著者
棟方 有宗 三浦 剛
雑誌
宮城教育大学紀要
巻号頁・発行日
vol.43, pp.105-112, 2008

タイヘイヨウサケ属の一種であるサクラマス(Oncorhynchus masou)には、川で生まれてから終生を河川で過ごす残留型と、幼魚期に銀化変態を行い一度川から海へ降り、大型になって産卵のために母川に回帰してくる降河型といった、異なる回遊サイクルを持つ2相がある点で、他のサケ科魚類と異なる。このようなサクラマスのライフサイクルは、広く生物学への興味・関心を高める優れた教材となることが期待される。本研究では、サクラマスのライフサイクルを機軸とした生物教育を構成し得る、発眼卵、孵化仔魚、稚魚の摂餌行動、体色変化、野外観察を題材とした教育活動について紹介する。
著者
棟方 有宗 三浦 剛
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 (ISSN:13461621)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.105-112, 2008
被引用文献数
1

タイヘイヨウサケ属の一種であるサクラマス(Oncorhynchus masou)には、川で生まれてから終生を河川で過ごす残留型と、幼魚期に銀化変態を行い一度川から海へ降り、大型になって産卵のために母川に回帰してくる降河型といった、異なる回遊サイクルを持つ2相がある点で、他のサケ科魚類と異なる。このようなサクラマスのライフサイクルは、広く生物学への興味・関心を高める優れた教材となることが期待される。本研究では、サクラマスのライフサイクルを機軸とした生物教育を構成し得る、発眼卵、孵化仔魚、稚魚の摂餌行動、体色変化、野外観察を題材とした教育活動について紹介する。
著者
北村 章二 生田 和正 鹿間 俊夫 中村 英史 鈴木 幸成 棟方 有宗
出版者
水産総合研究センター
雑誌
水産総合研究センター研究報告 (ISSN:13469894)
巻号頁・発行日
no.15, pp.1-10, 2005-12 (Released:2011-03-05)

2002年度から全域キャッチアンドリリース(C and R)制となった湯川において、C and Rによる魚類資源維持効果の判定を目的として釣り人へのアンケート調査及び釣魚期間前後における資源調査を2002年と2003年に行った。C and R制導入前の2001年と比較すると、釣魚者は27.4%(2002年)及び34.2%(2003年)増加し、フライ釣り人の割合はそれぞれ83.8%及び88.1%に増加した。時間当たり釣獲率も2003年には1.21と有意に上昇した。また、両年とも釣魚期間前よりも釣魚期間後にカワマス資源量が増加していた。これらから、元々C and Rを基本とするフライ釣りの割合の高かった湯川におけるC and R制の導入は、釣魚者には好意的に受け入れられ、カワマス資源の維持に効果的であったことが示された。
著者
棟方 有宗
出版者
宮城教育大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

(1)サクラマス銀化魚の降河回遊行動に及ぼすコルチゾルおよびテストステロン投与の影響を、水産総合研究センター中央水産研究所日光庁舎の実験水路内で調べた結果、降河回遊行動はコルチゾルの投与量依存的に促進されること、またコルチゾル投与による降河回遊行動促進作用は、性ホルモンであるテストステロンの投与によって打ち消されることが明らかとなった。このことから、サクラマスでは河川で孵化したのち、河川内で性成熟に向かう場合にはテストステロン等の性ホルモンによって降河回遊行動が抑制され、性成熟に向かわない銀化魚の場合には、コルチゾルの働きによって川から海への降河回遊行動の発現が促進されると考えられた。(2)平成18年3月に岩手県気仙川においてサンプリングしたサクラマスの銀化魚および河川残留魚の血中ホルモン量をEIA法により測定した結果、前年と同様、主に上流域で採捕される河川残留魚では血中コルチゾル量が低く、川から海に降る過程にあると考えられる銀化魚では、血中コルチゾル量が高いことが明らかとなった。そこで、この2年間と同様の結果が得られるかどうかを確かめるため、平成19年3月にも三度、同様のサンプリング調査を行った。現在、ホルモン量を測定している。(3)春に特異的に起こるサクラマス銀化魚の降河回遊行動を誘起する外部環境要因を明らかにするため、気仙川ならびに宮城県広瀬川の上・中・下流域に水温計測ロガーを設置し、周年にわたって温度変化をモニターした。今後さらに、気象庁や国土交通省の気象・水質データを加えて、サクラマス銀化魚のコルチゾル量変動や降河回遊行動発現のメカニズムを解析する計画である。
著者
山家 秀信 棟方 有宗 会田 勝美 伏谷 伸宏 北村 章二
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.896-901, 2004 (Released:2005-07-08)
参考文献数
20
被引用文献数
2 4

福島県秋元湖に生息するコクチバスの生殖腺周期を調査した。雄では4~7月と9~12月において精子又は精細胞がみられたが, GSI の低い8月には精母細胞が多く観察された。雌では4~6月と10~12月において周辺仁期と卵黄球期の卵母細胞がみられ, GSI の低い7~9月には卵黄球期の卵母細胞の割合が減少した。testosteroneと17,20β-dihydroxy-4-pregnen-3-oneの血中量は, 雌雄共に5月にピークを示した。本種は春から初夏にかけてが主な繁殖期であるが, 秋以降も一定の成熟度を保つことがわかった。
著者
棟方 有宗 攝待 尚子
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 (ISSN:13461621)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.91-97, 2010
被引用文献数
1

仙台都市圏を流れる広瀬川の自然や魚類を原資として観光や食文化を起こすとの前提に立った、都市と自然が共存する河川保全の一試案について、他都市の事例を参考に提言する。郡上八幡(岐阜県郡上市八幡町)では、河川水を用水として張り巡らせる歴史的街並みによる観光客の誘致に成功しており、また、長良川の魚類資源(アユ、アマゴ)をブランドとした地産地消の食文化、経済を構築している。知床半島(北海道斜里町、羅臼町)周辺では、世界自然遺産の河川自然や周辺の生物資源を原資とした観光・レクリエーション誘致が推進されている。仙台の広瀬川では、未だ両地域の様な自然や魚類を原資とした観光や文化的活動に乏しい。そこで上記の事例を参考に、広瀬川の河川自然や魚類資源を原資とした、仙台の立地の視点(空港、新幹線等のゲートウェイ機能、東北地方のハブ機能)に立った観光や食文化、教育、文化、ひいては仙台市の人口維持といった効果について議論するためのシンポジウムを行った。
著者
矢田 崇 棟方 有宗 Schreck Carl B.
出版者
国立研究開発法人水産研究・教育機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

サケ科魚類の降河行動と耐病性の制御機構について、「神経系-免疫系-内分泌系」間の相互作用という観点から調べた。行動でタイプ分けした個体群の比較により、水面近くに定位する群、または環境変化に反応して効果行動を起こしやすい群では、脳神経系での副腎皮質ホルモン刺激ホルモン放出ホルモン遺伝子の発現量に特徴的な差異が見られた。一方免疫系では、行動タイプによる顕著な差異は認められなかったが、環境変化に対する抑制的な反応が見られた。