著者
山﨑 真大 加納 塁 原田 和記 村山 信雄 佐々木 崇 折戸 謙介 近藤 広孝 村井 妙 山岸 建太郎 西藤 公司 永田 雅彦
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.127-134, 2017 (Released:2017-09-28)
参考文献数
20
被引用文献数
2

犬の表在性膿皮症は,皮膚表面に常在するブドウ球菌(Staphylococcus pseudintermedius,S. schleiferiなど)が表皮や毛包に存在,あるいは侵入して発症する。近年では薬剤耐性菌が病変部から分離される症例が増加しており,治療に苦慮することも多い。そこで,日本獣医皮膚科学会では犬の表在性膿皮症の治療ガイドラインの作成を試みた。近年,海外では複数のシステマティックレビューや,ガイドラインが報告されていることから,これらを参考にしつつ日本独自のガイドラインの作成を目指したが,エビデンスとなる論文が十分でなく,現時点では困難であることが明らかになった。この中で,現時点で有効であると考えられるいくつかの知見が得られたので治療指針として提示したい。また,現時点での問題点についても述べる。
著者
村山 信雄 榊原 一夫 永田 雅彦
出版者
Japanese Society of Veterinary Dermatology
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.239-241, 2006
被引用文献数
1

6歳齢,避妊雌のメイン・クーンの両耳介と外耳道に暗青色を呈した丘疹と結節を多数認め,耳道は狭窄していた。これら皮疹は幼少よりみられ,徐々に拡大した。病理組織学的検査で耳垢腺の拡張と内腔分泌物の貯留を認めた。全身症状はなく,血液検査の異常も認められなかった。以上よりFeline ceruminous cystomatosisと診断した。0.05%クロルヘキシジン液による洗浄とオフロキサシン・ケトコナゾール・トリアムシノロンアセトニド配合薬の点耳により,1年後に明らかな改善を認めた。<br>
著者
根津 葉子 永田 雅彦
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.15-18, 2016 (Released:2016-05-11)
参考文献数
8

6歳齢,避妊雌のウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアが,シャンプー後躯幹を主体に痒がるようになり当科紹介受診となった。日常のケアには極力刺激の生じにくい製品を選択し,少量で洗浄していた。皮膚生検は表皮リンパ球浸潤と海綿状態を伴う真皮浅層血管周囲細胞浸潤,血清アレルゲン特異的IgE検査(アラセプトパネルテスト)で特記すべき異常は認められなかった。外的刺激による皮膚炎と診断した。シャンプーの代替として高濃度人工炭酸泉浴装置による沐浴を実施したところ,皮膚は適正に管理され,明らかな育毛が観察された。
著者
赤熊 美紀 樋口 裕樹 熊谷 武久 永田 雅彦
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.155-158, 2013 (Released:2013-10-31)
参考文献数
10
被引用文献数
1 2

犬アトピー性皮膚炎(cAD)におけるLactobacillus paracasei K71(K71株)の補助的治療効果を検討した。犬アトピー性皮膚炎(cAD)と診断した5例にプレドニゾロン0.5 mg/kg隔日投与を処方し,3例に試験食乳酸菌(K71株)を,2例に陽性対照セチリジン塩酸塩を併用し,12週間追跡しその補助的治療効果を検討した。皮膚病変の重症度は,獣医師によるCADESI(Canine Atopic Dermatitis Extent and Severity Index)スコア,飼い主による痒みスコア,薬剤ステロイド使用量により評価した。試験終了時全例で皮膚症状の緩和が認められたが,K71株治療群は陽性対照治療群と比較して,CADESIスコア,痒みスコア,ステロイド使用量のいずれも減少する傾向にあった。以上より,K71株はcADの症状緩和に有用と推察された。
著者
永田 雅彦
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.45-47, 2013 (Released:2013-03-08)
参考文献数
22
被引用文献数
1 1

イヌから分離されるマラセチアは Malassezia pachydermatis が主体であり,その関与が予想される “マラセチア皮膚炎” と呼ばれる疾患がある.皮疹は脂漏部位の鱗屑を伴う比較的境界明瞭な紅斑を特徴とし,慢性経過を辿ると苔癬化や色素沈着を認める.その臨床はヒトの脂漏性皮膚炎に相当している.今後,ヒトと動物に共通する疾患としてその相違点を明らかにすることで,この領域における普遍的病態の理解を深めることが可能と推察された.
著者
永田 雅彦 南光 弘子
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.3-8, 2010 (Released:2010-04-29)
参考文献数
17
被引用文献数
2 2

約6年間に皮膚科診療施設を受診した犬1,407頭,猫178頭,ヒト患者24,657人を対象とし,Common Skin Diseases(CSD)を比較検討した。ヒトと犬に共通するCSDは脂漏性皮膚炎,アトピー性皮膚炎,疥癬で,ヒトと猫に共通するCSDは皮膚炎・湿疹,皮膚糸状菌症(白癬)であった。なお犬と猫ではヒトのCSDである接触皮膚炎,ウイルス性疾患,母斑性疾患などの受診がまれであった。ヒトおよび犬と猫の両者に共通してみられる各種皮膚疾患の名称,定義,概念の統一化に課題はあるが,上記疾患を中心とした比較皮膚科学的検討の有用性が示唆された。