著者
坪内 優太 髙橋 兼人 兒玉 吏弘 井上 仁 池田 真一
出版者
公益社団法人 大分県理学療法士協会
雑誌
大分県理学療法学 (ISSN:13494783)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.39-45, 2021 (Released:2021-05-14)
参考文献数
15

世界ではCOVID-19と呼ばれる新型コロナウイルス感染症2019のパンデミックが発生しており,日本も例外ではない.COVID-19患者の中には,重度の運動機能障害を呈する症例も報告されていることから,理学療法士には十分な感染予防対策と適切なリハビリテーションの提供の両立が求められる. 我々は2020年4月,COVID-19患者の受け入れを想定し,事前にリハビリテーション実施基準および介入方法に関する規定を作成した.その後,当院でExtracorporeal membrane oxygenation (ECMO) 導入に至った重症COVID-19患者を受け入れ,当部にもリハビリテーション実施の依頼があった.多職種・多部門間での連携を積極的に取りながら,医師・看護師を介して早期から非直接的にリハビリテーションを提供した.Polymerase chain reaction (PCR) 検査の陰性確認後は直接的介入を開始し,運動療法だけでなく,直接飛沫に十分注意を払いながら呼吸理学療法も実施した.多職種が連携することで,院内での感染拡大を防ぎつつ,シームレスなリハビリテーションを提供することができ,スムーズに自宅復帰へとつなげることができた. この報告が今後のリハビリテーション実施医療施設におけるCOVID-19対策の一助になれば幸いである.
著者
村田 功二 富田 夏生 仲村 匡司 秋津 裕志 大崎 久司 浦上 晃 池田 真一
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.44-49, 2021-01-25 (Released:2021-01-30)
参考文献数
10

これまでの研究で国産材であるダケカンバ(Betula ermanii)が野球バットとして利用できることが分かった。ダケカンババットについて打音に関係するだろうと考えられる繊維傾斜角とバットの振動特性の関係を調べ,タモバットおよびメープルバットと比較した。また,反発性能としてボール・バット反発性能(BBCOR)を測定し,振動特性との関係を調べた。その結果,縦振動の固有振動数は繊維傾斜角と関係し,直交異方性弾性体として導かれた弾性率の換算式とよく適合した。打音は繊維傾斜角と関係し,バットの性能の指標となりうることが確認できた。各種バットに球速120km/hで衝突させたときのBBCORを測定した結果,ダケカンババットは最も優れた反発性能を示した。またBBCORはバットの内部摩擦と負の相関がみられ,衝撃によるエネルギー損失が反発性能と関与する可能性がある。
著者
池田 真一
出版者
順天堂大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

運動は筋インスリン感受性を亢進することで、メタボリックシンドロームや2型糖尿病の予防・治療に極めて有効であるが、その分子メカニズムは明らかにされていない。我々は、運動により骨格筋内の抗炎症性マクロファージであるM2マクロファージ数が増加し、これにより、筋インスリン感受性の亢進が起こっていると仮説した。C57BL6Jマウスに一過的トレッドミル走を施すと、骨格筋内のM2マクロファージ数は増加し、これに伴い筋インスリン感受性の亢進も認められた。しかしながら、運動前に全身のマクロファージを枯渇させる薬剤であるクロドロネートリポソームを投与すると、運動後に認められたM2マクロファージ数の増加、筋インスリン感受性亢進の両方が起こらなかった。このとき、いくつかのシグナル伝達経路の活性化を検討したところ、インスリンシグナル(Akt-AS160)やAMPK経路は運動やクロドロネートリポソームによる変化は認められず、PKC経路が運動により活性化されており、この活性化はクロドロネートリポソームにより抑制された。これらのことから、運動による筋インスリン感受性亢進は、M2マクロファージがPKC経路を介して引き起こしていることが示唆された。
著者
池田 真一 鈴木 智也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.477, pp.19-24, 2008-01-31
参考文献数
9

自然界の実システムは,一般に各要素がネットワークを構成しており,互いに相互作用して時間発展している.我々はその様子を時系列データとして人手し,システムの理解や将来変動の予測などに利用することができる.例えば経済システムにおいては,ネットワークの構成要素は各企業であり,企業間で相互作用することで,株価変動などの複雑な振る舞いを見せる.このような複雑な株価変動を予測する場合,大企業や中小企業といったノード毎で異なる特徴に応じて,予測難易度や最適な予測モデルが異なる可能性がある.そこで本研究では,実システムを模擬するために,数理モデルとしてスモールワールドネットワークを生成するWSモデルをベースにカオス結合系を構成し,各ノードが生成した時系列データに対して非線形予測を行った.さらに,次数中心性,媒介中心性,近接中心性といった各ノードの特徴と予測精度の関係を調べ,経済システムなどの複雑システムの予測可能性について議論した.