著者
渡邉 治雄
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.107-113, 2016-09-30 (Released:2017-01-20)
参考文献数
4
被引用文献数
1

近年,食中毒の報告件数が減ってきている.しかし,腸管出血性大腸菌やカンピロバクターを例にとると,現在のシステムで報告されている数が氷山の一角であることがわかる.実数を把握するサーベイランスシステムの再考が必要であろう.腸管出血性大腸菌感染症等に関して,食中毒を減らすための種々の対策がとられてきているが,その効果が一時的である場合がある.厚労省および農林省等の連携に基づく持続的効果が見られるような根本的対策に向けての対応が望まれる.
著者
河合 光久 瀬戸山 裕美 高田 敏彦 清水 健介 佐藤 美紀子 眞鍋 勝行 牧野 孝 渡邉 治 吉岡 真樹 野中 千秋 久代 明 池邨 治夫
出版者
公益財団法人 腸内細菌学会
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.181-187, 2011 (Released:2011-09-06)
参考文献数
16
被引用文献数
2

便秘傾向で60歳以上の健常成人男女58名(平均年齢68.8±5.3歳)に,Bifidobacterium breveヤクルト株が製品1個あたり1.0×1010 cfu含まれるはっ酵乳(商品名 ミルミル)を連続4週間摂取するオープン試験を実施した.被験者は排便日数が週に3から5日で,便の硬めな(便の水分含量が70%未満)人を選択した.はっ酵乳(試験食品)の4週間摂取は,排便量の増加を伴った排便回数および排便日数の有意な増加を示した(各々p<0.0001).さらに3日間以上連続で排便のなかった被験者の割合も試験食品摂取により低下した(p=0.013).しかし,便の硬さを表す便性状スコア(Bristol stool scale)の評価では,試験食品の摂取によって平均スコアに変化は認められなかった.症状の程度を5段階で評価した排便時の症状および腹部症状スコアに対し,試験食品はいきみおよび残便感の平均スコアを低下し(各々p=0.022および0.0002),症状の軽減が示唆されたが,腹痛および腹部膨満感のスコアには顕著な変化はみられなかった.色素を経口摂取してから便中に色素が検出されるまでの時間(腸管通過時間)を観察したところ,色素の滞留時間は摂取前後で変化はみられなかった.以上の結果より,連続4週間のB.breveヤクルト株を含むビフィズス菌はっ酵乳の摂取は,便秘傾向な60歳以上の健常な男女において排便量の増加を促し,排便頻度の増加および排便リズムを安定化させる便秘改善効果が示唆された.また,排便時のいきみや残便感の症状を改善する可能性も示唆された.
著者
山本 向三 飯塚 万利子 赤坂 江美子 馬渕 智生 梅澤 慶紀 太田 幸則 松山 孝 小澤 明 藤井 光子 川端 寛樹 渡邉 治雄 古屋 由美子 黒木 俊郎 谷 重和
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.1161-1164, 2005-11-01

要約 62歳,女性.神奈川県宮ヶ瀬の山林にハイキング後,右膝に吸血したヒルに気付いた.その14日後より吸血部に紅斑と,同部の疼痛が出現し,38℃台の発熱も認め,さらに2日後には,吸血部を中心に環状に紅斑が拡大した.また,全身に発疹が出現し,頭痛,関節痛,全身倦怠感などの全身症状も伴っていた.セフェム系抗生剤点滴を行い,これらの症状は改善した.なお,Lyme病抗体価は陰性であった.皮膚症状としての環状紅斑,また全身症状を呈したヒル咬傷は稀と思われた.