著者
室城 智志 中谷 隼 栗栖 聖 森口 祐一 花木 啓祐
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.II_221-II_228, 2018 (Released:2019-03-29)
参考文献数
37
被引用文献数
3

関東地方における耕地へのソーラーシェアリング(農地において営農を継続しながら太陽光発電を行う技術)の導入を検討する.作物類別に遮光への適応性が異なることを考慮し,パネルの設置比率と減収率の関係を定式化した.また,農作物の作付面積に対して,許容される減収率や地域の系統連系の空容量などの制限因子を考慮した発電ポテンシャル量を推計した.推定の結果,関東地方におけるソーラーシェアリングの導入賦存量は定格容量で65.1GW,年間発電量は69,118GWh/年であった.制約条件を考慮した導入ポテンシャルの算出結果から,電力系統への連系に関する制約条件によって最も強い制約を受けることが分かった.地域全体の収量を維持する制約条件では,農作物の導入優先度を設定し,減収分は各都県内の耕作放棄地で営農を再開することで導入ポテンシャルは最大化されることがわかった.また,ソーラーシェアリングは従来の耕作放棄地における通常太陽光発電設備の導入以上のポテンシャルを持つことが明らかとなった.
著者
吉岡 佐 栗栖 聖 花木 啓祐
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.III_691-III_702, 2012 (Released:2013-03-15)
参考文献数
49

江戸城外濠におけるアオコの発生などによる悪臭,景観への影響を改善するために,水質改善シナリオを設定し,その効果の検討とコスト評価を行った.まず,改善シナリオを設定するにあたり,水質改善事業の事例,技術,対象地域の水資源,水収支,流入負荷の把握を行った.これらを元に,目標を達成出来ると考えられるシナリオを設定し,生態系モデルを用いた水質シミュレーションによりその効果を推定した.その結果,夏期におけるアオコの増殖を抑えるための最低導水量として9,461 m3/日を得た.また,各シナリオのライフサイクルコストを算出し,外濠グラウンド付近にサテライト処理場を設置するシナリオにおいて,2.0×102(百万円/年)と最も低いコストとなることを明らかにした.
著者
吉岡 佐 栗栖 聖 花木 啓祐
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.9-21, 2015 (Released:2015-01-10)
参考文献数
46
被引用文献数
1

江戸城外濠におけるアオコの発生などによる悪臭,景観への影響を改善するための水質改善施策を,水量,水質,コスト,便益の多方面から定量的・総合的に評価し,その有効性を示した。まず,流出解析モデルにより主な水源であるCSOの流入量評価を行い,その結果と水位・水質の現地測定結果を基に,現状を再現できる水質モデルを構築した。次に,有効な施策としてCSO対策に加えて下水再生水の導水を考え,アオコの発生を防ぐことが可能な最低導水量4,653 m3·日-1を求めた。そして,最低導水量を基に施策に必要となるLCC:3.9億円·年-1を求め,CVMにより算定した施策の便益7.5億円·年-1と比較することにより,施策の有効性を示した。
著者
栗栖 聖 齊藤 修 荒巻 俊也 花木 啓祐
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.307-324, 2017-09-30 (Released:2017-09-30)
参考文献数
31

東京都八丈島を対象に,島への訪問意図を規定する因子の構造をモデル化を通して検討した。特に自然および旅行への態度が,自然環境や地熱発電所といった島の各地域資源への訪問意図を通じて,どのように島への訪問意図に影響を与えているかを明らかにすることを研究目的とした。東京都民を対象にオンラインアンケートを実施し,29,616名のサンプルを得た。八丈島を訪問したいと思うかを尋ねた「八丈島訪問目標意図」では,全体として「やや思う」を少し超えた値となった。同意図は男性の方が女性より有意に高く,50代以上になると年齢とともに有意に意図が上がっていた。同意図へ影響を与える意図としては,自然環境探索意図と温泉訪問意図が高く,また島全般への訪問意図も大きく影響していた。自然への態度としては,「脅威をもたらす存在」「癒しを得る存在」「人により支配される存在」という自然観の3因子が抽出された。また,旅行への態度としては,「健康回復欲求」「文化見聞欲求」「自己拡大欲求」「意外性欲求」の4つの因子が抽出された。これらの因子得点は,性別および年代によって大きく異なっていた。これらの中で,八丈島への訪問意図へ影響を与えるものとしては,自然への態度の中では,「脅威をもたらす存在」および「癒しを得る存在」としての自然観がモデル内に組み込まれたが,その影響は大きくはなかった。一方,旅行に対する態度の中では,「健康回復欲求」と「文化見聞欲求」がモデルに組み込まれ,特に後者が訪問意図に与える影響が大きかった。
著者
平松 あい 山本 大輔 栗栖 聖 花木 啓祐
出版者
The Institute of Life Cycle Assessment, Japan
雑誌
日本LCA学会誌 (ISSN:18802761)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.2-10, 2015
被引用文献数
2

