著者
多湖 ゆかり 谷 久弥 森兼 啓太
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.122-127, 2014 (Released:2014-06-05)
参考文献数
9
被引用文献数
1 or 0

CDCのGuidelines for the Prevention of Intravascular Catheter-Related Infections, 2011の発出を受け,末梢静脈カテーテルの標準的な留置期間を4日毎から7日毎に変更した.留置期間が適切か否かを評価するため変更後6ヶ月間(2011年7月~12月)の末梢静脈カテーテルに関連するBSIと静脈炎のデータ解析をした.延べ留置日数2,784日,ライン使用本数989本に対して,BSI発生は2件であり,1000ライン日あたり0.72件であった.発生日はどちらも留置3日目であった.静脈炎(INS基準:2+以上)は14件で,3日以内と4日以上を比較して静脈炎発生率に有意差は見られなかった.従って,末梢静脈カテーテルをルーチンに3~4日毎に刺し替える必要はない.刺入部の観察を重視した上での7日毎の刺し替えは,患者の苦痛軽減やスタッフの労力削減を図る上でむしろ好ましいと考える.
著者
多湖 ゆかり 森兼 啓太
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.174-179, 2015 (Released:2015-08-05)
参考文献数
4
被引用文献数
1 or 0

透析患者の予後に大きく影響する透析関連感染の実態を明らかにし,感染率を低減させるために,実施したサーベイランスと並行して実施した介入を評価した.サーベイランス開始当初9ヶ月における短期留置カテーテル感染率は1000透析日あたり48.61であり,研究会の感染率(同14.55)に比較して有意に高いことがわかった.そこで,カテーテル挿入時のマキシマルバリアプリコーションの実施率の向上,教育など多面的なアプローチを行い,さらに長期留置カテーテルを導入した.長期留置カテーテル導入前(2010年7月~2012年6月)と導入後(2012年7月~2013年6月)の感染率を比較すると,33.40から9.20に低減し(p=0.05),研究会の同時期の感染率8.21と比較しても遜色ない値となった.また,短期留置カテーテルの平均留置日数も若干短縮した.これらの効果の検証に際しサーベイランスは有効であり,そのデータに基づき実施した介入は効果的であったと考える.
著者
森兼 啓太 小西 敏郎 阿部 哲夫 阿川 千一郎 西岡 みどり 谷村 久美 野口 浩恵 小林 寛伊
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.139-144, 2000-05-18
被引用文献数
7 or 0

消化器手術後の手術部位感染 (SSI) サーベイランスを米国のNNISシステムに従って施行した.対象は当科で9ヵ月間に施行された消化器外科開腹手術症例364例とした.感染制御チームを結成し, 巡回により基礎データを収集しSSIを拾い上げ, 外科医が創を観察しCDCの基準に従ってSSIか否かを判定した. 一方でCDCのSSI防止ガイドラインのうち現状を改善することが可能と思われる対策を講じ, 介入を行いつつサーベイランスを継続した.まず, 初めの4ヵ月間の創分類III, IV (汚染, 感染創) の症例ではそれぞれ9例中5例 (56%), 10例中9例 (90%) と高率にSSI発生を認め, 全体のSSI発生率に対する大きな撹乱因子となると考え, 以下の検討から除外した.創分類I, II (清潔, 準清潔創) の症例におけるSSI発生率は全体で35/323 (10.8%) であり, 術式別に分類しても, またrisk index score別にみてもNNISのデータより約3-5倍の高率であった.しかし, 米国では後期SSI発生症例を遺漏している可能性がある. 全例に術後30日のサーベイランスを遂行できた我々のデータとCDCのデータとの単純な比較はできないと思われた.サーベイランスの施行に並行して介入を行い, 主として抗生物質の術前投与が徹底された.しかし本研究期間内にSSI発生率の低下はみられなかった. 今後も継続的にサーベイランスを施行していく必要があると考えられた.