as well as their marital satisfaction. A questionnaire was administered, and 277 pairs of middle-aged, nuclear-family couples participated. Main findings were as follows. First, factor analysis of marital reality variables extracted three factors: love each other, respect for the husband's life style, and respect for wife's life style. Second, concerning the wife's education and income, ‘respect for the wife's life style’ was highest among highly educated double income couples. Third, ‘love each other’ was the most important predictor of marital satisfaction for both husbands and wives. Finally, ‘respect for the husband's the life style’ was associated with husband's satisfaction, while that for the wife's was not with wife's marital satisfaction.
著者
柏木 惠子 平山 順子
出版者
The Japanese Psychological Association
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.122-130, 2003
被引用文献数
4 5

The purpose of this study was to investigate recent changes in marital norm and reality in middle-aged couples, and how marital reality, as perceived by oneself, was associated with their demographic variables, as well as their marital satisfaction. A questionnaire was administered, and 277 pairs of middle-aged, nuclear-family couples participated. Main findings were as follows. First, factor analysis of marital reality variables extracted three factors: love each other, respect for the husband's life style, and respect for wife's life style. Second, concerning the wife's education and income, 'respect for the wife's life style' was highest among highly educated double income couples. Third, 'love each other' was the most important predictor of marital satisfaction for both husbands and wives. Finally, 'respect for the husband's the life style' was associated with husband's satisfaction, while that for the wife's was not with wife's marital satisfaction.