<b>Objective.</b> The objective of this study is to comprehend how much environment-related issues are dealt in the current home economics in full detail to examine the possibility of introducing Life Cycle Thinking (LCT) into curriculum of home economics. The authors applied text mining to plural home economics textbooks from the elementary school to the high school to clarify the difference of use of the environment-related elements - "sustainable society", "LCA" etc. In addition, the difference among schools and publishing companies were also analyzed.<BR><b>Results and Discussion.</b> "Daily life" and "family" were the main topic of elementary school and "environment" was also included in it and "environment" was strongly connected with word "think." In junior high school, "environment" was treated in the family life in the community and had a tendency to be connected with consumption behavior in real life. In high school, there were not many words that had strong ties with "environment" and "environment" came to be treated broader in the various issues of whole society. The word "green consumer" was appeared once in the junior high school textbook, and the word "LCA" was appeared for the first time in the high school textbook. Both were seen only just with the explanation of the concepts. While environmental concepts were linked close to concrete daily actions at the junior high school, the link became weakened at the high school. A problem of missing link that environmental education did not lead to behavioral change was implicated.<BR><b>Conclusions.</b> The current work showed that the textbook or the curriculum of junior high school seemed most appropriate to adopt LCA to promote environmental-friendly actions because "environment" was treated as a close issue as daily activities, especially consumption behaviors. It can be also proposed to increase more practical contents which connect an environment concept to a concrete action in the textbook of the high school where "LCA" was first appeared.<BR>
著者
中谷 隼 石野 隆之 栗栖 聖 花木 啓祐
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第22回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.21, 2011 (Released:2011-11-07)
被引用文献数
1

定量的な環境情報の提供が消費者の購買行動およびリサイクル行動に与える影響を解析し,リサイクル行動の促進可能性を検討した。ケーススタディとして,仮想的な弁当チェーン店におけるプラスチック製の弁当容器へのカーボンラベルの表示と容器の店頭回収システムを想定し,環境情報の提供や容器返却に対する消費者選好を,オンラインアンケートによる選択型コンジョイント分析を用いて定量的に評価した。また,コンジョイント分析の評価結果をもとに,容器へのカーボンラベルの表示や,容器返却によるカーボンフットプリントの減少の情報提供,容器返却への経済的インセンティブの付与(容器のデポジット)が,弁当の購入割合や容器の返却意思に与える影響をシミュレーションした。特に,容器を返却した場合と返却しなかった場合のカーボンフットプリントを併記することによって,消費者の自主的なリサイクル行動を促進する可能性について検討した。
著者
西山 悠介 中谷 隼 栗栖 聖 荒巻 俊也 花木 啓祐
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.II_1-II_10, 2011 (Released:2012-03-16)
参考文献数
25
被引用文献数
3

持続可能な社会の実現に向けた都市構造の再構築において住民の選好を反映していくために,住民選好を考慮した居住地選択行動の解析を行った.宇都宮都市圏に住む10年以内に移転を行った人を対象にアンケート調査を行い,選好の多様性及び特徴を分析した.まず,居住地属性26項目について移転時における重視尺度を尋ねる質問の回答結果に因子分析を使い,居住地属性選好因子を3因子抽出した.そしてこの因子得点にクラスタ分析をかけることで,同質な居住地選好を持つ6つのグループに類型化を行った.続いて各クラスタの移転傾向や,クラスタに属する人の特徴の分析を行った.さらにコンジョイント分析によって,代表的な7つの居住地属性について定量的な解析を行い,クラスタ間で特徴の比較を行った.
著者
青木 えり 栗栖 聖 花木 啓祐
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.II_165-II_176, 2012 (Released:2013-02-13)
参考文献数
40

地方自治体規模で市民の環境配慮行動が重視されているが,行動変容に有効な要因,要因間の関係等まだ明らかになっていない部分も多い.そこで,社会的な要因と個人的な要因の両面から現状を明らかにするため,環境配慮行動に影響を与えうる社会経済的指標を市町村レベルの統計値から調査・整理すると同時に,全国47都道府県を対象に,市民の環境配慮行動実施状況や意識,個人属性を調査する大規模アンケートを実施した.市民の環境配慮行動としては44の日常行動と13の機器導入を対象とし,各行動の実施度の違いや,促進・阻害要因の差異を分析した結果,行動により異なる要因が影響を及ぼすが,全体として個人属性や心理的な要因の方が社会的な要因より大きな影響を及ぼす環境配慮行動が多くみられた.また地方自治体の環境施策では,レジ袋や可燃ごみ有料化が関連行動に正の影響を与えていた.
著者
栗栖 聖 花木 啓祐 小熊 久美子 中谷 隼
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

緑地の効用として暑熱緩和効果と大気汚染物質吸着効果について評価すると共に、都市の大規模緑地空間として江戸城外濠を取り上げ、その価値評価構造を明らかにすると共に、価値の一部を担う水質改善施策を評価した。