著者
加藤 暢介 増田 良太 西海 昇 加賀 基知三 猪口 貞樹 岩崎 正之
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.146-149, 2015 (Released:2015-07-31)
参考文献数
12

散弾銃損傷に対し,重症度から腹部の緊急手術と胸部の待機手術に分けて施行し良好な経過を得た症例を経験した.症例は60歳の男性.キジ狩り中に誤射を受け被弾した.胸部単純X線写真で左側胸腹部に計39個の散弾を確認した.胸部CT写真は銃弾の軌道に沿った左肺挫創と左血気胸を認めた.左胸腔ドレーン挿入時に一過性の気瘻と100mlの血性排液を認め,消化管損傷の可能性を優先し,緊急試験開腹手術を施行した.胸部37個の弾丸のうち合計23個が残ったが,血中鉛濃度の上昇を認めたため,18病日に肺内,心嚢内,左胸部皮下脂肪層・筋層内の銃弾を摘出した.血中鉛濃度は17病日に12.0ug/dlまで上昇したが,以後下降し受傷1カ月後は9.9ug/dlとなり,以後低値となった.散弾銃は,銃創による臓器損傷と体内遺残散弾による鉛中毒に注意が必要である.出血や重篤な臓器損傷がなければ鉛中毒予防のため散弾除去は待機手術で良い.
著者
山本 理絵 斉藤 剛 青木 弘道 飯塚 進一 秋枝 一基 猪口 貞樹
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.12, pp.865-873, 2014-12-15 (Released:2015-03-12)
参考文献数
20

急性薬物中毒は救急医療において重要な分野の一つであり,起因物質の特定は治療を行う上で極めて重要である。厚労省により薬毒物分析機器の配置が行われてきたが,機器による分析は難しく,簡便かつ迅速な検査法として尿中薬物簡易スクリーニングキットが多くの医療機関で使用されている。しかし,尿中薬物簡易スクリーニングキットは分析対象が限定され検出不能な薬物があること,体内動態や交差反応による陽性や感度不足による陰性があることから,薬物の特定には定量分析が必要となる。本研究では,ガスクロマトグラフ質量分析装置(gas chromatograph mass spectrometer: GC/MS)や液体クロマトグラフ質量分析装置(liquid chromatography-tandem mass spectrometer: LC-MS/MS)による血中薬物の定量分析結果をgolden standardとして,当院で使用している尿中薬物簡易スクリーニングキットTriage DOA® の臨床的有用性について検討した。2009年4月~2013年3月までに当施設を受診し入院となり,Triage DOA® と定量分析の双方を施行した急性薬物中毒822例を研究対象とした。ベンゾジアゼピン系睡眠薬およびベンゾジアゼピン系抗不安薬(BZO),バルビツール酸系睡眠薬(BAR),三環系抗うつ薬(TCA),アンフェタミン系覚醒剤(AMP)に対するTriage DOA® の感度,特異度,陽性的中率,陰性的中率,偽陽性率,偽陰性率について検討した。検討の結果,Triage DOA® にはいくつかの問題はあるが,救急初期治療の一次スクリーニング検査としては有用であった。しかし,TCA,AMPの陽性的中率は低く,BZOは陰性的中率が低いことから,救急現場ではTriage DOA® の解釈には十分な注意が必要である。また,近年本邦では尿中薬物簡易スクリーニングキットでは検出できない抗精神病薬やselective serotonin reuptake inhibitor,serotonin and norepinephrine reuptake inhibitorなどの抗うつ薬が数多く使われている。尿中薬物簡易スクリーニングキットで陰性でもこれらの薬物を服用している可能性を念頭に置いて初期治療を行う必要がある。
著者
網野 真理 吉岡 公一郎 鈴木 陽介 上村 春良 福嶋 友一 櫻井 馨士 守田 誠司 大塚 洋幸 中川 儀英 山本 五十年 児玉 逸雄 猪口 貞樹 田邉 晃久
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.41, no.SUPPL.3, pp.S3_138-S3_138, 2009 (Released:2015-01-23)

本邦においては硫化水素による自殺者が2008年の1年間のみで1,007人にものぼり社会的に深刻な問題になっている. 今回われわれは, 重篤な意識障害と呼吸不全に心筋障害を合併した硫化水素中毒患者の救命に成功し, 心筋障害の回復過程を心臓核医学検査により評価し得たので報告する. 症例は32歳, 男性. 自ら硫化水素を発生させて吸入自殺を図り, 救急車で当院救命センターに搬送された. 来院時の身体所見では, 除脳硬直肢位, 口唇のラベンダーブルー斑, 腐卵臭を呈し, 両側肺野では湿性ラ音が聴取された. 硫化水素中毒に伴う意識障害, 呼吸不全, 肺炎, 横紋筋融解症と診断し, 人工呼吸器管理, 高濃度酸素投与にて集中治療室へ入院. 第2病日には肺炎による敗血症性ショックを発症, 第3病日には横紋筋融解症の進行と心筋障害の新規出現が認められた. さらに第5病日には心原性ショック, 肺水腫が出現したが, 第7病日には人工呼吸器からの離脱に成功した. 第14病日は心筋血流イメージとして99mTc-tetrofosmin (TF), 心筋脂肪酸代謝イメージとして123I-BMIPP, 心臓交感神経イメージとして123I-MIBGを施行可能であった. TF, BMIPPでは前壁の一部, 下壁~後壁における集積低下が認められ, MIBGでは高度交感神経障害が示唆された. 同時期に施行した冠動脈CTにおいて冠動脈の有意狭窄はなかった. 心筋障害に対する内服加療としてカルベジロールおよびエナラプリルを投与し, 第38病日に退院となった. 受傷6カ月後の心電図および心臓超音波検査では, 左室壁運動は正常化し心臓核医学検査ではTF, BMIPPにおける前壁, 下壁~後壁の集積低下は改善した. MIBGにおいては, wash out rateは改善した. 以上の臨床経過から, 内因性の急性心筋梗塞, たこつぼ心筋症, 急性心筋炎の可能性は低く, 硫化水素による心筋障害と考えられた. 本症例は重篤な硫化水素中毒からの急性期離脱後, およそ6カ月の経過を経て心筋障害の改善傾向を示した貴重な症例である.
著者
中島 功 猪口 貞樹 木ノ上 高章 片山 正昭 尾崎 清明
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

位置情報と個体識別ができるS帯2.4-500kbps伝送速度の鳥装着用パケット送受信機の開発し、総務省の型式認定を申請した。山階鳥類研究所で渡り鳥に装着し、その鳥がわが国に帰還すれば、データが採取でき危機管理に役立てる。H5N1の感染地域、ロシア、モンゴルでの鳥インフルエンザ関連の生態環境、電波伝搬環境を分析し、将来の危機管理としての鳥インフルエンザ予防に役立てる統合研究をおこなった。